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例えキラキラしてそうに見えたとしても。

1軒挟んだお隣に、息子と同じ保育園に通っていた関係で
仲良くしている女性がいる。ママ友ってやつだ。
小学校も同じなので、最初の1年はほぼ毎朝、道路で登校していく
子どもたちの背中を見送りながら何となく立ち話をしていた。
2年生になってからは内玄関で見送っているので
あまり顔を合わせることはなくなったんだけど。

私は息子の入学と同時に会社員を辞めたが
彼女は2人の子供を育てながら会社勤めを続けた。
入社して長く勤めているのでそれなりに責任もあるようで
子どももまだ小さい立場なので色々と葛藤しながら
奮闘していることがよく伝わってきた。
何度か「辞めたい」という言葉も聞いた。


今朝、久々に顔を追わせて長い立ち話をした。
今日は在宅勤務の日だったのだろう。
そんな時は少し穏やかな雰囲気で玄関先に出てくることがある。

子供たちの背中が見えなくなった途端、彼女が
「私、仕事辞めることにした!」と切り出した。
ついに決心をしたらしい。

聞くところによると、ここ数ヶ月とても大変だったらしく
いよいよ限界に達し、体調に異変が出てきたらしい。
上司に辞意を伝えると、フォローの人材を増やすとか
仕事量を調整するとか、部署転換はどうだろうかと
あれこれ提案されたらしいが、一度退職に傾いた気持ちは
元に戻すことはできない。
それにそう言う時の上司の提案ってたいがい苦し紛れの
空論だし絵に描いた餅なんである。具体性ゼロ。


昨今、「キラキラ輝く女性」と言えば
バリバリ働きながら笑顔で子育ても頑張る人を
思い浮かべがちなんだけど、当の本人たちは
歯を食いしばり涙を滲ませ血反吐を吐くような思いで
どうにか戦っているんだと思う。笑顔の仮面をつけて。

先ほどのママ友も、こども2人育てながら自らのキャリアを積み、
さらに本人はスタイル抜群の美人でコミュ力が高くて
新しい一軒家に住んで旦那は高身長のイケメンで、
もう誰からも羨望の眼差しを向けられるであろう
一見するとキッラキラのシャイニングウーマンなのだ。

そんな彼女でもやっぱり満身創痍で生きている。
少し擦ればぽろりとメッキが剥がれ、その中はサビッサビで
あちこちギシギシ言わせながらどうにか走っている。

つくづく思う。
普通に働くだけで何でこんなに大変なんだろう。
頑張るほどますます大変になっていくのはなぜだろう。
私が以前いた会社でもそんな女性を何人も見た。
特に女性は、デキる人ほど、頑張ってきた人ほど
大変な状況に置かれることが多いように感じた。
まぁ男性もそうなのかもしれないけれど。


健康でさえあれば、どうにかなるよ。
とにかく健康だけは損ねちゃイカン。
彼女にはそう伝えた。


人生は長いんだ。
ここらで一休みしてもきっとバチは当たらない。
退職したら祝杯をあげようねと約束をした。
あと少し、頑張ってほしい。

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