海辺でMelville underwater cameraを拾ったら
海辺で、もしあなたや一緒にいる誰かが「メルヴィル アンダーウォーター カメラ」を拾ったら
「汚いから捨てておきなさい」とか、
「落とし物だな、届けなきゃ」などと言ってはいけない。
自分のものにしようと、家に持ち帰るのも駄目だ。
できるだけすぐ、近くの写真屋さんに持ち込んで、中のフィルムを現像してもらわなくてはいけない。代わりの新しいフィルムも買わなくてはいけない。
今は滅多に利用することもなくなった、ハイスピード仕上げのサービスを利用することをお勧めする。
現像が仕上がってきたとき、あなたは驚くだろう。
写真に写った、海の下の驚くべき光景の数々に。
けれど
たった1枚
海の下の光景ではない写真があるはずだ。
その1枚こそ
本当の驚異
あなたがカメラを拾った理由なのだ。
その1枚を見たら、なぜあなたがカメラを自分のものにしてはいけないのか、なぜ新しいフィルムを買ってカメラに入れなければならないのかが、分かるだろう。
そして、あなたは「Melville underwater camera」を再び海に返すだろう。
「あること」を、必ずしてから・・・・
これは、文字の全くない絵本 「漂流物」の中で、主人公の少年に起こった出来事だ。
「漂流物」 デイヴィッド・ウィーズナー 作 (BL出版株式会社)
そして、これからあなたにも起こるかもしれない出来事。
夏が近づき、海が恋しくなってきた。
もしあなたが海辺に行って、本当に「メルヴィル アンダーウォーター カメラ」を拾ったら、そうして欲しいということが、そこには「描かれて」いる。
素晴らしい絵だけで。
言葉は一切ないのに、絵の中の必要なところがさりげなく日本語に描きなおされているところが心憎い。
言葉は一切ないのに、起きていることは全部生き生きと伝わってくる。
登場人物?
本当に登場するのは、主人公の少年だけだ。(彼の両親や写真屋さんのお姉さんがちょっとだけ出てくる。
文字が一切書かれていないのだから、もちろん何も喋らない。
でも彼は、その海辺で、確かに友を得る。
そして彼は、儀式のようにあることを行い、カメラを海に返すのだ。
あなたも、他の人も必ずするだろう儀式をして。
カメラは、また旅をする。
次に待つ「あなた」のところへ。
カメラを拾ったあなたは、きっと「少年や少女」に違いない。
なぜかは、絵本を読めばわかる。
海に出かける前に、あなたも読んでみてほしい。
字のない絵本、「漂流物」
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