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さん、結石したってよ(3)


えっ、出席・・・

前回
結石を悪くして入院、点滴を2泊3日、緊張のあまりゴハンを全く食べないので、1日早く退院することになったさん。下半身がずっとびしょびしょしている。なぜだ?

家に着きキャリーバッグを玄関先で開放すると、さんは案外しっかりした足取りで普段自分が食事をするケージに向かった。さっそく購入したばかりの結石ケア用の餌をあげてみる。

食べている。やはり病院では緊張していたのか、さんよ。

しかしそんなにたくさん与えたわけではないのに、半分以上残してしまう。
まだ本調子ではないこと、いつもと違う餌なこと、病院でもらっていたのと同じものなので匂いなど嫌な記憶と結びついていること。
いくつもの理由が考えられたが、しかしまあ、食べたから。
そして笑えることに、もう一匹の猫《まる女王》にゴハンを上げようとして戸棚を開け、振り向いたら私の真後ろに、驚くほど素早く音もなくさんが来ている。瞬間移動⁈
いつも通りのさんである。
本人の気持ちとして食欲はあるのだ。
しかしさん、君は今後こっちのゴハンは食べられないのだよ。結石が再発すると困るからね。

さんのゴハン問題は、それからしばらくはチュールのトッピングによって全部食べるようになり、また体調の回復とともに解決を見た。
退院して2週間もするとチュール全く必要なし、嫌がっていた餌もバクバクと一瞬でお腹に収まり、食べ終わった瞬間「足りーーーん!!」とケージの中で雄叫びを上げている。

さて、ちょっと先走ってしまったが退院直後のゴハンの場面に戻る。
さんがゴハンを食べ終わってのろのろとケージの外に出てきたその跡を見ると・・・

なんとさんがいた場所に水たまりができている。

ん?

さん、おしっこずっと少しずつ出ているの?
歩いた跡をよくみると、ぽたぽたと、水滴が続いている。

ああぁぁーーーー?

ちっこ垂れ流しネコ?!

あわててウェットティッシュでさんの後を追うように床を拭きまくる。
さんは、日の当たる南の床でくつろいでいる。

そしてやはり、足のあたりがびしょびしょだ。

・・・・・・・・
・・・・・・・・

めでたく退院したのに。

あんなに結石でおしっこが出なかったわけだし、カテーテルを入れられて膀胱や尿道をたくさん洗浄された後だしな。少しずつ元に戻るかな?日柄かな?

先生もスタッフも、ケージの中のさんの様子は把握しながら何も言わなかったしさんは別に苦しがる様子ではない。
やっと家に戻れてリラックスしたところなので一晩様子を見ることにした。

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まだ病み上がりで激しくは動かないし、水たまりや水滴はその都度拭き取ればいい。だいたいその水たまりがあまり臭くない。
普通ネコのおしっこは強烈なにおいがして後に残ると大変なのは、ネコを飼っている方ならわかると思うけれど、あまり匂わないしどちらかというと薬臭い。微妙。

ずっと点滴入れられてたしなぁ・・・

そのちっこ垂れ流しによっていつも下半身、お尻やお腹やしっぽが濡れているのがかわいそうだった。

寝るまでは人間が床を拭き拭き作戦でさんにはくつろいでもらい、夜はペットシーツを敷いたケージで寝かせることにした。
ケージの中にはトイレも設置した。
その晩は心配なので私はケージの近くで仮眠をしたのだけれど、さんがトイレを使う気配は一切なくて、その代わり座っているところのシートがみるみる濡れていく。

さんはとても居心地が悪そうだ。濡れたシートを前足でかき寄せてくしゃくしゃにしてしまう。
その晩は何回かシートを取り換えて、さんを撫でながら、またさんに謝ったりして過ごした。(さんに申し訳なさすぎて、心の中には「地上の星」が流れている)

そして翌朝、様子を見てもトイレは一切使わずぽたぽた垂れ流しは治る様子がない。(大きい方は、ほとんど食事を摂れていなかったのでほんのわずか、ゆるゆるをトイレにしていた)

午前中もそんな様子だったので午後、診察開始の時間を待って病院に電話をかけ、さんの様子を伝えてみた。

するとセンセイ「えっ?!」とおっしゃる。

えーーっ。センセイご存じなかった。
多分入院中さんのペットシーツが濡れているのを、その場でちゃんとおしっこができていると捉えていたのだろう。さんがケージの中でフリーズして一切動かないので、余計に垂れ流しが分からなかったに違いない。
偶然にも容器も砂も家のと全く同じトイレをケージに入れてもらっているのに使っていないそのことを、私も病気とカテーテルでさんがまだちゃんとトイレが使えないのかと思っていた。

さんがトイレの失敗を一切しないネコだということをもう少しよく考えればよかった(このことについては次の記事で詳しく)。そしてほんの少しの疑問も遠慮せずに尋ねるべきだった。

センセイさんがずっとびしょびしょしているのはWhy?

どうやら排尿の感覚が麻痺しているようだ。

電話口で先生は「排尿の感覚の麻痺は外からレーザー照射で戻るかもしれない」とおっしゃった。

早速さんをバッグに入れ、再び獣医さんのもとへGO!
さんはちっこ垂れ流しの不名誉から脱却できるのか?!

まだまだ我々の闘いは続く。

ああ早く「ヘッドライト・テールライト」が聞きたい。


ちなみにまる女王は、さんがいない間「望月の我が世」を取り戻し天下人(天下にゃん)を謳歌していたのだけれど、再びさんが、しかも微妙な匂いをさせて登場したものだからケージに入れられたさんに唸りまくっていた。

ガウーガウー。

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2匹の関係はさんがたった三日いなかっただけで、さんを保護した当時に逆戻り、元の木阿弥?
病人への思いやりはどうした女王陛下。
これがホントの三日天下。

さんの入院中、我々は以前のようにまるのゴハンを出しっぱなしにする癖が戻ってしまい、時々さんに食べられた。コレさん結石するから・・・
人間は慌てるしまる女王はものすごく不機嫌。
まる女王までもが別の角度からこの闘いに参入し、どうなる我が家。





只今のさん

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メシがウマい!
おばたん前の記事の後別のこと楽しくなっちゃって、ショートショート書いたりまる女王様を讃える記事書いたり、ボキのこと書くの忘れてませんかね?ちゃんと最後まで書いてくださいでしよ?


まるを讃える記事でいただきました。ありがとうございます。

スクリーンショット (22)

公式のマガジンにも入れていただきました。

  

第4回へ続く


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