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【短編小説】「人間の檻」(8,121字)
広い空間だった。
俺が通った小学校の体育館よりも二回りほど大きいだろう。どこかの研究施設だろうか、壁は真っ白で、その病的なまでに清潔な白さがどうにも俺を不穏な気持ちにさせた。
そこには多くの人間がいた。
百五十人か二百人か、もっといるかもしれない。下は小学校中学年くらいの子供から上は車いすに乗ったよぼよぼの爺さんまで幅広い。もちろん男性も女性も混ざっていた。
そこにいる人間たちの何人かに、俺は見覚えがあった。
あそこにいるのはかつて世間を騒がせた連続水道水脳漿混入事件を解決した二世議員探偵。あっちにいるのは幼児連続右足持ち去り事件を解決した雨男探偵だ。
そう、俺を含めてここにいるのは全員が探偵ではないかと思われた。
妙な男たちから身柄を拘束され、気が付けばこのようなところで目を覚ましたのだが、他のやつらもおおかた同じようにここに集められたのだろう。
「あ、あ、あ」
気づけば前方に設けられた壇上にマイクを持った男が立っていた。
「私、サトウと申します。さて、時間があまりありませんので早速本題に入りたいと思います」
なにか良くないことが起きているのかもしれない、サトウを名乗る男が尋常でない汗をかいているのが分かった。
「昨日、レオナルドの居住施設から一名の女性が帰ってきました」
室内が一斉にざわついた。
説明の必要のないことかもしれないが、レオナルドというのは三年前に地球に現れた宇宙人である。
突然、シカゴ・北京・シドニー・リオデジャネイロ・東京に降り立った五体の宇宙人は、それぞれラガサ・マンニィ・ノウル・チョーイワン・レオナルドと名付けられた。
彼らは高度な知能を有しており、それぞれが各国政府と交渉し、ある条件を取り付けた。交渉がまとまるまでの経緯は異なるが、最終的に交わされた条件は同じだった。
『人類の安全を保証する代わり、食料として一日に一名の人間を提供すること』
宇宙人がわざわざ天の川銀河くんだりまでやって来たのは、食料としての人間が目的だった。だが、大々的に捕食しては人類との全面戦争は避けられない。そこで宇宙人は狡猾に交渉を進め、各国に人間を提供することを承諾させたのだった。
日本では、レオナルドの求める条件に合致していた福岡県の博多港を更地にし、そこにレオナルドの居住施設を建設、レオナルドとの交渉の末、毎年一月一日に三百六十五人の人間を送り込むことが決まった。施設内に人間が一年間暮らすだけの設備は整えられていた。仮に条件を反故にした場合には、レオナルドによって日本全土を焦土とされても異存ないことまでも契約書に明記されたという。
レオナルドの餌となる人間の選定にはひと悶着あったが、一年目、二年目と無事にレオナルドの機嫌を損ねることなく経過した。
そして三年目となる去年の十二月三十一日の夜――つまり昨夜、レオナルドの餌として去年レオナルドの居住施設に送られたはずの一名の女性が、居住施設の外を歩いているところを保護されたのだという。
「不思議なことに、レオナルドから政府に対して契約違反を告発する連絡はありませんでした。通常どおり、本日一月一日の午後九時までに三百六十五人の人間を送ってくるように言ってきています」
言い終わると、サトウはハンカチで額の汗を拭いた。話を聞く限り、その動揺も無理ないものに思えた。
「失礼」
探偵の一人が手をあげた。サトウが先を促す。
「レオナルドの体調などによって人間を食べられない日があったのでは?」
「それはないでしょう」男は否定した。「去年、北京でラガサの居住施設から餌の一人が脱出したことによって、北京全域が壊滅したのをお忘れですか? 彼らは数字に厳格でありプライドも非常に高いです。どれほど体調が悪くとも、三百六十五人から一人でも少なければ人類を許しはしないでしょう」
サトウの言葉を聞いて探偵は沈黙した。
「では、ここからが本当の本題です。政府は何に変えても一人の女性が生き延びた謎を解き明かしたいと考えています。そうすることで未知の宇宙人の要望に対して何らかの対策を立てられる可能性があり、それが政権の安定に繋がるからです。
そこで、ここに三百六十五名の探偵を集めました。探偵の皆さんであればもうお分かりでしょう。タイムリミットは午後八時です。それまでにこの謎を解き明かしてください。解き明かせればその一名だけは助けることを約束します。それ以外の人たちは即レオナルドの居住施設に送られ、今年中にレオナルドの胃袋に収まることでしょう。もちろん解き明かせなければ全員がレオナルドの胃袋行きです」
俺は腕時計を確認した。
午後六時過ぎ。あと二時間ほどで、俺たちはレオナルドの居住施設に運ばれ、どのような生活が待っているか知らんが長くても一年以内の命になるということか。
俺は一瞬だけ絶望したが、すぐに頭を切り替えた。
要は女が一人生き延びた理由を最初に解き明かせば良いのだ。他にどのような探偵がいるか知らんが、どうせ俺より頭の悪い馬鹿ばかりだろう。
「保護された女性から話を聞くことはできんのか?」
二世議員探偵は言った。確かに手掛かりは多い方がいい。居住施設の中のことなどは俺もよく把握していない。
「彼女はここにいますが、まだ意識が混濁しているようで話を聞ける状況ではありません。落ち着けば必ず、彼女から話を聞く時間を設けます」
二世議員探偵は頷き、手をあげた。
「じゃあ俺から推理を披露させてもらおう」
この少ない手がかりから――俺は感心したが、感心している場合ではない。これで正解した場合、二世議員探偵だけが生き延び俺たちはレオナルドの居住施設に強制移動だ。
俺は固唾を飲んで二世議員探偵の推理を待った。
【二世議員探偵の推理】
本来なら俺の手をわずらわせることもない、至極簡単な推理だ。だが、正解した一名しか生き残れないというのなら、早速回答させてもらおう。
簡単なことだ。人間は増えるものだ。
“レオナルドの居住施設に運ばれた三百六十五人の中に、妊娠中の者がいた”んだろう。
居住施設に運ばれた後に出産し、何番目か知らんがレオナルドの餌食になった。
レオナルドの条件は、一日に一名の人間だったはずだ。年齢は関係ない。
そのようにして一名が余り、用なしとなった女性が居住施設から脱出したのだろう。
さて、早く俺をここから解放してくれ。でないと親父に言いつけてお前はクビにさせるからな。
やられた――正直、俺はそのように思った。
だが、続くサトウの言葉は残酷なものだった。
「無用なトラブルを予防するためにレオナルドの居住施設に運ばれる人間が誰一人妊娠していないことは確認済みです。残念ながら不正解です」
言い終えると、どこからかスーツの男たちが現れて、あっという間に抵抗する二世議員探偵をどこかへ連れて行ってしまった。
それがどこか、俺にはなんとなく察しがついていた。
「言い忘れましたが、我々には時間がありません。皆様には高い緊張感をもって回答していただく必要がありますので、一度の不正解で探偵失格とし、一足先にレオナルドの居住施設へと向かっていただきます」
ざわめく場内。いくつかの悲鳴も聞こえた。
だが、動じていない人間も何人かいるようだ。雨男探偵もその一人のようだった。
「私が回答してもよろしいでしょうか」
「ぜひお願いします」サトウはハンカチで額の汗を拭いて答えた。
【雨男探偵の推理】
二世議員探偵の推理も一理ありますが、私の推理は逆の発想のものです。
どういう経緯でレオナルドのもとに一年分の人間をまとめて運ぶことになったのか分かりませんが、一年というのは長い時間です。それも老若男女の人間がそこに送られる訳です。中には、生活の中で死亡する人もいるのではないでしょうか。
その場合、追加で人間を中に送り込まないといけない。
おそらく、昨年中に一名、レオナルドの居住施設内で死亡した人がいたのではないでしょうか。
そこで政府は追加で一名の人間を送り込んだが、何らかの理由で死亡したと思われた人間が施設内で息を吹き返した――いや、ひょっとするとレオナルドは人間の生死を判別できないという可能性すらあります。つまり“レオナルドに死体を食べさせたところ一名分とカウントされた”ので、追加された人間一名分が余り、一名が生き延びた。如何でしょうか。
俺は唸った。
レオナルドが人間の生死を判別できない――。確かに自分たちにとって宇宙人の生態はなにも知らされていないのと同じであった。
仮定に基づく論拠だが、あながち間違いでもないかもしれない……俺はサトウの返答を待った。
「残念ですが、昨年、レオナルドの居住施設に送られた人間が死亡したという連絡は受けておらず、当然、人間の追加配送もされていません。また、契約書には、レオナルドに提供される人間の生命活動が維持されている必要がある旨、明記されています」
雨男探偵は真っ青になって運ばれていった。
全てを説明する時間がないとはいえ、追加で情報が出てくるのは厄介だった。だが、自分ひとりだけが正解するにはそれも好都合と言えた。
時刻は六時半を回っていた。
自分の中で推理がいくつかないこともなかったが、いずれも確信を持てずにいた。
それからいくつかの回答が示され、いずれも正解には至らなかった。
もう少し、俺は状況が動くのを待つことにした。
【キャバ嬢探偵の推理】
アタシ、さっきの二世議員探偵の推理を聞いてずっと引っかかってたの。
それから、雨男探偵の居住施設の中で一名が死んだんじゃないか、って推理を聞いてピンときた。
確かに、送り込まれたとき妊娠してる子はいなかったのかもしれないわ。だけど、“居住施設に送られてから性交渉を行い妊娠した”とすれば?
一月一日に施設に運ばれたその日にエッチしてデキちゃえば、九月か十月には赤ちゃんが生まれるはず。つまり、施設内の人間が一名増えることになるわ。
全員が固唾を飲んでサトウの言葉を待った。
「それは……可能性がないとは言えません。全員の避妊手術をしたうえでレオナルドの居住施設に送り込む、というようなことは行ってはいませんので。ただ――」
※
「そこからは私が説明します」
私は壇上から探偵たちを見下ろして言いました。
「もう、大丈夫なんですか?」
汗びっしりのサトウの言葉に、私は短く頷きます。
自分が不要となったことに気づいて無我夢中でレオナルドの居住施設から逃げ出して、これまでの記憶はほとんどありませんでした。しかし、キャバ嬢探偵の推理が間違っていることだけは分かりました。
「申し遅れました。私は去年の一月一日から昨日十二月三十一日までレオナルドの居住施設で生活していました、スズキと申します」
室内が一斉にざわつきますが、私は続けます。
「先ほどのキャバ嬢探偵さんの推理ですが、あり得ないと断言できます。居住施設には最初は多くの人間がいますが、一日に一名ずつ、人間が減っていきます。十月ともなると残った人間は九十名から六十名ほど、女性だけに限定すればその半数ほどでした。その全員が顔見知りであり、その中に出産を経験した人がいないことは私が証明できます」
キャバ嬢探偵が連れていかれるのを見送り、私は心を痛めます。しかし、私に政府の決定を覆す力はありません。私が推理を否定しなくとも、いずれ彼女はレオナルドの居住施設に送られていったことでしょう。
「ちょっといいか」
粗雑な雰囲気の中年の探偵が手をあげ、サトウが先を促します。
「残り時間はあと一時間だ。このまま適当に答えを挙げていくよりも、そこのスズキさんにレオナルドの居住施設でどんな風に人間が食われるのか、そしてどうやって一人だけ生き延びたのかを語ってもらった方が正解する確率が高くなりそうだがどうだろう」
「ああ」「異論ない」「仕方なかろう」そのような声が上がるので、私はあくまで簡潔に、知っていることを説明することにしました。
「私たちは一月一日にまとめてレオナルドの居住施設に運ばれます。居住施設は人間の居住スペースとレオナルドの居住スペースに分けられていて、人間の居住スペースに入った私たちはまずくじを引きます。
一月一日から十二月三十一日までの日付が書かれた三百六十五種類のくじがあり、運の良い私は十二月三十一日のくじを引きました。もうお分かりですよね。これは私たちがレオナルドの居住スペースへ行き、食べられる日付を決めるくじだったのです。
一日ごとに人間の数が減っていく生活にも慣れ、少しずつ自分の順番を意識し始めていた九月九日、異変が起こりました。九月九日に食べられる予定だった女の子が、レオナルドの居住スペースに行ってから無傷で戻って来たのです。詳しく聞けば、レオナルドから“今日の分の人間はもう食べたから戻るよう”言われたそうです。
私たちは混乱しましたが、話し合いの結果、九月九日を飛ばして、生き延びた女の子を九月十日にレオナルドの居住スペースに送りました。九月十日にレオナルドのもとへ行った九月九日の女の子は戻ってきませんでした。
そして十二月三十一日の夜、十二月三十日のお爺さんがレオナルドの元に行き、戻らないのを確認してから、私はレオナルドの居住施設を逃げ出しました。三百六十五日分の食料として三百六十五名の人間が送られたにも関わらず、なぜか私はひとり余ったのです」
私の言葉が終わると同時に、小さな手がひとつあがりました。
【私立小学生探偵の推理】
スズキさんの話を聞いて皆も分かったと思う。
九月九日に食べられるはずの少女が食べられていないことから、九月八日または九日に本来予定になかった人間がレオナルドに食べられていたんだ。
ただ、それは人間とは限らないと思う。例えば、“九月八日の夜中にレオナルドの居住スペースに野生のチンパンジーが忍び込んで、運悪く食べられてしまった”としたらどうだろう。
いや、そういう反応になるのは分かるよ。ただ、人間とチンパンジーのゲノムの違いはわずか一・二パーセントと言われている。果たして宇宙人であるレオナルドにその違いを見分けることができただろうか。つまり、“宇宙人であるレオナルドは本当に外見で人間を認識できたのだろうか?”ということなんだ。
僕はここで退席になるだろうけど、僕が提示したかったのは可能性の話だ。僕がここで犠牲になっても、ここにいる探偵の誰かがこの謎を解き明かしてくれたらそれでいいよ。
「残念ですが、居住施設は全方位監視されておりチンパンジーが入る隙間はありません」
サトウが言い、私立小学生探偵が連れていかれます。
しかし、彼の推理が火を付けたのでしょうか。いくつもの手が同時にあがりました。
【アル中探偵の推理】
ガキにだけいい恰好させれねーから俺も言うわ。
チンパンジーはめちゃくちゃだが、レオナルドの知覚について着目したのはいい線だと思うぜ。
俺の推理はこうだ。
“九月八日に食われた人間はシャム双生児だった”んだよ。
九月八日に体が結合した人間――もちろん一人分の餌とカウントされてる――を食ったレオナルドは、二日分の人間を食ったと認識し、九月九日は人間を食う必要がなかった。これが答えだろうが。
「運ばれた三百六十五名の中にシャム双生児はいませんでした」
アル中探偵はなぜか満足げに運ばれていきます。
【宇宙飛行士探偵の推理】
私がさらに彼らの推理を発展させましょう。
論点はレオナルドが人間をどのように認識しているか、という方向で間違ってないと思います。人間はなにをもって人間とみなされるか、そういう問題でもあるでしょう。
例えば顔の数であればどうでしょう。腹部に人面瘡があれば二人の人間とみなされた可能性もあります。
しかし、私は一つの可能性として心臓の数を挙げたいと思います。
“九月八日の人間は心臓が二つある病気だった”んです。
サトウは首を振ります。
「全員の疾患の有無は事前に調査済みです」
宇宙飛行士探偵が連れていかれ、似たような推理がいくつか披露されましたが、そのどれもが私かサトウによって否定されていき、やがて八時は目前となっていました。
汗をぬぐいながらサトウは言います。
「皆さん、残念ですがリミットが近いです。探偵ということで皆さんの頭脳に期待しましたが、期待外れであったようです。回答は最後の一人とさせていただきます」
そこには私とサトウを除き三百三十三名の探偵たちがいました。
最後の一名の、手があがります。
※
気づけば俺は手をあげていた。
自信があるといえば噓になる。
だが、俺は他の探偵たちの思いに答えたかった。それは探偵としての謎への挑戦であり、人間としてのレオナルドへの挑戦でもあった。
【■■■■探偵の推理】
この推理を聞いても怒らないでほしいんだが、俺の推理は検証不可能だ。だから、そこのサトウとかいうオヤジに肯定も否定もできないだろう。この場合は俺の処遇はどうなるんだ?
まあいい、俺の推理はこうだ。
基本的にはこれまでの探偵たちと同じように、九月八日の人間に特殊な事情があったと考えている。
それは、“一人の人間に二つの意識が入っていた”ということだ。
宇宙人であるレオナルドは人間を肉体として見ていない。おそらく意識の数で人間の数を知覚しているんじゃないだろうか。つまり一人の人間の中に二つの意識がある場合は、二人の人間として知覚されるんだ。
九月八日の男はおそらく二重人格のような、二つの意識を持つ人間だったんだろう。
だが、政府がそんなリスクのある人間をレオナルドの元に送り込むだろうか。俺は政府も九月八日の男のそのようなパーソナリティは知らなかったんじゃないかと考えている。
つまり、さっきも言ったがこの推理は検証できない。合っているか間違っているか、誰にも分らないんだ。まあ、推理を話せて満足だ。あとは煮るなり焼くなり好きにしてくれ。
言い終わると、なぜかサトウを除く三百三十三名の探偵たちがきょとんとした顔で俺を見ていた。
このような状況に俺は覚えがあった。
同業者たちから二重人格探偵と呼ばれる俺の肉体には、もうひとりスズキという名の女性の人格が共存していた。直前までその女性が現れていたとき、決まってそのような反応が返ってきた。
そう、ここは俺が語るべき場ではなかったのだろう。
俺は――
※
私は突然、男たちに身柄を後続され、バスに乗せられました。
このバスのことは覚えています。一年前の今日、私は同じようにこのバスに乗ったのですから。
「レオナルドが人間を意識で知覚しているかどうか、あなた自身で証明してもらいます」
別れ際にサトウは大量の汗を拭いながら言いました。
探偵たちを乗せたバスが発車し、私たちが短い時間を過ごした施設が遠ざかっていきます。
レオナルドの居住施設に入ると、私たちはまずくじを引きました。
私が食べられた翌日にレオナルドが人間を求めるか調べる必要があったため、私が十二月三十一日のくじを引いた際はくじを引き直すことになりました。
二月二日。くじの結果、それが私の命日となることが決まりました。
覚悟を決めるには少し短いですが、居住施設で探偵たちの推理を聞くのは楽しく、あっという間にその日が訪れました。
レオナルドの居住スペースに向かう私の背中を、心配そうな表情の探偵たちが見送ります。
そして私は、ついにレオナルドの居住スペースのドアを開け――
※
気が付けば俺はどデカい怪物の目の前に立っていた。
地球上のすべての悪臭を煮詰めたような臭いがし、俺は気を失いかけるが、すぐに激痛で目を覚ました。気づけば俺の腹から下がなくなっていた。
俺たちは本当にレオナルドの謎を解き明かすことができたのだろうか。残念ながら俺はその結末を見届けることができないようだった。
薄れゆく意識の中、俺の血液と粘液の向こうで、未知の宇宙人が笑った、気がした。
こちらもどうぞ。
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