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医師国家試験・勉強法紹介(116回合格)〜集中期間1ヶ月半、医学以外のやりたいことも貫いた私の作戦〜


はじめましての方ははじめまして、応援してくださってる方はありがとうございます。医学生(を卒業しました)ライフコーチのフタバです。

3年生頃からワークショップ作成やファシリテーションを始め、
4年生の10月、共用試験を終えたタイミングでコーチとしての活動を開始。
6年生の4月に大学生向けアントレプレナーシップ育成プログラム「未来デザインアカデミー」を立ち上げ、12月半ばまでプログラム運営に全力投球することを選びました。

同級生と比べて、要領が悪いほうであると自覚していました。
少し試験対策の気を抜くと、本試験に落ちてしまう6年間を過ごしました。

しかし、学外活動にいま全力を尽くしたい理由がありました。
そのため、「国試対策」だけに集中できる期間が短くても 要求水準を満たせるよう何をするか、頭をひねって作戦を立てました。

結果、第116回医師国家試験で 合格をいただくことができました。


本記事は、医学以外にもやりたいことがある人が、それを国試のために中断せずに両方をやり遂げた一例として、参考にしていただけたら幸いです。


■この記事を伝えたい方

・医師国家試験を受験予定の方
・医師免許を取得したいが、医学以外にもやりたいことがある方
・資格試験を控えているが、まとまった勉強時間を取りにくい方


本記事は、先日公開した勉強法note(以下、総論noteと表記)の内容を下敷きにして書いています。
先に総論noteを読んでいただけると、本記事がスムーズに読めると思います。


!注意!
本noteの内容は、短期間での合格を保証するものではありません。勉強内容や勉強時間はあくまでも参考程度に捉えていただきたく思います。
模試や過去問などを参考にしつつ、試験におけるご自身の課題を埋められるように勉強していってください。



■国試に向けて、どんな勉強をしたか


●実習スケジュール・使用教材

病棟実習は、4年生の1月〜6年生の9月に行いました。
うち4年1月〜5年8月に1週間 x 全科の実習、
5年9月〜6年9月に3週間 x 14科の実習(一部自由選択/就活休み無)を行い、
10月半ばにpost-CC OSCEを受験するスケジュールでした。

教材は、Q-Assistに非常にお世話になりました。
総論noteの分類で主な使用教材を紹介すると、以下のとおりです。

「過去問題集」:クエスチョンバンク(QB) online(Vol.1~7)、回数別115, 114, 113
「ハブ型参考書」:Q-Assistの講義ノート(GoodNotes)、レビューブック(RB)感染症(感染症+呼吸器+中毒+産婦人科STI)、RB公衆衛生、RB必修
「辞書型参考書」:Q-Assistの映像講座(Q-Assist Prime)、病気がみえる、MSDマニュアル、指定難病ページ  など
「暗記ツール」:Anki、医ンプット  など


以下、各時期にどんな勉強をしたかを列記してみます。


●〜6年生の7月:実習に行くことで精一杯。国試対策に手を付けられない

そろそろ国試勉強に取り掛からないとまずい、と思いながら、朝が苦手すぎるために、実習に行くことで精一杯の日々を過ごしていました。

6月に大学申込で受けた第1回TECOM模試の解説が(知識不足で)理解できず、
「9月には、第2回TECOM模試の解説を理解することができるレベルになろう」
と目標を立てました。

・・・この時期の勉強時間:〜7時間/週



●8〜10月:インプットを急ぐ夏休み、無限にも思える講義動画

試行錯誤を続けるも、私には実習のある期間にまとまった勉強時間を取ることは不可能だと痛感したため、3週間の夏休みでメジャー科+産婦小児科の講義動画視聴終了を目指しました。

この期間は、総論note「③ab 必要な知識や考え方を習得する」「④ 分野別に問題演習をする」にあたります。
1周目のインプットにはまとまった時間が必要ですが、2周目以降はスキマ時間の勉強が有効利用できるようになります。大変でしたが、踏ん張りどころです。

*ダラダラ勉強を防ぐため、インプットは以下の順で行っていました。
A.消化器の1周目問題を解く(全く分からない問題は無回答Xにして解説を読む)
→ A.の講義動画視聴(1周目問題で◎や◯が多い講義は見ない)
→ 再度A.の1周目問題を解く(講義ノートを見て解けた問題は△)
特に覚えることが多いと感じた科(感染症・公衆衛生)は、講義ノートを使用せず、講義動画を見ながらレビューブックに書き込みました。

*この方法を取ることで、以下のような効果を感じました。
・1回目は全く問題が解けないので、勉強の必要性を痛感する
・視聴すべき動画時間を削減
・間隔あけず3回インプットするので、嫌でも覚える(頭に入ってきづらい内容の場合は、これ無理なやつだ…っていう感触を覚えてしまう…。)

・・・この時期の勉強時間:夏休み25時間/週、その他〜7時間/週


9月に受けた第2回T模試(大学申込)では、勉強を終えた科については解説を読んで「ああ、それかあ!」と言うことができるレベルに到達しました。
しかし、ここで総論noteの「⑥b 鑑別」ができていないことに気づきます。

そこで、「11月の第3回TECOM模試では、国試的なキーワードに気づけるようになろう」と目標を立てました。

「Ⅱ音の奇異性分裂」「犬吠様咳嗽」「腹部は板状硬」「急な脱力症状、数週間前に食中毒」
国試対策上は、これらのようなキーワードを見たら、特定の疾患とその治療法をパッと思い浮かべることが必要なようです。臨床のことはまだわかりませんが、見逃すとヤバそう…
キーワードから疾患名を想起するトレーニングをするべく、わからなかった単語についてAnkiカードを作成し、徹底して覚えるようにしました。



●11月,12月前半:実習が終わり、細切れでも勉強時間を作ることが可能に。

メジャー科+産婦小児の2周目、マイナー科の1周目を頑張りました。インプット方法は前述のとおりです。

まだ暗記できていない事項を洗い出し、とにかくAnkiカードを作成しては勉強し続けました。30秒あれば1枚できる、の精神で。

11月の第3回TECOM模試(学校申込)では、「国試的なキーワード」に概ね気づけるようにはなりましたが、「比較対象疾患による、よくある引っかけ問題」にことごとく引っかかる状態でした。

勉強しても勉強しても範囲が終わらず、嫌になってきた時期でもありました。
モチベーションが低くても進めなければならないときは、必修問題を10問ずつ解いてO△Xをつけていました。
ここで「要復習の必修問題」にだけ△Xをつけられていたことで、直前期の演習量を減らせて、少しラクができました。

・・・この時期の勉強時間:4〜35時間/週、波がある



●12月後半:冬期講習なしでも直前期講習を理解するために

取り組んでいた学外活動「未来デザインアカデミー」がひと段落し、2月まで国試対策に集中できる状況になったときには、既に12月半ばでした。6月の時点で覚悟していたことですが、いざその状況になってみると焦りが生まれました。

この時点で「マイナー科ほぼ全ての動画講座と1周目問題」「公衆衛生の動画講座」「必修の動画講座」が未習の状態。
各予備校が出している「冬期講習」の受講を諦めました。

そのかわり、Ankiカードを徹底的に回し、メジャー科の講義ノートは全て覚えてしまうくらいを目標に、既習教材の完成度を上げることに注力しました。


・・・この時期の勉強時間:35〜45時間/週



直前期模試はMedicMedia社第2回模試、MEC社冬模試の2つに絞り、それぞれに目標得点率を設定して、できる限り本番と同じ環境をつくって取り組みました。
6~11月のTECOM社模試では一貫して偏差値40前後でしたが、直前期模試ではどちらも平均点付近を取ることができ、少し成長を感じました。


●1月中旬:やっと同級生に追いつく

12月後半からの作戦が功を奏し、直前期講座を理解できるレベル感に到達することができました。最後1ヶ月はセオリー通り、過去問3年分と公衆衛生の詰めを行いました。

直前期講座の個人的な推しはMECの「Dr.宮田のファイナルチェック」です。
この講座を受講したことで、12月から課題だった「よくある引っかけにことごとく引っかかる」状態を脱することができました。
ただし、4コマで(下線部のみでも)300問近くを「参考過去問」として提示するような密度の高い講義でしたので、1周目の受講はお早めに。

この時期になっても、まだ頻出知識の抜け漏れがありました。
もう「理解して覚える」は無理な時期だと思い、最終記憶ノートを作って毎日眺める作戦にしました。
ここでまとめた知識たちは、国試本番の休憩時間に参照したくなったものばかりでした。

最終記憶用・ミニマムノート(A6)


・・・この時期の勉強時間:45〜70時間/週





■国試対策の振り返り

●やっててよかった…おすすめ4つ

*なんのために医師免許が必要なのか、理由を明確にしておくこと
範囲の広すぎる勉強なのに、時間が限られていて…心が折れかかったときに頑張ることを選べたのは、「医師免許を使ってやりたいこと・医学を学んでこそやりたいこと」を設定しておいたからでした。

*病棟実習の時間で、(国試に出るかは気にせず)できる限りのことを学ぶ姿勢
病棟実習の期間には知識がほぼ無く、基礎的すぎる質問で先生を呆れかえらせてしまうことが多くありました。
ですが、「可能な限り予習していこう、分からないことはその場で調べる姿勢を見せて、何かしら学んで帰ろう」という姿勢でいたからこそ、病棟で勉強させていただいた疾患、処置や対応は本番まで印象に残りました。

*Ankiカードを自作し、「ハブ型参考書」を貼り加えながら育てたこと
作成したAnkiカードは、最終的に700枚近くなりました。暗記すべき事項は膨大で、自作すると時間がかかりすぎると思う方も多いかもしれません。
が、Ankiカードの解答面に自分で書き込んだ「ハブ型参考書」を貼っておいたおかげで、「ハブ型参考書」を目にする回数を圧倒的に増やすことができました。
まとまった時間を取りづらい方にこそ、心からおすすめする勉強法です。

*QB onlineで要復習リストを作ったこと
最後2週間で演習した問題で△Xのもののうち、必ず当日までにもう一度復習したい問題だけを選んで「要復習リスト」を作りました。
毎日300問近く勉強していれば間違えるものも少なくは無いため、最終的には復習対象を絞らざるを得ません。私の場合は、国試本番時点で多くの問題が△Xのまま残ってしまいました。
「やっておきたい最低限」を決めておいたおかげで、前日夜の復習をスッキリと切り上げて眠りにつくことができました。


●やればよかった…後悔3つ

*最新3回の過去問は、早めに一度解いておく
知識がついてから最新回を解いて力試しをしよう、と115回過去問を12月頃まで(!)解かないでおきました。
しかし、それまでの模試で直近3回分の類題が大量に出ていたため、115回を初めて解いた感想は「なんか見たことある」になりました。
国試を本気で研究されている予備校の先生方、すごいです。

*メジャー科の2周目より、マイナー科の1周目を優先する
模試までの限られた時間を、メジャー2周目とマイナー1周目のどちらに使うか…
究極の2択で前者を選んだ結果、11月の模試ではマイナー科全部で偏差値40を切って冷や汗をかきました。
国家試験対策を大学受験の科目に例えるなら、メジャー科は「有機化学」マイナー科は「無機化学」に似ていると思います。後者は、見覚えのある知識がたまたま出て解けてしまう場合があると感じます。模試成績が進退に影響する方は、お早めに。

*クエスチョンバンクのVol.6(公衆衛生), 7(必修)を買う
公衆衛生、必修、ともに解答から理由を推測しやすく、解説の必要性を感じづらかったため購入を見送っていました。
しかし「ハブ型参考書」にレビューブックを選んだ私は、解説にRB参照ページがあったことで復習効率が大幅にアップしました。この組み合わせで対策する予定の方は、購入がおすすめです。

■まとめ

長々と「私の一例」を語らせていただきました。ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

「医師国家試験」というのはなんとも不思議なプレッシャーのある試験ですよね。医学部受験をしていた頃から見たらひとつの大きなゴールでありながら、「医師」のキャリアとしてはスタート地点に過ぎないのかもしれません。

総論note でも、「試験対策」を早めに終わらせてやりたいことを学ぼう、という話をまとめに置きましたが、医師国家試験においてもそれは変わらないと感じました。

「医師」という職業にどの程度自分のキャリアを重ねていくかは、人それぞれだと思います。読んでくださった方のなかには「医学」以外にも興味のある方が多いかもしれません。
そんなみなさんが、意志をもって「やりたいこと」や「好きな自分の一部」を活かす人生設計をできますように、微力ながら応援しております。



■付録(実際に使用した計画・実施スプレッドシートの公開)


どの時期にどんな勉強をしていたか は記事で詳しく説明してみましたが、
「実際の勉強計画を知りたい!」
「フタバの進捗管理シートを使ってみたい!」
という方に向けて、実際に私が使用していたシートを公開します。


スプレッドシートに含まれる情報は下記の通りです。
・模試管理シート
・QB1周目+動画視聴 の計画実施シート
・QB2周目 の計画実施シート
・直前期 の計画実施シート
・直前4週間 の計画実施シート
・直前10日 の計画実施シート

上記6種について、すぐ使用できるようなテンプレート と 私の使用例 を含む全13シートを共有します。
条件付き書式などを駆使した、ガントチャートのようなレイアウトのシートとなっているため、26科目をまんべんなく勉強することが要求される医師国家試験の進捗管理には便利なものだと思います。


*以下の理由から、スプレッドシート共有部分を有料とし、無許可でのリンク配布を禁止します。
・私自身の個人情報を含むため
・出身大学の実習スケジュールが含まれているため
・模試の成績や点数が含まれているため
ご協力よろしくお願いいたします。

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