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2020年5月JAWS-UG勉強会まとめ

緊急事態宣言が解除され、世の中は通常に戻ろうとしていますが、東京の新規感染者数は再び2桁となり、私たちが直面している問題の難しさを改めて思い知らされています。

JAWS-UG (Japan AWS User Group)は70以上の支部から成りたち、AWSクラウドに関連する勉強会を全国各地で開催する、AWSユーザーが主体となって活動しているAWSユーザーコミュニティです。今回の外出自粛要請を受けて、勉強会開催について一時は先行きがまったく見えませんでしたが、各支部はインターネット会議サービスを使ったオンラインの勉強会に速やかにシフトし、その活動を継続しています。結果的にJAWS DAYS 2020がオンライン開催されたことは大きなきっかけになったと思います。(*1)

AWSのコミュニティ担当として、JAWS-UG全体の活動のバロメータとして「勉強会の開催回数」と「勉強会への申込者数」をモニタリングしています。JAWS-UGの支部の多くはDoorkeeperもしくはconnpassのどちらか、または両方を使って勉強会開催の告知および申し込み受付を行っているので、その2つのサービスからデータを収集しています。(*2)

これらのデータはWeb APIを使って、だれでもが取得できるオープンデータなので機密情報ではありません。そこで note を使ってJAWS-UGの活動状況を広くご紹介しようと思いました。(*3)

過去最高の月間申込者数となった5月

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5月の勉強会は当然ながら視聴者のみならず、登壇者やスタッフも自宅から参加する「フルリモート」形態となりました。4月は開催回数および申込者数ともに12回、819人と落ち込みましたが、5月は一転して、この数年で過去最高の申込者数を記録、多くの方がJAWS-UGの勉強会に申込みされました。

5月勉強会開催数 20回(対前月 ±0回、対前年同月 -11回、-35.5%)
5月勉強会申込者数 1,940人(対前月 +1,121人、対前年同月 +1,111人、+134.0%)
開催回年度累計 82回(対前年同期 -49回、-37.4%)
申込者数年度累計 6,052人(対前年同期 -509、-7.8%)

オンライン主体の勉強会の企画・開催となり、物理的な制約がなくなったことで席数の上限数も緩和・撤廃されているのが要因の1つです。以下は先月実施したJAWS-UGの勉強会です。

5月勉強会開催実績リスト(申込者数, 開催回名, 開催回告知URL)
452人 Security-JAWS#17(https://s-jaws.doorkeeper.jp/events/106722
333人 Fin-JAWS#13(https://fin-jaws.connpass.com/event/174458/
269人 Fin-JAWS#12(https://fin-jaws.connpass.com/event/174892/
110人 千葉支部#1(https://jawsug-chiba.connpass.com/event/174061/
107人 CLI専門支部#154R(https://jawsug-cli.connpass.com/event/173009/
100人 CLI専門支部#153R(https://jawsug-cli.connpass.com/event/173007/
99人 CLI専門支部#155R(https://jawsug-cli.connpass.com/event/173010/
93人 CLI専門支部#152R(https://jawsug-cli.connpass.com/event/173006/
86人 初心者支部#27(https://jawsug-bgnr.connpass.com/event/175803/
82人 CLI専門支部#151R(https://jawsug-cli.connpass.com/event/173005/
65人 名古屋支部(https://jawsug-nagoya.doorkeeper.jp/events/106557
40人 千葉支部#2(https://jawsug-chiba.connpass.com/event/175461/)
19人 浜松支部2020#5(https://jawsug-hamamatsu.doorkeeper.jp/events/106387
17人 情シス支部第24回(https://jawsug-sysad.connpass.com/event/176312/
15人 新潟支部#8(https://jawsug-niigata.connpass.com/event/172603/
14人 JAWS-SG#2(https://jaws-sg.connpass.com/event/173201/
13人 群馬支部#16(https://jawsug-gunma.connpass.com/event/175747/
10人 千葉支部#3(https://jawsug-chiba.connpass.com/event/176304/
9人     札幌支部#03(https://jawsug-sapporo.doorkeeper.jp/events/106702
7人     金沢支部#54(https://jawsug-kanazawa.doorkeeper.jp/events/106770

一方、これまでJAWS-UGのオフライン勉強会の歩留まりは80%以上と高いものでしたが、オンライン開催による席数上限の撤廃、オンライン参加での出欠確認プロセスの欠如などで「とりあえず申込み」と「事前の欠席/キャンセル処理なし」いう方が増え、歩留まりが50%~60%になっている事実も認識しています。実出席者数はDoorkeeper/connpassで取得できないこと、これまで歩留まりが高いことから取得していません。これは今後の検討課題となります。(*5)

なお、オンラインハンズオンの場合は、オンラインといえども、席の上限数を設定し、出席者をフォローするスタッフをチューターとして待機させています。オフラインの勉強会同様に、出席できない場合は事前キャンセルをして、キャンセル待ちをされている方に席を譲っていただくようお願いします。

オンライン勉強会開催へのシフトとその支援について

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勉強会開催支部数 14支部(対前月+2、対前年同月-5、-27.8%)

一方で勉強会を開催した支部については、外出自粛要請の影響が色濃くでています。開催した支部を前年同月で比較すると、2019年5月はアーキテクチャ支部、OpsJAWS、愛媛支部、群馬支部、函館支部、浜松支部、磐田支部、金沢支部、福岡支部、長野支部、名古屋支部、新潟支部、佐賀支部、札幌支部、横浜支部、Security-JAWS、X-Tech JAWS、CLI専門支部、E-JAWSの19支部が勉強会を開催しましたが、2020年5月はFin-JAWS、JAWS-SG、初心者支部、青森支部、千葉支部、群馬支部、浜松支部、金沢支部、名古屋支部、新潟支部、札幌支部、情シス支部、Security-JAWS、CLI専門支部の14支部でした。

オンライン勉強会の開催のノウハウはオフラインのそれとは違います。5月は群馬支部や新潟支部もはじめてオンライン勉強会に挑戦していただきました。運営だけでなく参加者にもオンライン参加のための機材や経験が必要となります。今後はオンライン/リモート枠を併設することが、規模の小さな支部でも一般的になりそうです。各支部の運営スタッフ向けにオンライン勉強会開催のアドバイスや支援が可能ですので、AWSの沼口までslackやFB messengerでご連絡ください。具体的にはAmazon Chimeによるオンライン会議室の提供や、二重化されたライブ配信環境の支援などです。

登録メンバー3,000人を越えた初心者支部

初心者支部3000人

2017年からDoorkeeper/connpassの勉強会開催回と申込人数の推移でJAWS-UGの活動状態を可視化する試みをして、上述のように数値的に現状把握をすることが可能なりました。2019年の終わりころから新しいチャレンジとして、どのくらい新しい人たちが参加しているかのモニタリングの手法を探し、Doorkeeperやconnpassの各支部ページの「登録者数」を集計し、その推移を見ています。

よく「JAWS-UGには何人いるのですか?」と聞かれるのですが、JAWS-UGは1組織としての会員管理というものがなく、何人いるかという把握は難しいのです。各支部は独立して勉強会やイベントを企画・運営しています。全国レベルのイベントであるJAWS DAYSやJAWS FESTAなどで各支部が連携し、運営に参加しますが、基本は各支部が「独立して、疎結合した、ネットワーク組織」なのです。よって、JAWS-UGに何人いますか?という質問には答えられませんでした。また、そのような疎結合組織なのであまりJAWS-UGの「会員数」というものに重要性を感じていませんでした。

一方で、新しいメンバー、新しい参加者の獲得はコミュニティの蛸壺化を避ける意味で重要です。勉強会個別のアンケートの参加回数の質問などで「初めて参加」「X回目の参加」から、どのくらいの方が新しく参加されたかを見ることはでき、今でもその方法が一番適切だと思いますが、JAWS-UG全体の推移についての仮説にするには乱暴です。そこで各支部のDoorkeeperやconnpassの登録者数の推移から、新しく勉強会に参加する人の推移が見えるかモニタリングしていました。(*4)

5月31日時点での活動状態の支部総登録者数 39,809人
(過去365日以内に1回以上勉強会を開催した支部の登録メンバー数合計)
以下は登録メンバー数順での支部リストTOP20です。最初の数字は5月31日時点での登録者数です。支部として今年の3月に初めて初心者支部が3,000人を越えています。
9,462人 JAWS-UG全国(JAWS DAYSなど全国イベント用)
3,152人 初心者支部(東京)
2,700人 関西連合(大阪、京都、神戸、関西IoT)
2,303人 コンテナ支部(東京)
2,202人 Security-JAWS(東京)
1,531人 AI支部(東京)
1,513人 CLI専門支部(東京)
1,360人 アーキテクチャ専門支部(東京)
1,231人 OpsJAWS(東京)
1,138人 IoT専門支部(東京)
1,089人 東京支部(東京)
1,079人 X-Tech JAWS(東京)
1,041人 横浜支部(神奈川)
   959人 Fin-JAWS(東京/Doorkeeper)*connpassにもあり
   781人 名古屋支部(愛知)
   781人 NW-JAWS(東京)
   637人 Fin-JAWS(東京/connpass)*Doorkeeperにもあり
   610人 HPC専門支部(東京)
   570人 沖縄支部(沖縄)
   544人 福岡支部(九州)
   494人 情シス支部(東京)

今年の1月時点から、この5月31日時点までに、あたらしく登録したメンバー数の増加率をみるとトップ10は以下になりました。括弧内は都道府県と支部ページで確認できる一番新しい勉強会のご案内済み日程です。

+82.4% +14人 JAWS-SG(学生グループ全国 2020/5/16)
+80.7% +713人  Fin-JAWS(東京 2020/5/25)*Doorkeeper+connpass
+31.0% +27人 浜松支部(静岡 2020/6/26)
+20.0% +367人  Security-JAWS(東京 2020/5/29)
+16.8% +51人 Media-JAWS(東京 2020/6/10)
+16.3% +7人      群馬支部(群馬 2020/5/14)
+15.6% +425人  初心者支部(東京 2020/6/10)
+13.7% +37人 札幌支部(北海道 2020/6/2)
+11.0% +49人 情シス支部(東京 2020/5/20)
+11.0% +9人     新潟支部(新潟 2020/5/9)

新規に登録会員数が増えているのは、定期的かつ比較的短いサイクルでの勉強会開催により、新規参加者が参加しやすい環境作りをしている支部が多いと言えます。

5月まとめ

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各支部の勉強会がオンライン開催にシフトしたことにより申込者数は大幅に増加(対前年同月 +1,111人、+134.0%)する結果となりました。歩留まりが悪いのでこの増加が実質の参加者の増加にはなりませんが、より多くの方々に勉強会の開催を知ってもらっている、という意味はあります。一方で、オンラインハンズオンの場合、欠席される場合にはオンラインといえども事前のキャンセルをいただくことを周知徹底する重要性を再認識した月でした。

オンライン勉強会は地理的制約がなくなり、これまで地域である意味独立していた支部の活動に変化が現れ、参加者と登壇者が他の地域から容易に参加できるようになりました。このことは地域支部間の交流を促進させることとなり「合同企画勉強会」が見受けられるようになり、新しいJAWS-UGの勉強会の形態になりつつあります。この新しいチャレンジに期待しています。

単独開催支部においてはCLI専門支部のオンライン勉強会移行の結果が凄まじく、回数および各回の申込数と参加者数が大幅増になっています。これまで20人ほどのコワーキングスペースで実直に定期的に開催してきた実績と、蓄積してきたハンズオン手順書と良く整備されたコンテンツによるもので、単純なオンライン移行で人数が増えたわけではないことを付け加えておきます。

今月は以上となります。JAWS-UG各支部運営の臨機応変な対応と大きな熱量に感謝いたしますた。また、本記事を最後までお読みいただきありがとうございました。ぜひ、JAWS-UGの勉強会にご参加ください。

注釈

(*1) YouTubeでアーカイブされたセッション動画の視聴が可能です。
https://jawsdays2020.jaws-ug.jp/session/

(*2) 開催回や人数の目標をAWSが設定するものではありません。JAWS-UGは各支部が独自性をもって勉強会を企画・運営しています。AWSは各支部の勉強会開催の支援を行い、支援の結果としてデータをモニタリングしています。

(*3) Doorkeeper REST API および connpass REST API を使って、だれでもサイトからデータを取得できます。JAWS-UG各支部の運営・管理者である必要はありません。なお、自分はExcelのPower Query(データの取得と変換)からREST APIを使ってデータを半自動で収集しています。興味のある人はこちらを参照してみてください。

(*4) 支部別のアンケートを見ると、半分近くが「はじめて参加」という勉強会も珍しくありません。また「これからAWSを勉強したい」という初心者の割合も非常に高く、一部の方々が持たれている「AWSに詳しい人の集まりがJAWS-UG」というイメージとはかけ離れているのが現実です。

(*5) 歩留まりが悪い、というのはオンラインにおいては基本は問題ありません。オンラインにおいても、オフライン同様に歩留まりを上げようと考える人もいるようですが、歩留まりが悪くて困るのは 1) 会場がガラガラ(=オフラインの場合困る) 2) 私のような状況把握するための数字として申込数と実参加数の乖離に気が付かないことがある 3) オンラインでもハンズオンのようにチューターなど参加者対応の準備をしている場合 などです。オンラインハンズオンなどの準備が必要な会は仕方ありませんが、そうでなければ、無制限にするか、申込数をみて上限数を上げていったほうがより多くの方に認知してもらえると考えます。

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