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パーソナルコーディネートSalon de Verde /森野きのこさん編

先日、note仲間の森野きのこさんから東京に来る予定があるとのことでSalon de Verdeのご依頼を頂いた。
本当は「お買い物同行」を希望されたのだが、その日は既に先客あり。仕方なく今回は諦め、でもせっかくだから次の日私の仕事終わりにお会いして食事だけでも、のはずだった。
しかし私は閃いた。そうだ、私の職場にお越しいただいて、もし気に入られるものがあればいいかもしれない、と。

本来、私がライフワークとして始めた「Salon de Verde」のお買い物同行は、パーソナルなコーディネートを実現するために、自分の職場は使わないことにしている。なぜなら、あらゆる“枠”を無くして、無限の可能性の中にクライアントのための唯一無二のセレクトを目指すためだ。

本当にクライアントにとってベストなものをセレクトするには「この中から選ぶ」という制限がなるべく無いことが望ましい。本当はもっと似合うものが他にあるかもしれない中で妥協することは本望ではない。クライアントが「これでいい」と言ったとしても、私がそれを許せないのだ。とことん納得するまでよりよいものを探す。一人では到底選べなかった、新しい自分を発見したと思ってもらえてこそ、パーソナルコーディネートの価値があるというものだ。

それは日頃、自分の職場においてお客様の要望に100%応えられないことが否応にもあるからで、「ここにはないけれどあの店にはある」ということがわかっている時の歯痒さったら無い。致し方ないことではあるが、それでも仕事として自分のテリトリーの中で選ばなければいけない縛りへの不満や理不尽は少なからずある。それを仕事以外の場所で解消するためにもフィールドは少しでも広い方がよい。

とにかく、私はもっともっと人に満足してもらえる自分のスキルの使い方を実現させたくて、このライフワークを始めたのだ。

“縛りがなかったら、きっと100%その人のためのセレクトができるはずだ“ と思っている。

だから私は自分の店を使わない。これまではそうしてきた。これは普段の私の仕事である“モノを売る”から、“技術やスキルを売る”という仕事にシフトチェンジするためでもある。それが私のライフワークであり、目指すところのパーソナルコーディネートなのである。



はい。というわけで、自分哲学&蘊蓄はこの辺でやめておきましょう。
語り出したらキリがないのでね。
とにかく、先日のきのこさんのお洋服選びは例外である自分の店でのセレクトでしたので、全商品を把握しているという意味で、思いのほか短時間でピッタリなものを選ぶことができ、今回に限ってはとても良かったなと自画自賛しています。というのも、きのこさんが私の店のターゲットのお客さま層ズバリであったことが何よりの勝因だと言えます。それは初めからわかっていました。だからこそ、お誘いしたのです。もしこれがきのこさんでなかったら、きっとこのご提案はありませんでした。私の中ではご来店される前からいくつものセレクトが頭に浮かんでいました。
当日のご感想をきのこさんがnoteにあげてくださいました。

身に余るお言葉、ありがとうございます。
このnoteに書かれていた通り、きのこさんは日本人には少ない体型をされていました。いわゆる欧米人体型です。お顔は小さく、首や手足が細長く、胴体は厚みがあり立体的。服を着て正面から見ただけでは想像できないサイズ感です。しかし元から自己申告されていたので私なりに想像し、きっとこれぐらいだろうというサイズの見当はついていました。ちなみにお選びしたブラウス、カットソー、パンツのサイズはそれぞれ違います。でもそれは決して珍しいことではなく、例えばトップスはMサイズでボトムはLサイズなどはよくあることです。ある程度の年齢以上になると逆にその方が多いほどです。今回の見せ方としてはきのこさんの体型の特徴をいかし、ほっそりした首や手首を際立つように見せることで、より美しく見えるような衿の形や袖丈、ボリューム感のデザインを選びました。

この日、きのこさんがご来店された時、非常にエレガントなワンピースをお召しでした。「今日は一張羅で来ました!」と仰っていましたが、とてもお似合いで、いつもZOOMで見ているきのこさんとはちょっと違うイメージでした。

この雰囲気で行きたいのか、はたまたもっと違ったカジュアルなものがいいのか、お仕事用なのかプライベート用なのか、カジュアルなのかシックなのか、フェミニンなのかスポーティなのか。どんなシーンで着たい服なのかを伺いながらイマジネーションを膨らませていきます。

きのこさんのご要望は普段用にちょっとおしゃれなシーンにも着られるもの、そして単品コーディネートで着回しが効くもの、ということでした。

せっかく遠方よりお越しいただいたこと、そして私は自分の店であることで自由が効くことなどから、ご要望以外にも色んなファッションを試していただきたくなりました。時間の許す限り、ここにある服の中からきのこさんに似合う数パターンをご提案し、試着していただくことで、きのこさんの持つファッションの概念や苦手意識を覆したくなったのです。

ファッションは楽しいものです。自分を輝かせるものです。
そして何より、自分に合う洋服選びは “気持ちが上がる“ ことであり、“ワクワクする” ことなのだと知って欲しかったのです。装うことは義務ではなく、喜びであると気づいていただきたいと思いました。


最初に御試着いただいたのは深いグリーンのシャツワンピースでした。この春イチオシのデザインです。ウエストのリボンベルトでマークすることでシャキッとした印象を与え、お仕事にも最適だろうと思いました。実際着てみるととてもお似合いで、着こなしのバリエーションとしては、前あきのボタンを外してロングシャツ風にレイヤードを楽しむ方法です。インナーにTシャツやタンクトップを着て、パンツを合わせ、このワンピースをシャツコートのようにサラッと羽織るととてもファッショナブルで粋な着こなしが可能です。お休みの日のショッピングやお食事などのシーンに、カジュアルでおしゃれな今どきスタイルを楽しんでいただけると思いました。

もう少しエレガントな大人のコーディネートもお似合いだろうと、次にご提案したのはスパンコールが施されたエレガントな白のカットソー&ニットジャケットの単品コーデに今年流行りのベイカーパンツです。
ベイカーパンツは数年前から流行っていますが、こちらは若い方用のカジュアルなものとは違ってそのデザインのニュアンスをうまく取り入れた大人仕様のものです。大きめのポケット、ゆったりした幅、ストレッチの効いたテロンとした素材、そして極め付けは後ろウエストのゴム。履いていることを全く意識しないほど楽で気持ちよく、それでいて気になるウエストやヒップラインをうまく隠してくれます。生地の落ち感でスッと真っ直ぐな脚のラインが強調され、スタイルアップが可能です。
パンツの色は白のトップスが映えるキャメルベージュ。素材はストレッチの効いたポリエステルポリウレタンです。

このパンツをきのこさんはとても気に入られました。丈もお直しの必要がないほどにピッタリでした。その感じがとても良かったので、このパンツをメインにしたコーディネートに切り替えて、これに合うトップス探しに移りました。


洋服を選ぶときの方法として、何か一つ気に入ったアイテムを見つけたら、それに合う組み合わせのデザインを探すといいです。トップスでもボトムでもいいです。何か一つ、これが好き!というものが決まると、それをもとにして色や着丈やボリューム感などをイメージすればいいのです。今回はキャメルベージュのややワイドなパンツでしたので、それに合う色は?とイメージすると、春らしさで言えばやはり白がマストでしょう。爽やかで清潔感があり、おまけに白のトップスはレフ板効果でお顔にライトが当たったようにパッと明るく見えます。これからのシーズンに大活躍すること間違いなしです。

まずアウターに選んだのは白い麻のシャツブラウス。スリーブコンシャスが流行の今年。袖丈は七分で若干パフ気味、肩から袖先までサイドにゴージャスなレースが施された存在感のあるデザインです。これをジャケットのように羽織るスタイルがいいと思い、インナーには生成りのカットソーを選びました。アートプリントとキラッと光る控えめなラメやスパンコールが大人のカジュアルを格上げします。

インナーのカットソーの身幅や着丈も重要です。ブカブカしたデザインは太って見えるのでボディに付かず離れずのサイズ感で、袖は二の腕が細く見えるスッキリとボリューム感のない五分袖です。この袖丈なら真夏に一枚での着こなしも大丈夫です。裾を出して着られる絶妙な着丈が、気になるお腹周りも自然にカバーしてくれるので、暑くなったら安心してジャケットを脱ぐことができます。

こうして出来上がった3点のコーディネートで “お出かけにも使えるちょっとおしゃれなカジュアルファッション” を実現することができました。

せっかくなので他にもお似合いになりそうな大人可愛いブランドのプルオーバーも試していただきました。多分、この手のものはこれまで着られたことがないだろうと思ったので、あえてお試しいただきました。

やはり予想通りにピッタリでした。ブランド物のいいところは、組み合わせを考えなくてもただ単品で着るだけで完成形の着こなしができることです。こればかりは実際に着てみないとピンとは来ないのですが、そのパターンの完成度と上質な生地の質感によって他とは一線を画す着心地を実感できると思います。
遊び心溢れるブランドアイコンを見て「これは着たことないわ」と仰りながらもその着心地の良さと着映えを実感していただけたようでした。ブランド物はそのもの自体にパワーがあります。それは着る人に力を与え、独自のワクワク感やトキメキを与えてくれます。
よく「ブランドものは着慣れていないと洋服に負ける」などとも言われますが、私はそうは思いません。要は気持ちの問題です。"今日はこの服を着てテンションを上げる!" "楽しむ!" という主体性をもって着こなせばいいのです。要はその服を着て自分はどうありたいか。それだけでいいのではないかと思います。


意欲的にたくさん御試着くださって、その度にきのこさんの感度の良さを認識しました。これまでは単に “時間がなかった” “機会がなかった” のだと思います。元々、上質な洋服に対しての認識と経験はしっかりとお持ちなので、“いいものはいい” と納得していただけていることがよくわかりました。それはとても嬉しいことです。なぜこの洋服を選んだか、なぜ着てみてほしいと思ったかをしっかりと分かった上で試していただけていることが伝わってきて、とてもやりがいを感じるひとときでした。



洋服選びが分からない、何が自分に似合うのかが分からない、という方はまず、周りの人たちのファッションに目を向けてみてください。服に興味がない人は、他人の装いにも興味がないことが多いです。せっかく貴方に会うためにおしゃれをしてきてくれても、それを貴方が感じ取れないでいると、相手の思いを受け取れていないことになります。それはもしかすると、とても残念で勿体無いことなのです。

人との円滑なコミュニケーションは、自分一人の概念や思考で成り立つことは不可能です。
相手から醸し出される雰囲気、言葉以外のノンバーバルな部分をお互いに感じ取り合うことで楽しくスムーズな会話に自然と発展していくのです。自分を表現する手段の一つとして、おしゃれはとても重要な役割を果たすと私は考えています。
だからといって人のために装う、というのではなく、あくまでも自分がどうありたいか、ということにフォーカスすればいいのです。今日はシャキッとかっこよく決めたいのか、甘い時間を柔らかな気持ちで過ごしたいのか、思いっきり羽目を外して自由な自分でいたいのか。その時々の自分の心に素直でいるために、
まずは自分がどうありたいのか。ファッションとはそこから始まるのだと、私は考えます。

今回もとてもご満足いただけるご提案ができたことを心から嬉しく思います。
きのこさん、ありがとうございました。
ぜひまたお会いしましょう。


*Salon de Verde はファッション、メイク、コミュニケーションなど、あなたが輝くためのパーソナルなご提案をさせていただきます。
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*これまでのお仕事を参考までに貼っておきます。
宜しければ覗いてみてください。

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