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「大福」と「どら焼き」にみるあんこのこれから

「和菓子といえばあんこ!」

その常識が変わろうとしています。あんこを使わないフルーツ大福、あんこを使わないティラミスどら焼き、あんこを使わないレアチーズ水まんじゅう。

ちょっと前までは、「あんこを使わないなんて邪道だ!」なんて思っていた私も、あんこを使わない商品が目立ち始めた近年、もしやこれは新しい和菓子時代の到来なのでは!?と感じています。

今までは和菓子には欠かせない存在だったあんこ。このあんこは和菓子、スイーツにおけるフレーバーのひとつになっていくだろうと思います。

あんこ好きな私としてはさみしい気持ちもありつつ、1000年を超える和菓子の歴史は今までだって幾度も和菓子はいろんな変化を遂げてきました。今回は和菓子の主役ともいえる大福とどら焼きからこれからのあんこについて考察したいと思います。

1.大福の進化とあんこ

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和菓子の中で一番好きな大福。やわらかいお餅とがぶっとかじったときに中から現れるあんこ。お餅の生地の厚みやあんこの水分量。シンプルながらも職人技が光る究極の和菓子だと思っています。

しかし、あんこの減少傾向を見るのに一番わかりやすいのがこの大福です。Instagramで「大福」と検索すると小豆のみのあんこを使った大福の姿はほとんどありません。

約30年前に生まれたいちご大福が4~5年前に大ブームを巻き起こし、さらにフルーツ大福へと進化しました。見た目・相性の観点からいちご大福及びフルーツ大福にはあずきあんよりも白あんが使われるようになりました。

和菓子屋さんでもフルーツ大福がめちゃくちゃ増えました。フルーツ大福の専門店まで生まれるほど。(最近は和菓子各種の専門店が増えてきたのでこれはまた今度書きます)

あずきだけの大福に比べると、断面がカラフルで映えるけど、大福って切るのが難しいから綺麗な写真撮るの難しいよね…っていうのもあって、大福に切り込みを入れてフルーツを差し込むタイプの大福も見かけます。個人的には差し込むタイプは大福がかわいそうだなと思って悲しい気持ちになりますが…

今年登場したミスタードーナツの「大福ドーナツ」もあずきが使われていたのは6種類のうち1種類だけでした。

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画像:PR TIMES

しかし、大福とドーナツがコラボすることは大福やお餅に興味を持つ人が多いということの表れだと期待しています。

本来大福は「あんこをお餅で包んだもの」という定義があります。しかし、フルーツ大福をはじめその認識は薄くなり、求肥・もちもちしたもので包んだもの、または被せたものが大福という認識に変わっています。

2.どら焼きの進化とあんこ

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どら焼きもまた近年進化を遂げています。今まではあんこ+素材でしたが、生クリームやケーキやプリンなど素材メインのどら焼きが増えてきました。あくまでもメインはあんこでしょ!と思いながらも、あんことクリームチーズの組み合わせ、おいしいもんなぁ…なんても思いつつ。

さて、そんなどら焼きですが、今の2枚の皮で挟むスタイルになったのは大正時代。そして、そのモチーフになったのはホットケーキと言われています。それ以前は以下の写真のように1枚皮のものや、小麦粉の生地で包んだきんつばのようなものだったなど、いくつか形があったようです。

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梅花亭:一枚皮の「どら焼」

戦後はまだ今のどら焼きスタイルは浸透しておらず、ホットケーキとよく間違われていたそう。"どら焼き"というお菓子自体には長い歴史があるものの、実は形はその時代に応じて変化しています。

ドラえもんが初めてのび太くんに会った日、のび太くんがお茶菓子に出すのがどら焼きです。そのときドラえもんは一口どら焼きを食べて「未来にこんなおいしいものはない!」といいます。形は変わっても、ドラえもんがどら焼きを食べれる未来になればいいなと思います。

まとめ

きっとこれからどの種類の和菓子もあんこのみ、というものは少なくなっていくんだろうなと感じています。和菓子・洋菓子の区別はどんどんなくなり、あんこを使ったスイーツという認識になるのではないでしょうか。

だから、和菓子としてはあんこの使用量が減ったとしても、洋菓子側で素材の一つとしてあんこが用いられるシーンが増えるはず。その代表があんバター。和の素材自体の人気はどんどん加速している気がしています。

そして、あんこがない、またはあんこの量が少ない、というものがスタンダードになればあんこ好きのための和菓子、いわゆる今のスタンダードな和菓子が貴重な存在になるのではないかなとも感じています。

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