ベテランのライターです。著書も複数出しています。 ホームページ:https://miz…

ベテランのライターです。著書も複数出しています。 ホームページ:https://mizutsugi.wixsite.com/smizutsugiofficial

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  • 「ライターのしごと」シリーズ

  • ちょっとだけ翻訳のお話

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母と最期の四十九日

はじめに平成の最後の月に、私は母を膵臓癌で亡くしました。 年の初めに癌を告知され、その時点で余命六カ月から三カ月の診断でした。 母がそれを私に教えてくれたのは更に一カ月後のことで、娘に伝えてからちょうど四十九日目に、母は他界しました。 遺品を整理していたときに初めて知ったのですが、母は亡くなる十年以上前から毎日欠かさず日記をつけていました。短い文章でしたが、その日にしたことや起こった出来事を三百六十五日、一日も休まず書き綴り、それを十年以上も続けていたのです。 膵臓癌は

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    • スポーツジャーナリズムの世界で壮絶に戦ったある女性記者の話

      ライターの仕事#7 森喜朗氏の女性蔑視発言が世界中から非難を浴び、日本では連日この話題が続いている。そんな中で、ある女性記者のことを思い浮かべた。 私がニューヨークでMLBの取材を始めた頃、いつも取材に行くヤンキースタジアムで出会った、Rさんだ。Rさんもちょうど時を同じくして、ニューヨーク大手新聞のコラムニストとして働き始めていた。 当時はまだデジタルで記事を読むという環境にはなく、いつも現地の新聞を買って読んでいて、Rさんのコラムが載っていれば必ず真っ先にそれを読んだ

      • ライターのしごと#6「記者と英語」

        私は米国の大学に留学し、10年以上米国に住んで仕事をしていたので、たまにこんな質問を受けます。 ライターに英語力は必要ですか? 以前返した答えは、必要というわけではないけれどあれば役に立つということ。例えば自分がスポーツライターだったら、他に優秀なスポーツライターさんはたくさんいるわけで、その中で生き残っていくのは大変なわけです。でも英語ができて米国のスポーツに詳しければ、米国で取材をしてアメスポに特化したライターになることも可能になるので、その分野に詳しくないライターさ

        • カンヌ受賞作『Mano a Mano』

          先日も書きましたが、現在「なら国際映画祭」が奈良市で開催中です(9月22日まで)。 私はもう1作品、字幕翻訳をさせて頂いておりまして、こちらは英日翻訳です。フランス映画ですが、すでに付いていた英語字幕から日本語にしています。 昨年のカンヌ映画祭・学生部門で最優秀賞に輝いた『Mano a Mano』というLouise Courvoisier監督による短編映画なのですが、これがとてもいい映画です。映画祭パンフレットのあらすじを引用すると「サーカス団のアクロバットデュオ、アビー

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        母と最期の四十九日

        • スポーツジャーナリズムの世界で壮絶に戦ったある女性記者の話

        • ライターのしごと#6「記者と英語」

        • カンヌ受賞作『Mano a Mano』

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          字幕翻訳しました。

          9月18日から22日まで奈良市で「なら国際映画祭2020」が開催されます。 こちらで上映される作品で字幕翻訳を担当させて頂きました。日本語から英語にする日英字幕です。作品はこちら↓ ちょうど4連休ですので、奈良にお越しの方はどうぞお立ち寄りください。また作品はオンライン上映もしていますので、奈良まで出かけなくても自宅で鑑賞できます。 私、勉強が趣味なもので、映像翻訳の講座などを受けたりしておりまして、これがデビュー作です。とはいえ日英翻訳に関してはほぼ独学で、英語字幕付

          字幕翻訳しました。

          ライターのしごと#5「記者のprivilege」

          ここに掲載した写真は、米国ロードアイランドにあるマッコイスタジアムにあるコンコース壁の展示物だ。ボストン・レッドソックス傘下AAA級ポータケット・レッドソックスが今季まで使用している(使用するはずだった)球場だ。 元レッドソックスであり現横浜DeNAベイスターズのコーチである大家友和氏がポータケット時代に完全試合を達成したことは野球ファンならご存知の方が多いと思うが、そのときの地元紙が球場の壁にこのように展示されていた。レッドソックス傘下AAAのチームは来季からウォーチェス

          ライターのしごと#5「記者のprivilege」

          ライターのしごと#4「フィードバック」

          どんな仕事もそうなのかもしれないけれど、ライターの仕事というのは常にインプットとアウトプットの繰り返しだ。アウトプットとはもちろん、記事を書く作業のこと。そしてインプットとは、取材活動や執筆する分野の勉強、情報収集なども含めたあらゆる取り込み作業のことだ。 インプットの1つには、「フィードバック」というものもある。 ライターにとってのフィードバックとはもちろん、読者から反応をもらうことにより何かを得ることだ。 インターネットの時代になって、読者からのフィードバックは格段

          ライターのしごと#4「フィードバック」

          ライターのしごと#3「趣味と仕事」

          趣味を仕事にするべきか、はたまた趣味と仕事を分けるべきか。 そんな議論をたまに見かける。 私はもちろん「趣味を仕事にする」派。フリーランスで書いたり描いたり造ったり創ったりしている人は、ほとんどこの一派に入るのではないだろうか。例えばライター(記者)の場合、フリーランスではなく出版社なり新聞社なりの社員という人もいるのだが、社員の記者さんは自分の好きな分野を延々と続けていられるわけではなく、異動などもあり、まったく興味がない分野を担当することもある。 そこへいくとフ

          ライターのしごと#3「趣味と仕事」

          ライターのしごと #2「始め方」

          フリーランスのスポーツライターとしてやっていこう! 今回は、そう思い立って実際に実行に移すタイミングについて書きます。 私の場合は、アメリカに行き現地のスポーツを取材して日本のメディアで発信するという道を選んだので、タイミングはMLBで日本人選手がデビューしたときでした。パイオニアである野茂英雄さんがドジャースでデビューしたときは、まだアメリカに行って仕事をするというような状況ではなかったため、タイミング的には伊良部秀輝さんがヤンキースでデビューした頃です。 どうしてそ

          ライターのしごと #2「始め方」

          ライターのしごと #1「プロ意識とは」

          すごく久しぶりに書籍の企画書を作っている。 ウェブが幅を利かせる時代になってから日々の仕事に追われることが増えて、つい目先の仕事に走ってしまい、企画書を作るという作業から遠ざかっていた。新型コロナウイルスの影響でMLBも当分シーズンが始まりそうにない状況なので、この機会に普段やっていなかったことに取り組むのもいいかもしれないと思った。 企画書が通らなければもちろん書籍にはならないので、この企画書を作っている時点ではこれが日の目を見るかどうかわからない。出版社の編集だの営業

          ライターのしごと #1「プロ意識とは」

          次の企画準備中です。

          スタートしたばかりのこのノート。そろそろ次の企画を書き始めようかと思います。 今の流行りの言い回しというわけではないですが、One Theme(ワンテーマ)で連載して、興味を持って読んでくださった方にとって役に立てるものになればいいなと。 プロフィールにあるように筆者はライターという職業なので普段から文章を書いて収入を得ているわけですが、ここではそこは抜きにしていろいろなものを試してみたいという部分があります。どういうものがよく読まれるのか、読まれないのかとか。 あとは

          次の企画準備中です。