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勝手に10選〜 THE BEATLES 後期JOHN作曲編(前編)〜

(前記)
今回も、みんな大好きなモンスターバンド、ビートルズの勝手に10選シリーズも独自の観点から挑戦する。

今回も同様に、ライブ活動に終止符をうち、実験的かつ革新的な楽曲制作の要素が高くなるキーとなるアルバム"REVOLVER"より前の楽曲を初期、以降の楽曲を後期として、曲を選曲する。  

今回はビートルズ後期におけるジョン・レノンの楽曲を前編、後編に分けて、勝手に10選する。

・Rain
1966年に発表されたシングル"Paperback Writer"のB面として発表された曲だ。

ジョン自身がこの曲の事を"天気に一喜一憂する人々を歌った曲"と語っている。
なるほど、雨に降られ頭を隠し逃げる人々、日差しがあれば日陰に逃げる人々、に対して、そんなものは、ただの"気分の状態"だと諭す様な歌詞だ。

曲はサイケデリック感の溢れる骨太なロックナンバーだ。
構成はAメロ、Bメロとシンプルな構成であるが、雰囲気の差が緩急となっている。

オケは回転速度を速くして録音し、逆にジョンのボーカルは回転速度を遅くして録音し、それらをテンポを合わせる事で結果的にオケは低くなり、ボーカルが高くなり、それらを組み合わせる事により、この不思議な雰囲気の曲として成り立っている。

また、サビの一部分のジョンのボーカルが逆回転にもなっており、初の逆回転を用いた曲となった。

後にリンゴ・スターはこの曲がドラムのベストプレーだ、と述べている。

ジョンの作る曲は、なんとも言葉にする事は難しいが、ただ何回リピートしても飽きない曲を作る達人であるが、この曲も実に当てはまるのだ。

・And Your Bird Can Sing
1966年に発表されたアルバム"Revolver"に収録された曲だ。

先ず、冒頭から始まるポールとジョージによるギターのリフとハーモニーが美しく素晴らしい。
曲も疾走感と共に、光がさす様な明るさが非常に心地良く、メロディラインも突き上がりながらハーモニーと共に実に美しいのだ。

歌詞であるが、先ず題名からして"そして君の鳥は歌う事が出来る"という不思議な題名だ。
歌詞の内容が抽象的で、鳥が何かのメタファーなのか、結局何について歌っているのか解らない。

ジョンは、この曲を"捨て曲"と酷評しており、この曲に関して言及する事が無かった為に、その歌詞の捉え方が未だに議論の的になっているのが実に面白い。

歌詞は受け取る側でどう解釈してもよい。
ただ、この実に美しく素晴らしい曲に身を委ねれば良いのだ。

・Strawberry Fields Forever
1967年に"Penny Lane"と両A面のシングルとして発表された曲だ。

当初はアルバム"Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band"に収録される予定であったが、レコード会社からシングルを、という指令があり、シングルとして発売される事となった。

この曲のレコーディングには実に5週間が費やされた。

様々なアイデアが錯綜し、結果的に3つのバージョンが完成したが、ジョンのアイデアで、その中のキーもテンポも異なる2曲を1曲にする、という常人では考えられない発想により、この曲は完成する。
繋ぎ目は、"Let me take you down, 'cause I'm going to"の"going"の直後部分だ。

ストロベリー・フィールズとは、リバプールにある孤児院で、その庭園が幼少期のジョンの遊び場になっていた。
歌詞は全体的に抽象的であるが、無心で幼少期に遊び、現実離れした素敵なストロベリー・フィールズへのオマージュなのだ。

楽器も多用し実に豪華で重厚感のみなぎる美しくもあり、ノスタルジックさも感じるロックだ。

ちなみに筆者はアコースティックギターでたまにこの曲を爪弾くのだが、実に気持ちの良い曲だ。
名曲というものはギター1本でも名曲なのだ。


・Lucy In The Sky With Diamonds

1967年に発表されたアルバム"Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band"に収録された曲だ。

筆者が最初に手に入れたビートルズのアルバムは"Please Please Me"であった。

ふむふむ、なるほどこれがビートルズか、カッコいいではないか!とすっかりビートルズ熱を発揮して、では次はどのアルバムを買おうか、と迷う時に素直にセカンドアルバムを買えば良いのに、どうやら"Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band"というアルバムが、世間では最高傑作と言われている。

よし次は"Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band"だ!
と意気込んで買ってきたものの、あまりのサウンドの違いに仰天し、間違えて他のアーティストの曲を買ってしまったか、と確認したのが懐かしい。

そんなこのアルバムの曲で筆者が衝撃を受けたのがこの曲だ。

曲の構成はシンプルにAメロ、Bメロ、サビからなる。
三拍子のポールが奏でるハモンドオルガンとベースで曲は幕を開け、Aメロはジョンの淡々とした語りかけるようなボーカルが印象的である。
Bメロに入ると、ジョンのボーカルにもエフェクトがかかり、より幻想的な雰囲気を醸し出す。
そして、リンゴによる3発のキックから、4拍子の実に骨太なハードロックに変貌を遂げる。この緩急が実に堪らないのだ。

ジョンのボーカルもAメロ、Bメロ、サビと実に緩急がついており、サビの突き抜けるボーカルが素晴らしく、コーラスもサビ毎にハモり、ユニゾンを使い分け、微妙な雰囲気の変化を実に見事に聴かせてくれる。

頭文字を取ったらLSDになる、とか色んな議論もある曲だが、素直に実にカッコいい素晴らしい曲なのだ。

・Being for the Benefit of Mr. Kite!
1967年に発表されたアルバム"Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band"に収録された曲だ。

ある日、骨董品を扱う店でジョン自身が購入したサーカスのポスターをヒントに書かれた曲だ。

1843年に開催された、パブロ・ファンクのサーカス

このポスターが元ネタであり、なるほど歌詞はほぼこのポスターからの引用とアレンジである。

"この100年以上前に開催されたサーカス公演を、ポスターをヒントに楽曲として表現しなさい"という指令に、ジョンが100点満点の回答を出しているかの様な曲だ。

曲調はもはやサイケデリックではなく、サーカスだ。
ノスタルジックな雰囲気に楽器を多用してゴージャスかつカオスな雰囲気を生み出し、間奏はワルツになったり、ヴィクトリア王朝時代のオルガンのテープをバラバラに切って、適当に繋ぎ合わせて逆回転させ唯一無二の世界観を作り出し、見事に100年以上前のサーカスの雰囲気を味合わせてくれるのだ。

また、ジョンの変幻自在なボーカルが独特のメロディラインに乗せて見事に曲と調和している。

コンセプトアルバムとしてのサージェント・ペパーズの為に書いた曲ではない、とジョンは述べているが、結果的に実に調和し、アルバムには無くてはならない曲となっている。

世間的には評価は高くない曲かも知れないが、筆者は少年時代から、まるでジョンが素敵なサーカスに音楽を通じて誘ってくれる様な、この曲が大好きなのだ。

(後記)
後編へと続きます。



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