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勝手に10選〜 THE BEATLES 前期JOHN作曲編(後編)

(前記)
それでは、張り切って後半に移る。

・HELP!
1965年にシングルとして発表され、同年に公開された映画"HELP!"の主題歌であり、更にアルバム"HELP!"の表題曲でありオープニングを飾る曲だ。

ジョンの"ヘルプ"というシャウトから曲はスタートし、サビを歌い切り、Aメロ、Bメロに流れていくのだが、特筆すべきは、この冒頭のパート、サビが以降出てこない。
最初だけなのだ。

いや、実に流石な構成である。
最初にジョンの助けてほしい叫びを凝縮し、以降はAメロとBメロの繰り返しなのだ。

Aメロは、実にアコースティックギターのストロークを主軸にジョンのボーカルのメロディラインが美しく、コーラスが見事に華を添えている。
Bメロは、ややマイナーとなりつつも、少々激しさを増し疾走感を無くす事は無く、最後に実にクールなジョンの想いで見事に帰結する。

全体を通してジョージのギターもジョンのアコースティックギターに寄り添って実に曲の素晴らしさを見事に引き出している。

ジョンレノンが生み出したアコースティックロックの頂点に君臨し続ける、大名曲なのだ。

・Day Tripper
1965年にシングルとして"We Can Work It Out"と両A面の形で発表された曲だ。

実にイカしたリフを主軸としたミドルテンポのロックだ。
ロック好きのギター少年なら一度は通るリフと言っても過言ではない。

"Day Tripper"とは、素直に訳せば日帰り旅行だが、スラングではドラックでぶっ飛ぶ事を指す。

まあ歌詞は聴き手によって勝手に都合よく解釈すれば良いのだ。

曲の構成はAメロとサビの繰り返し、とてもシンプルであるが、リフに沿ったAメロと、突き抜けるサビの緩急がお互いを高め合う、とても素敵なロックなのだ。
ジョンとポールのハーモニーも実に粋である。

・Norwegian Wood(This Bird Has Flown)
1965年に発表されたアルバム"Rubber Soul"に収録された曲だ。

筆者は邦題文化にはちょっと辛いので、敢えて記すが"ノルウェーの森"として有名な曲だ。

先ず、オケが素晴らしい。
少し専門的な書き方になって恐縮であるが、2カボのDで遊んでいたら出来たリフなのであろうか。不協和音もすら使い、この世界観が成り立っているのだ。
そこにシタールの音色を重ね合わせられた日には、もう唯一無二の世界観を持つ曲にならない訳がない。

歌詞も実に面白い。

歌詞の内容は、やらせてくれそうな女性の部屋に入ったものの、結局やれずに、ヤケクソ気味に、その女性の部屋の家具はノルウェー性でイカしてるだろ?という自身をなんとか正当化させたい言い訳がましい歌詞だ。

…しかし、そこではとどまらまいジョンレノンは流石である。
歌詞を似た響きの"kowing she would"に置き換えると、つまり、彼女はやらせてくれる、を捩ったとも解釈できる訳だ。 

信じるか信じないかは、貴方次第だ。
で、森とは全く関係ない。

しかし、素直にこの名曲の世界観、ジョンが淡々と奏でるメロディ、歌詞に身を委ねるのが良いのだ。

・Nowhere Man
1965年に発表されたアルバム"Rubber Soul"に収録された曲だ。

実に美しいハーモニーから曲の幕が開ける。
アコースティックギターのストロークを主軸とした、気持ちの良いミドルテンポのロックだ。

歌詞のNowhereとは、どこにもない、となるが、どこにも属せない、なんにもない、みたいなニュアンスであろうか。
このNowhereという単語が歌詞では多用されキーとなるワードで、英語で読み聴きする分には、すっと入ってくるが、日本語にて訳するのが難しい。

アコースティックギターのストロークに乗せてメロディライン、ハーモニーが実に気持ちが良い。間奏のソロはジョンとジョージのエレキギター2本で奏でられ、テクニカルすぎず、曲との調和が素晴らしい。

ジョンレノンの曲について思うのは、何回聴いても飽きない楽曲を天性のもの、センスの賜物として生み出しており、この曲も実に何回聴いても飽きない名曲なのだ。

・In My Life
1965年に発表されたアルバム"Rubber Soul"に収録された曲だ。

前にビートルズのバラードを勝手に10選した時も記したが、普通にビートルズの代表的なバラードは何かと問うと、イエスタデイ、レット・イット・ビー、ヘイ・ジュードあたりが大多数の答えだろう。

何故、この素晴らしい楽曲がポピュラリティーを得ていないのか、全く理解出来ない。
実に素晴らしいロックバラードなのだ。

実に哀愁が漂いながらも暖かく美しいバラードだ。
ジョンが自身の半生を振り返り、色んな場所であったり、出会った人、いなくなってしまった人、そんな過去の全てを愛するが、これからは君を愛する、という素晴らしい歌詞だ。

間奏ではジョージ・マーティンによるピアノが冴えるが、これはテンポを落として弾き、それをテンポアップしたものであり、それによって実に美しいチェンバロの様にも聴こえ見事に華を添えている。

Aメロ、Bメロ、間奏からなるシンプルな構成に実にメロディラインも哀愁を持ち、ジョンの素敵な歌詞とボーカルが見事に融合した傑作なのだ。

(後記)
ジョンの初期の曲を聴いていると、ある程度のロック、バラードのテクニック、スキル、雰囲気みたいな事が既に飽和し、初期で既に完成系になっている印象がある。

それを象徴するかの様に、ビートルズ前期では曲の数、また名曲の数も他のメンバーに対して多い印象なのだ。

読んでくださった方々へ
ありがとうございました。


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