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勝手に10選〜 THE BEATLES 後期PAUL作曲編(前編)〜

(前記)
今回も、みんな大好きなモンスターバンド、ビートルズの勝手に10選シリーズも独自の観点から挑む。

今回も同様に、ライブ活動に終止符をうち、実験的かつ革新的な楽曲制作の要素が高くなるキーとなるアルバム"REVOLVER"より前の楽曲を初期、以降の楽曲を後期として、曲を選曲する。  

今回はビートルズ後期におけるポール・マッカートニーの楽曲を前編、後編に分けて、勝手に10選する。


・Eleanor Rigby
1966年に"Yellow Submarine"と両A面シングルとして発表され、アルバム"Revolver"にも収録された曲だ。

曲はピアノによってポールが作曲した楽曲だ。

歌詞が非常に印象的な曲で、孤独な老婆エリナー・リグビーと、孤独な神父マッケンジーが登場し、物語形式で孤独な人々のやるせなさを表現している歌詞だ。

この曲が名曲たる所以は、ビートルズが演奏していない事にある。
ヴァイオリンを4台、ヴィオラを2台、チェロが2台の弦楽八重奏のみでオケが成り立っており、ビートルズはボーカルとコーラスだけで実にクールな曲になり、その世界観と悲壮的な歌詞が見事に融合を成した名曲なのだ。

この曲には実に面白いエピソードがある。

まず、この曲の作詞であるがポールとジョンが殆どが自分であると言い張っており、未だに真相が解っていない。

そして主人公であるエリナー・リグビーの名前の由来であるが、ポール曰く映画での共演者の名前と、街でふと目にした会社の名前をミックスしたもの、と説明している。

が、月日が経ち、なんとリヴァプールにあるセント・ピーターズ教会で、エリナー・リグビーの実際のお墓が見つかったのだ。
しかも近くにマッケンジーのお墓も見つかった。
しかも、この教会でジョンとポールは初めて出会っているのだ。

この事に関してポールは潜在意識の中にある記憶が蘇った可能性はある、とコメントを残している。

信じるか信じないかは貴方次第である。

・Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band
 Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band (Reprise)

1967年に発表されたアルバム"Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band"の表題曲である。

ポールは架空のバンドによるライブをコンセプトにこのアルバムを制作した為、この曲はオープニングとアンコール(アンコールは"A Day In The Life"となる)前の楽曲である。

イニシアチブはポールにあり、リードギターもポールが弾いている。

バンドの紹介と最後の締めくくりの曲な為、非常に短い曲だが、オープニングはオーケストラもあり、実に重厚感に溢れる骨太ロックでバンドを紹介している。

リプライズはテンポアップして歪んだギター、ベース、オルガンのみで疾走感と盛り上がりをもたらして、このショーの終わりを告げるナンバーとなっている。

この存在感の溢れる2曲のロックが存在する事で、他のナンバーを含めた、このアルバムは"Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band"として成り立っているのである。


・Lady Madonna
1968年にシングルとして発表された曲だ。

実にゴキゲンなロックンロールである。

ポールはピアノでブギを狙って、頭の中にファッツ・ドミノをイメージしてこの曲を作った。

なるほど、出だしのピアノとリンゴによりブラッシングで実に軽快に曲が始まり、エルビス・プレスリーを思わせるボーカルとベースが実にイカしている。
途中からディストーションの効いたギター、ホーン隊も加わり、この実に聴いていて高揚感のあるゴキゲンなロックンロールに仕上がっているのである。

歌詞はポールが元々、聖母マリアの歌を作ろうとしていたが、作っていくうちにリバプールの女性の歌になっていた。

実に楽しいゴキゲンなロックンロールナンバーの名曲なのだ。

・Back in the U.S.S.R.
1968年に発表されたアルバム"The Beatles(通称、ホワイトアルバム)のオープニングを飾るナンバーだ。

この曲のレコーディングの際に色々ポールに指示をされ頭に来たリンゴが逃走し、この曲はポール、ジョン、ジョージによってレコーディングされ、ドラムはポールである。

題名はチャック・ベリーの楽曲"Back In The U.S.A."を拝借し、歌詞の内容はアメリカでの長期任務を終えて、ソビエト連邦に帰国したロシア人スパイの視点で書かれた曲である。

実にストレートなロックをこれでもか、と見せつけている。
基本はギター、ギターリフが主軸となる曲であるが、ベース、特にジェリー・リー・ルイスを彷彿とさせ暴れまくるピアノが見事に華を添えている。

間奏のポールによるソロや、後半のオルタネイトピッキッングも流石で、詰まるところ。やはりポールはギターが上手い。

この曲を2日間で、この3人で完成させてしまうビートルズには言葉も無いのだ。

・Blackbird
1968年に発表されたアルバム"The Beatles(通称、ホワイトアルバム)に収録された曲だ。

実に美しい曲だ。

ポール独特のフィンガリングを用いたアコースティックギターの弾き語りだ。

黒人差別へのアンチテーゼのメタファーをさりげなく落とし込む歌詞と、暗闇の中に仄かな光が舞い出す様なメロディが絶妙に融合している。

ポールのこの曲における弾き語りは、実に美しく、切なく、前向きである。
他の楽器は不要だ。

この曲は、もっと、もっと評価されるべきなのだ。

(後記)
それでは後編に移る。

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