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ロードバイクの実業団レーサーはどうやって「走り方」を学ぶのか?

何かスポーツを始めるときは、部活動や教室など、なんらかのチームに所属し指導を受けるのが一般的です。

しかし、ロードバイクの実業団レーサーは、実業団といっても兼業社会人レーサーがほとんどで、トップチームを除いて「指導を受ける場」や「指導方法」が確立していないように見受けられます。

なにしろ自転車なので、大抵の人が乗るだけだったら乗れてしまう。レースのルールもざっくり言えば「スタートしてゴールする」なので、レベルを問わなければ完走できることでしょう。基本的には一人で強くなる個人競技なため、情報も伝わりにくい。

でも実業団レーサーの方々は日々上を目指し、もっと強くなりたいと思っているはず。

では彼らは「強くなりたい」とき、どうやって「走り方」を学ぶのでしょうか?

E1レーサーの夫に聞いてみました。

どのように「走り方を学ぶのか?」

私:この前久しぶりに「やまめの学校」(※安曇野にある自転車スクール)に行ってきたよね。その時、ロードバイクの選手ってどうやって「走り方」を学ぶんだろうと思ったんだけど、雑誌、本、動画、そしてやまめの学校みたいなスクールになるのかな?

夫:そうだね。雑誌とか、本とか動画とか。でも書いてあることが全然違ったり、同じことでも違うように書かれていたりする(表現の仕方が違う)から、なかなか「これが正解」みたいなものがないんだよね。


強い人の言うことは正しいと思われがち

私:それは結局、個人の経験に基づく話が多いから?

夫:そう。あとやっぱり強い人の話は正しいと思われがち。でも、その人がきちんと言語化できてるとは限らないし、フィジカルで強いのかテクニックで強いのかによってその話が自分の参考になるかは変わってくるよね

私:あ〜〜!強い人の話は信じられがち、というのはどの分野でもそうだよね。でもそれが普遍的で自分にも当てはまるかは別問題。見極めが必要なんだね。天才肌で言語化が上手じゃないタイプもいるしね……。


結局自分で試すしかない

私:でもそれじゃあ、結局どうしていいかわからなくない?

夫:正直、体系的な指導方法が確立してはいないのが現状だね。じゃあどうするかというと、色々試してみるしかない。

私:手探りがすぎるね……。ちなみに外国の情報も取ったりするの?

夫:取るよ。今言われていることは、海外で言われていることのうちわかりやすいのを取り入れた物だね。だから海外の情報を読むのが一番強くなる近道かも。英語がわからなければ翻訳情報サイトとかを巡ればいいし。

私:そうなんだ(絶対取ってないって言うと思ってたのに…)


チーム練の効果は?

私:同じチームの人や、そうでない人とでも一緒に練習することってあると思うんだけど、そういう時ってベテランの人から具体的なアドバイスが貰えたりするの?

夫:ないねぇ

私:ないの!?

夫:強度(ワット数)とかは数字で出るからわかるけど、それ以外は「速い人と走ってたらフィジカルが強くなってくるよね」とかその程度。練習内容も、このくらいの強度で何本とか、単純にトレーニングって感じ。結局みんな、強くなる方法がよくわかってないんじゃないかと思う

私:そうなんだ……

夫:色々わかってて強い人ほど、秘訣を話さないと思う。だって周りが強くなっちゃったら困るじゃん?

私:競争だもんね……


わかっていることとそうでないこと

私:素人なりに自転車に乗る際のポイントとして

・自転車に関すること(機材選び、セッティング)
・体の使い方(生理学的に正しく体を使えているか)
・テクニック(走行技術、レースの戦略等)
・メンタル
・体づくり(筋トレ、食事、補給食)

がある気がするんだけど、ある程度理論が確立されてるのは「メンタル」と「体づくり」くらいなのかな?

夫:そうだねぇ。自転車に関することは馴染みの自転車屋さんに任せれば良いと思うよ

私:でもハンドル位置変えるとかは自分で考えるんだよね?

夫:そうだね。でもまぁ「この方がカッコいい」とかで変える人もいたりするよ

私:そうなの!?!?!? ……とにかく、「体の使い方」と「テクニック」は色々聞いて、試して、調整していくしかないんだね


夫が参考にした書籍等

結局「こうしたら強くなれる!」というような分かりやすい答えは出てきませんでした。何事もそうかもしれませんが、各人で身体の強み弱みも異なりますから、自分の身体を把握して、一般的に理論が確立している部分はきちんと勉強して取り込み、後は色々試行錯誤していくしかないようです。

将来的にはもうちょっと体系的な育成方法が確立されてくると競技としても強くなっていきそうですね。

ただ、指導法が確立してない分、年齢の高いおじさん層や、後から始めた人でも活躍しやすいそう。人より早く要点を掴めれば、活躍できるとか。確かに、指導方法が確立したスポーツほど、若い頃から適切なトレーニングを重ねることで活躍する世代の低年齢化が進みますもんね。

最後に、実際に夫が買って読んだ本などを紹介します。

■自転車の教科書 

■自転車の教科書 -身体の使い方編- 

■やまめの学校

やまめの学校ではメンタルの部分や、体の使い方などを教えてもらっているようです。

そんなことまでアドバイスしてもらえるんだと、聞いててへぇ〜と思いました。他にもスクールは色々あるそうです。ただ通うなら、「自分の肌にあっているな」と思ったところ1つに絞ってしばらく通う方が良いそうです。それで結果が出なかったら、合わなかったのかなと変えてみる。まずはじっくり取り組むことが大事だそうです。

話を聞いていて、「人によって言っていることが違う」「同じことを違うように言っていたり」「違うことを同じように表現していたり」「トップ選手が正しく言語化できてるとも限らなかったり」と、罠みたいなことが多くて大変すぎるだろ、と思いました。

色々上手いとこどりしようとすると、情報に振り回されて怪我したりするそうです。えぇ……。

なので、まずは情報や取り込んでみることの冷静な取捨選択が必要そう。そのうえで強くなるためには、試行錯誤を繰り返す粘り強さと、仮説を立てて検証していくクレバーさが必要そうです。

※言語化に苦労する面もあったので、投げ銭いただけると大変嬉しいです!!※

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