愛は伝えなければ届かない
一度だけ、アニメ映画の監督宛に手紙を書いたことがある。あるキャラクターの誕生日に贈った花に添えた。
花を贈るのも手紙を出すのも初めてだったので、なにかと緊張した。花選びは真剣すぎて鬼の形相だったし、手紙を書く手は震えた。手汗で便箋がびちょびちょになってしまいそうだった。書き出しは「突然花と手紙を送りつけてしまい、迷惑だったら本当に申し訳ありません」だったことを覚えている。
そこまでの行動をとったのは、その監督がつくった映画がとても好きで、その中のキャラクターの生き様に励まされ、映画に関わるプロモーションやプレゼントキャンペーンで長期にわたり楽しませて貰ったからだ。
お礼を、どうしても伝えたかった。
働いてみるとわかるけれども、何かひとつのものが出来るまでには実に多くの人が関わっている。
それでも名前が前に出るのはごく一部の人だ。そして、クチコミやネット上の感想は沢山あっても、作り手へ直接声が届くことは少ない。
名前が前に出にくいポジションの場合は、特にそうだろう。
だからそういう方々にも届くといいな、と思って、どこが好きか、どんなに私が励まされ楽しませて貰ったかを、作品内容とプロモーション面、キャンペーン内容のそれぞれについてなるべく細かく具体的に書いた。
もうほとんど自己満足だ。
結構気持ち悪い気もしたが、最後はええい、と思い切って出した。
どう受け止められたかはわからない。
それでも、やって良かったような気がしている。
人気のあるクリエイターさんが自分の作品なんて誰も読んでないのではないかとふと漏らしたり、元日本代表選手が引退後別の仕事で地方を回って初めてファンの応援の声を聞き、自分が求められていたと知ったと言っていたりするのを見かけたことがある。
案外好かれている本人にまわりの気持ちは伝わっていないようだ。
だから好きなものができたら、素敵なものに出会ったら、なるべく好きだと言い、素敵だと伝えるようにしている。
映画でも漫画でも本でも、職場の人のファッションでも、旦那の優しい行いでも。
そしてそれがコンテンツならば、なるべくお金を落とすようにしている。
これも働くとわかるけれども、次に繋げるには実績をつくるのが一番だ。消費する側なら、好きだと発信し、猛烈に楽しみ、お金を落とす。それが上手くいくと、次の作品や関係者の次の仕事や新しい展開につながる。
結果的に私好みのものが世の中に増えてハッピーだ。
ちなみにキャラクター人気投票などで、上位はグッズ化します等の特典があっても、自分の好きなキャラクターは上位に入らないだろうなと予測できる場合がある。
そんな時でも、私はめげずに投票することにしている。
そこで諦めて行動しないと、運営側にニーズが伝わらないからだ。たとえ上位に入らなくても、そのキャラクターを好きな人はいるんだよ、と伝えるために投票する。
そんな風に好きなものを応援してお金を落とす、好きを伝えられる機会を逃さず使う、その先にある本当に本当に好きなものへの愛の伝え方がクリエイターへの手紙だったりするんだろう。
なかなか作り手へ直接想いを伝えられる場は少ない。私は可能ならば、あの好きだった映画のプロモーションやプレゼントキャンペーンを企画運営した方にもお礼を伝えたかった。そのくらい楽しませてもらった。
でもそれはできないから、お金を落として楽しんで愉快だと発信して、それでもおさまらないほどに拗らせてしまった末に、監督宛に手紙を送りつけてみたりしたのだ。
世の中思ったよりクリエイターに直接感想を伝えることが難しいから、noteの仕組みは素敵だなぁと思う。
心の中で思っていても伝わらない。だから、好きだったら、素敵だなぁと思ったら、伝えよう。
伝え方はやりやすい方法の、やれる範囲でかまわない。
そしたらわずかでも幸せな人が増えるし、伝えたほうも楽しくなる。その素敵さを継続、発展させてもらうためにも。
よかったら明日から、なんなら今日からやってみてください。惜しげもなく楽しんでやるといいですよ。
もし気に入って頂けたら、私も応援してもらえると嬉しいです。
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