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早期教育より大切なこと 「予測できない時代」を生き延びる力を育むには? 

先日保育士のりんこさんの「大忙しな4歳児」というnoteを拝見して衝撃を受けました。

今の子どもは習い事を何個も掛け持ちしており、とても忙しいとのこと。2歳でも就寝時間が22時23時ということもあるそうです。

これを読んで「子供がかわいそう」と思った方もいるのではないでしょうか。

私も過酷だな、と感じましたが、なんとなく事情は分かります。

経済的に共働きが必要な時代です。
子どもを育てるなら尚更ですよね。

稼ごうと思うと残業が必須になることも多く、保育園や学童保育だけでは労働時間をカバーしきれずに、習い事に向かわせることになるのでしょう。

様々なサービスができ、情報も増え、「みんなやってる」「やらなきゃ取り残される」と刺激される面もある気がします。

一概に、責められないよな、と思うのです。

一方、我が家には4歳児がおりますが、今のところ何も習い事はしていません。それは、早期教育よりも大事なことがあるのではないか、と考えているからです。

実は私と夫は教育学部出身で、2人とも教員免許を持っています。知識がアップデートできてない面もありますが、かつて学んだことから、幼少期に重要なのはこの2つではないかと考えています。

・「安全地帯」をつくること
・早寝早起き朝ごはん


順番に説明します。

安心して挑戦、冒険できるための素地づくり

今は変化が早くて先が読めず、「2011年度にアメリカの小学校に入学した子どもたちの65%は、大学卒業時に今は存在していない職業に就くだろう」とまで言われている時代です。

となると、子供達には、変化に柔軟に対応し、それなりにサバイバルしていく力が必要になります。

数値や目視では測りにくい抽象的な力になりますが、どうすればそれを育めるのでしょうか?

メアリー・エインスワースが提唱した「安全基地」という概念があります。

子どもは、養育者との間で安心できる信頼関係(=安全基地)を構築することで、その安全基地を頼りに外の世界を探索でき、養育者とくっついたり離れたりしながら好奇心や積極性やストレスに耐える力を身につけていく、というものです。

人見知り時代に親のそばにひっついて、後ろに隠れていた子供が、知らない人のそばにちょっと近づいて、また戻って、を繰り返しながら外界との触れ合いを増やしていく、あのイメージです。

これから先、子供たちが生きる世界がどのようなもので、どのようなスキルが必要になるのか、正直私の頭では想像しても限界があります。

それでも、この「安全基地」がしっかりあって、子どもが冒険したり、挑戦したりできる土台が育っていれば、まぁ何とかなるんじゃないかなと考えているのです。

子どもには、「自分は愛されており、当たり前に尊重されるべき存在で、世界には危険もあるけれど、基本的にこの世は面白い」と感じてほしい。

そのために今は、とにかく「愛してる」と「あなたは大事」を感じてもらえたらいいなと心がけています。

甘えたさそうなときは甘えさせる。抱きしめたり、くっついたりする。普通にお世話をして、なるべく話を聞く。できる範囲で頼るし、何かをしてもらった時は親が子にありがとうと伝える。冒険に送り出すときは、手を出しすぎずに見守る。命の危険があることだけは注意する。

なるべく「家」や「家族」が彼にとって安心できる場所であるように、と願っています。


脳を育てる「早寝早起き朝ごはん」

もう一つは、「早寝早起き朝ごはん」。

子どもは早寝早起きをさせて、ちゃんと朝ごはんをたべさせていればすべてうまくいくんです。

iPS細胞でノーベル生理学・医学賞を受賞した山中教授と、その同級生で小児科専門医・発達脳科学者の成田奈緒子さんの対談、『山中教授、同級生の小児脳科学者と子育てを語る』の一節です。

なんとなく「早寝早起き朝ごはん」は大事なんだろうなと思っていましたが、その理由がはっきり書かれていました。

脳にはできる順番があり、体の機能や自律神経などの働きをつかさどる「古い脳」がまずできるそうなんですね。

それから記憶や思考、情動をつかさどる「新しい脳」が発達し始め、最後にコミュニケーションに欠かせない「前頭葉」が育つ。

夜更かしをしたりして、ベースになる古い脳が育たないまま、塾や習い事等の新しい脳を育てるところに移行しても、バランスが崩れてしまうとのこと。

さらに、脳を育てるのにはご飯が大事

・脳を動かすのに必要なのは酸素とブドウ糖とアミノ酸
→ブドウ糖とアミノ酸は食事から摂取する

・一方、食べるためには脳を働かさねばならない
→「お腹がすいた」を認識する食欲中枢を働かせるにはセロトニンが必要

・セロトニンを分泌させる一番の条件が早寝早起き
→眠る時間帯が重要で、夜10時〜朝8時の10時間より、夜8時〜朝6時のほうがセロトニンを取り込める

という流れで、脳の成長には食事が大事であり、食事を摂るのには脳の働きが関係していて、早寝早起きと朝ごはんがセットで重要とこのと。

そんなわけで、「小学生なら9時までには寝たほうがいい」とありました。

ドキッとしました。

まさにわが家は「夜10時〜朝8時の10時間」睡眠なのです。

もちろん最初からこうだったわけではなく、元々は8〜9時の間に子どもを寝かせていたのですが、フルタイム復帰してからずるずると遅くなってしまいました。そして朝ごはんも「あまりお腹空いてない〜」と言うようになったのです。
まさに上記の流れの通りですね。

「とはいえ10時間は寝てるし」と自分を誤魔化してきたのですが、やっぱりよくないよなと、お風呂→夕飯の順番に変えてみたり、ダラダラする時間を減らしたりして試行錯誤中です。

早く寝かせようと思うと息つく暇もなく、なかなか大変なのですが、なんとか「早寝早起き朝ごはん」に頑張って移行したいと思っています。

長時間労働の解消は子どものためにもなる

習い事は本人のやりたい気持ちがあるならいいと思うのですが、上記の土台が育っていないとあまり身に付かないのかも、と思っているので今は様子見にしています。

実は大学生のとき、今でいう「教育虐待」を受けた方が身近にいました。
子どもの頃から親の期待が大きく、強く干渉され、叱責され泣きながら駅のホームでドリルを解いたり、吐きながら勉強したりしていたそうなんですね。

その方はメンタル不調を抱えており、苦しそうでした。たとえ親が望む良い進路に進めたとしても、これでは子どもにとって幸せではないのではないかと印象に残っています。

何かが人より抜きん出ていることより、安心してこの世にいられて、そこそこ幸せを感じられる人生のほうが良いのでは、と考えるようになりました。

一方、高校時代は部活や行事が盛んな教養重視の公立学校に通っていたのですが、3年間遊びまくっていた友人たちがするっと有名大学に現役合格するのを沢山みてきました。

地頭の良さと言ってしまえばそれまでですが、ガリガリ勉強したり深刻に取り組むだけが人生じゃないよなぁ、と実感した出来事です。

さて、散々偉そうに書いてきましたが出来ていないことも沢山あり、将来的には我が家も、預け先がわりの習い事に通わせるんだろうなと思います。

そうなるとまた早く寝かせるのが難しくなりそうです。

そう考えると長時間労働の解消は、労働者の心身の健康を守り、子育てや介護との両立がしやすくなるだけでなく、子どもの生活習慣改善にとってもダイレクトに良さそうですね。

それでは。

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