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尊いいとなみ

今年はとてもサンタ甲斐があった。

クリスマス前日。朝起きて、プレゼントがない、という顔をする息子に「サンタさんが来るのは今夜だよ」と話すところから始まり。

この時のほっとした顔のかわいさよ。

いざ夜になって「サンタさん来てくれるかな〜?」と夫が楽しそうに話しかけると「もしかしたら来ないかもしれない……」といつになく弱気な顔をするのが意外だったりいじらしかったり。

大丈夫、息子くんはいい子だからきっとサンタさんきてくれるよ、といつになく慈愛に満ちた声が出た。

なんてったってプレゼントはすでにクローゼットの中で今か今かと出番を待ちわびているのだから。

そしていよいよクリスマスの朝。

なんかある!と声を出す息子。

あのね、いちどおきたらね、なんかあってね、ゆめかなって思ったけど、そうじゃなかったの。うん、そうなの。と、順を追って真剣に説明してくれた。

きらっきらした瞳で、そわそわとプレゼントをあける姿。欲しがっていたヒーローの変身道具兼武器を手に入れて、朝から何度も何度も変身。ぴしっと立って、まっすぐ腕を振り上げ、「変身!!」と叫ぶ。なりきる姿がなんともかわいらしい。

一日中そのおもちゃで遊び倒し、夜は、おもちゃと一緒に布団にもぐり、眠りについた。

翌朝もまた、ギャンギャン変身しまくっていた。

子育て、大変ではあるけれども、こういう奇跡みたいな瞬間を何度も何度もわけてくれて、なんてありがたいんだろうと思う。

お世話し、保護し、どちらかというと与える立場のはずなのに、こちらの方が多くを受け取っている気がする。

自分たちもこのように育ってきたのだろうかと思いを馳せる。

記憶のない幼少期を、子育てしながら補うような、回帰するような、上書きするような不思議な感覚。

幸福で、尊い営みだなと思う。

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