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露朝新条約の「後爆風」

ロシアのプーチン大統領が平壌を訪問して金正恩(キム・ジョンウン)総書記との間で締結した「包括的戦略パートナーシップ条約」、関係国の間で様々な反応や動きが出ています。
韓国の聯合ニュースは、それらは新条約の「後爆風(후폭풍)」だというタイトルの記事を配信していて、私もその表現を借用しました。

日本語で「後爆風」という言い回しはないですね。
例えばミサイルなどを発射したとき、弾頭は前方に飛び出す一方で後方には爆風が吹きます。こうした現象から、「後爆風」は、「何か物事が起きたあとに強烈な影響が出る」という比喩として用いられます。
日本語だと「余波」が近いでしょうか。

というわけで、主な「後爆風」をお伝えします。


ロシアと韓国がさらに険悪に

これは当然ですよね。
韓国外交部は、今回のプーチン大統領訪朝に先立ってロシア政府に対して北朝鮮との軍事同盟を復活させるようなことはしないよう、牽制していました。そもそも北朝鮮への軍事支援は国連安全保障理事会の制裁決議に違反するのですから、韓国側の申し入れは正当です。

ところが、ふたを開けてみれば1961年にソ連と北朝鮮の間で締結された軍事同盟条約と、ほとんど同じ文言。

尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領以下、韓国政府は一気に態度を硬化させ、ウクライナに兵器を支援するかどうか再検討すると表明。これまで韓国政府はウクライナに殺傷能力のある兵器を供給することは控えていて、医薬品、食糧、防弾ヘルメットなどを送ることにとどめてきたのです。

しかし、そうした自制にもかかわらず、ロシアが北朝鮮の軍事的な後ろ盾になろうとするなら、自分たちもウクライナ支援を抜本的に強化せざるを得ない、というわけです。

対するプーチン氏はそうした強い反応が出ることも予想していたのか、さっそく韓国政府を威嚇してみせました。いわく、ウクライナに兵器を支援すれば「それは大きなミスだ。相応の決定を下す。それは、おそらく韓国が望まない決定になると思う」と…

脅しにかけてはプーチン氏の右に出る者はいません(褒めてない)。

倒錯したようなロジックも

一方で、プーチン氏は今回の北朝鮮との新条約を韓国が気にする必要はない、とも述べています。

どういうこと?

いわく、「(今回の)条約上の軍事的援助は軍事的な攻撃があった際に適用されるため、韓国は懸念しなくてもいい。私が知る限りでは韓国は北朝鮮を侵攻する計画がないため、私たち(露朝)の協力を恐れなくてもいい」とのこと。

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