#23 「依存するな」という依存
彼との交際終了後、クリニックでカウンセリングを受けた。ここで交際中に気になった彼の発言についてカウンセラーの意見を聞いてみた。
「彼から『お互いに依存したくない』ということを言われた時、なぜか心にグサッときたんです。よく『恋人に依存されたくない』ってことを口にする男性はいますけど、そういうのも聞く度にモヤッとするんです。それって、依存するなっていう依存じゃないかなって…」
すると、カウンセラーはすかさず答えた。
「そうなんですよ。依存ていうのは人に期待をする事なので、『自分に依存しないでくれ』『自立していてくれ』って相手に期待する事、それ自体もまた依存になるんです。彼も彼で、あなたに『自立していてほしい』『自分がある程度ほっといても平気でいてほしい』という依存をしていたということですね」
なるほど…ずっとモヤモヤしていた事の正体が分かった。
だったら、ただでさえ人に頼るのが苦手な私は、『依存しないでくれ』と言う人よりも『もっと自分を頼ってくれ』くらいに言ってくれる人の方がいい!
目の前の霧がパーッと晴れたような気分になった。
カウンセラー「他には交際中どういったことで不安になりましたか?」
私「彼が飲みに行くとかゴルフに行くとか聞くと、初めて聞いた時は心がズンと暗くなりましたね。彼に自分の知らない世界や楽しみがある事が妙に寂しく感じました。それと、友達に紹介したら取られるんじゃないかとか『誰かに取られる、浮気される』といった不安が常にありました」
カウンセラー「これまでに似たような経験がありましたか?大事な人に、他の大事なものができて、離れって行ったというような経験。一番古いもので」
そう聞かれると、心当たりは一つしかなかった。
私「弟ができた時です。弟が生まれるまでは一人っ子で、両親の愛情は全て私に向けられていました。けど、弟ができたらそうはいかなくなって、寧ろお姉ちゃんなんだからしっかりしなさい、一緒に面倒を見なさい、って厳しくされて。今まで「子供」だったのにいきなり「お姉ちゃん」をやらされて…。」
カウンセラー「独占していた両親の愛情が弟に向いて、自分は別の役割を与えられた。その記憶が恋愛の時に、いつか誰かに取られる、浮気されるといった不安として現れるんですね。では、両親にはどう接して欲しかったですか?」
私「最初から甘やかすんじゃなく、弟ができても公平に接してほしかったです。年長者だから、女の子だから、お姉ちゃんだからという役割を押し付けないで、1人の人間として、私として扱って欲しいです。」
カウンセラー「恋愛や結婚でも、そんな風にあなたを彼女だから、奥さんだからと特別扱いするんじゃなく、誰の事も尊重できる人と一緒になれるといいですね。」
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