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「汚い・キレイ」が刷り込まれる背景

食品消毒市場が急速に伸びています。

食品に限らなくても、この2年でアルコール消毒液は、2019年の平時と比べ年間約6倍の販売量になっています。
スーパーなど入り口に置かれた消毒液を、律儀に毎回プッシュして手を擦っている人を、今だに多く見かけますね。これも、すでに見慣れた光景になりました。

さて、食品消毒市場とは、2021年61億7600万米ドルから、2028年には77億6400万米ドルに達すだろうと予測されている市場です。

そもそもWHOが汚染された食品による健康被害をうったえ、製造業者が消費者の需要を満たすため、消毒技術を使用することを奨励していることが、この市場成長を促進する大きな要因です。

化学的には、

過酸化水素
塩素化合物
第4級アンモニウム化合物
カルボン酸など、

テクノロジーとしては

紫外線技術
オゾンによるものなどがあります。

用途としては、食品そのものに使う、加工や包装に使う、などとなっています。
今回のコロナ騒動が更にこの成長に拍車をかけています。

ただ、先進国における消費者ニーズとして、オーガニック食品への需要、食品安全リスクへの意識の高まりがあり、加工食品、調理済み食品などを避ける傾向もあります。

これらの食品消毒の安全性についても論議されています。
食品アレルゲン、放射線照射、化学保存料などへの安全性について関心が高まっていることも確かです。オーガニックメーカーでは自然食品を科学的に殺菌することを避ける製造業者もあります。

それでも、世界全体で見ると、最初に書いたような伸び率なわけです。

少し行き過ぎぐらいの除菌、殺菌への欲望って、いつから日本人が持つようになったのでしょうか?


最近、お漬物の営業許可制度が大きく変更となりました。
今年の6月から、道の駅などで売られていた自家製お漬物が大幅に減少しています。

2021年の食品衛生法は、HACCPに沿った衛星管理が義務付けられたことに伴い、新たに許可の必要な業種として漬物製造業が加わわり、その法施行が今年の6月1日でした。

HACCPとは、

Hazard(危害)
Analysis(分析)
Critical(重要)
Conntrol(管理)
Point(点)

の頭文字です。

疾病や障害を引き起こす可能性がある危害要因の把握と、危害要因を除去または低減させるために、重点行程を管理し記録すること、という意味です。
元はアメリカのアポロ計画の中で宇宙食の安全性を確保するため発案された衛生管理手法で、今では衛星管理の国際的手法となっています。

しかし、それにしても、何故、漬物が?と思いますが、今回の法改正によると、

・専用の加工場と生活の場所を分けること
・水回りの設備、床、壁の設備など

衛生基準を満たした施設を整備しないと、営業許可を取得できなくなりました。


もちろん今回の措置に反対を唱える人も多いのですが、そのなかで東京農大教授の前橋健二氏は、こんなことを述べています。

日本の味噌・しょうゆ・酢・みりん・酒はすべて発酵食品で、漬物もその一つです。

「あくまで菌ありきで考える発酵食品と、
あらゆる菌を無くすというHACCPの考え方とは
相反する部分がどうしてもある」

なるほど・・・・確かに。

発酵とは、菌が存在するのが大前提、良い菌が増えることで悪い菌が減る、という考え方で作られているのです。

国際基準とは、えてしてその国の文化を壊していく方向にあるようです。


私たちは、自家製の手作りのお漬物を愛してきたし、ぬか漬けだって素手でかき回してきたはずだし、それを汚いと思うような習慣はなかったはず・・・
除菌、殺菌という言葉を聴くたびに、なにか妙な違和感を感じます。

汚いものを除外する、なくす、不要なものを殺す、人間にとって害あるものは根こそぎやっつけてしまう、それって、西洋的発想なのかもしれませんね。
しかしWHOに代表されるそういった西洋的発想は、長い歴史の中で、人類に何を与えてきたのでしょうか?


「汚い・キレイ」を、一緒に考えてみませんか?

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