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夜の風呂の話

みなさんこんばんわ。さて今回は最近あった、ちょっと面白いような気持ち悪いような話をしたいと思う。

緊急事態宣言が出るちょっと前くらいの話、僕は仕事が終わり、部屋に帰ったとき、ふと温泉に行きたくなった。時間はすでに11:00、すぐに近くの温泉を調べ、明日が休みだったのもあって久々に夜風呂ってやつに興じることにした。

温泉に着くとすでに11:45くらい、1:00閉店だったので、一時間くらい入れるなぁと思いながら、いざ浴室へ。平日の夜だというのに、そこそこ人がいて驚いた。

一通り、温まったあと、最近ハマっているサウナに行くことにした。最近流行りの「ととのう」ってやつだ。サウナの中もそこそこ人がいた。嬉しいことにサウナの中にはテレビもあり、月曜から夜ふかしをやっていた。「ついてる。家でもよく見る面白い番組だ。これで長く入ってられるな。」なんて思っていたら、テレビからおなじみの深夜番組ノリが流れてくる。しょーもない下ネタ。くだらないノリ。いつもならテレビの前でゲラゲラ笑っているところだが、俺も大人、心で笑って、顔はサウナにいる人の顔をしていた。

そんなときだった。一人のおじさんが、くだらないVTRに耐えられず、思わずクスクスと笑ってしまった。その瞬間、サウナの中は決壊したダムがごとく、笑いが続々とこぼれてきた。みんな、堂々とゲラゲラ笑うわけではないが、一人がクスクスと笑ったことにより、笑うことに対するハードルが下がり、みんなクスクスと笑っていた。俺も笑った。笑って見た方が楽しい気がした。

不思議な空間だった。裸のおっさん達が知らない裸のおっさん達と一緒になって、しょーもない下ネタで笑っている。しかもサウナでだ。サウナという空間は基本無言かつ熱に耐える場所であるため、笑いがめちゃくちゃミスマッチなのだ。

僕は不思議な高揚感の中にいた。月曜から夜ふかしとサウナ、両方慣れ親しんだ娯楽であるにも関わらず、こんな圧倒的なまでの非日常感を感じている。そんな謎の高揚が止まらなかった。しかし、よく考えたらめちゃくちゃ気持ち悪い話でもある。なぜならおっさんの裸に囲まれた状態で下ネタ聞いて、高揚感を感じているのだから。状態だけみれば気持ち悪いとしか言いようがない。

そんなよくわからない高揚感で楽しい気分のまま、サウナと水風呂を2往復くらいすると閉店時間が来てしまった。この高揚感が不意の非日常から生まれたことをなんとなく察した俺はそう簡単にはこの高揚感は再現できないだろうな〜と思いながら帰った。
ちなみにその日、サウナで普通にととのうことはなかった。



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