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#36 複雑さと曖昧さを美しいと思う心 / Harmony as a Tiny Star

複雑で予測不可能な時代なんて言うけれど、
未来から振り返れば、
我々人間が営んでいる現代社会は、とても単純な世界なのでしょう。

人間はまるでAIのように、Aというトリガーがあれば、Bを返します。
Aの背景にあるZやYを、大抵の場合は慮ったりはしません。

Aというトリガーが異物であれば、Bのアクションとして異物を排除します。
学校でも、企業でも、村でも、都市でも、基本は同じ。
神のように振る舞う人間がそこにいて、痛烈に、密やかに、執行します。

そんな人間社会の暮らしとは一線を画した、
美しい世界を描いたドキュメンタリー映画に出会いました。


映画の紹介

The Biggest Little Farm(ビッグ・リトル・ファーム)は2018年の映画で、数々の賞を受賞しています。

あらすじ

ドキュメンタリーの物語は、殺処分寸前で保護した愛犬が、しかし人間社会には適応できず、異物としてアパートから排除されるところから始まります。

都市から追い出されて、何処へ向かうのか?
料理家の妻モリーには、料理の探求から見出した、人生の北極星とも言えるビジョンがありました。

夫のジョンや集まった仲間と共に、どうしたら辿り着くのかわからない、その目標に向かって、究極に美しい農場を創り上げていきます。

複雑さと曖昧さを美しいと思う心

ジョンとモリー達が築いた農場は、資本主義的な効率を追求したこれまでの農場とは一線を画し、多様な複雑さに富み、何をすべきかも曖昧で、最後まで目が離せません。

このドキュメンタリー映画は、「農場づくり」の枠を超えて示唆している抽象性があります。自然の多様性は、人間社会に狭めて置き換えることが出来ますし、観察することの大切さにハッと気付かされます。

そして、複雑で定義し難い自然を美しいと感じるこの感覚。
ここに、今、自分が関心を寄せている北極星へのヒントが隠されているように感じました。

料理家のモリーが見つめていた北極星。
日常生活の暗雲に隠れ去った自分の北極星。
街行く人々の北極星。

人間はそれぞれ、別の北極星を持つものだと考えていたけれど、
実は、人類が共通して、1つの北極星を持っているのかもしれない。
そんな風に想像してみました。

人間は、「美しい」と感じるコンパスを持って、人類共通の北極星を遺伝子の中に持ち合わせているのかもしれない、と。

何かの啓発書に書かれているような、
「起業して成功したい」
「作家になって世界中を講演して旅したい」
みたいな目標は、その人にとっての夢だけれど、きっとそれは、北極星ではない。

究極的に不動の北極星は、人間が感じる「美」の向こう側にある。

そう考えると、なんだかスッキリします。

だから、移り変わる空の色彩も忘れて、オフィスの椅子に座り続けて、
美しさに震える余地が無いほど、毎日に忙殺されてしまうと、分厚い雲に覆われて、何処に向かうべきなのか、自分の人生がこれで良いのか、わからなくなってしまうのかもしれません。

そんな風に想像してみると、綺麗なものに触れて、美しい調和を追求して生きていける世界を目指している限り、呼吸を楽にして、前に進んで行けるかのような気持ちになれます。

この感覚が気に入ったので、何かを見失ったら、また、この「The Biggest Little Farm」を観ようと思います :)

余談

この記事のタイトルに、最初は「Beautiful Harmony」とつけようとしました。何処かで聞いたことあるな?と思い、ググったら、「令和」の英訳!

現実は綺麗じゃ無いことがたくさんあるけれど、そう言われて大人になったけれど、これからの時代は、小さくても、美しい調和の輪を広げていけたら良いなと思いました。


Harmony as a Tiny Star
美しいと感じる気持ちを、もっと大切にしよう





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