ヤングケアラーだった私のこと①
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わたしと彼の10年
私は学生だった20歳の時に
運命の出会いをした。
彼は生まれつきの筋ジストロフィー。
人工呼吸器を付けて
現代書道家をして
学生ボランティアの介護者とともに暮らす、いつも派手な服を着た目立つヤツだった。
私達は恋に落ち、すぐに同棲を始めた。
私達の生活には、いつも同世代のボランティアが周りに居て
ちょっと普通とは違う同棲。
私の学生生活と生活
同級生がゼミやサークルに精をだしているころ、彼は毎月入退院を繰り返し始めた。
学校とバイトと病院の往復。
そこに彼の母のなかなかなキャラクターもあり、
介護の後は彼の母の話を明け方まで聴く生活を繰り返した。
私が就活をするときにぶち当たったのは、ライフワークバランスだった。
家事と介護と仕事の両立が出来そうな仕事が無い。
どの就職説明会に行っても、サビ残や転勤、寿退社がある未来しか見えず
絶望した。
とりあえず就職しなきゃ
・・・そんなことで私はとりあえず合格した保険会社に入社した。
女性多く、まだなんとかライフワークバランスが取れやすそうな個人で動く時間が多そうな営業職を選んだ(今思えば完全に世間知らずであるが、後悔はない)
土日も出勤する上司たちに囲まれ、仕事しながら恋愛や旅行を楽しむ動機たちに囲まれ、
私は家と職場と病院と義実家を行き来した。
それが当たり前になりつつも、いつも行き場のない疲労感と苛立ちに襲われていた。
愛と体力
私は本当に彼を愛していたし、いまも愛している。
私達はどこか家族以上、夫婦以上、兄弟以上で
阿吽の呼吸のような結びつきだった。
楽しい喜怒哀楽に満ちた日常。
その奥に、彼の難病の進行とともに生と死が常にちらついていた。
私がどんなに疲れていても、
彼の命に関わる状況よりは切迫していない。
・・・そんな思いが、常に私を駆り立てていた。
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