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最適な表示を疑いもしなかった

以前noteで「写真を撮る面白さを教えてくれた人」の話を書いた時に、写真を撮るようになったきっかけはたまたま買ったカシオのカメラ付きケータイだと書いた。
当時の最先端の技術が惜しげも無く詰め込まれた、高画質と高性能オートフォーカスの両方を兼ね備えたauのW23CAⅡ。
(という名前だったように記憶しているけど21かも。もう曖昧)

あのケータイだったからこそ、写真で表現する事の楽しさを知る事が出来た。
そこから地続きで今のわたしがいる。

ずっと抱えてきた思い出を、めいっぱい書いて出力しきった事でようやく思い出にする事が出来たのか、noteの募集企画「カメラのたのしみ方」の文言を目にした時に、あの頃のことを痛みを伴わずに振り返れるようになった。
だから啓示を得られたんだと思う。

あの頃カメラ付きケータイを使って写真を撮る時は縦写真一択だったな、と唐突に思い出した。


今では写真を撮るといえば常に携えているiPhoneだけど、縦向きだとか横向きだとかを意識するのは、いざ撮るにあたって被写体を液晶画面で確認して、より魅力的に写るのはどちらだろうかと選ぶ時ぐらいだ。
だってどちらで撮ったとしても、後でカメラロールで見返す時にはiPhone側の機能で勝手に見やすい位置で表示してくれる。
こちらが意識せずとも縦のものは縦に、横のものは横に。

スマホを使い始めたのが2011年の事なので、何年もかけて必需品となっていくうちに、そういうものだと当然のように受け止めるようになっていた。
あの頃カメラ付きケータイで横向き写真を撮ろうものなら、後ほどデータフォルダで見返した時に縦画像として変な向きで表示されてしまって不便極まりなかった。それゆえ避けざるを得なかった事を思うと素晴らしい進歩だ。

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カメラ付きケータイからスマホに至るまでに、フィルムを使うトイカメラ・ワイドアンドスリムと、Nikonのコンパクトデジタルカメラを経由している。

トイカメラの方は愛用していたら唐突に壊れてしまって、Amazonで同じものを買ったにもかかわらず、現像してみたら色彩もピントの合い方も全く違う写り方だった事に少なからずショックを受けた。
トイカメラだから仕方のない事だと思いつつ、壊れたあの子は唯一無二の存在だったんだと思い知らされて、それっきり使わなくなっていった。

Nikonのコンデジは撮影写真がSDカードに保存されていくタイプだったから、iPhoneを使うようになってからは自然と使う頻度が減ったものの、SDカードの画像データをAppleの機種に取り込めるアダプタの存在を知ってからは再び使うようになった。
そして忘れもしない2015年の春のこと。
インスタで写真作品を発表するためのアカウントを作った事がきっかけで、近所の公園から電車を乗り継いだ場所まで、Nikonのコンデジを持ってあちこち出歩いた。
荒川の河川敷に行ってスカイツリーを撮って、帰宅後に撮った写真をSDカードからiPadに取り込んで確認していたら下の写真が出てきた。

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向きが変だ。
縦向きで撮ったにもかかわらず何故こんな現象が起きるのだ? という純粋な戸惑いと、かつてカメラ付きケータイで横向き写真を撮った後に見返して生じた懐かしい違和感、その両方が脳内を瞬時に駆け巡った。

結局Nikonのコンデジが2009年頃購入の機種という事もあって、一定の向きだけを正位置として認識する仕様なんだろうと結論付けて納得する事にした。

安心できた事で改めて眺めてみると、このままの向きでも案外悪くない。
向きぐらいならカメラロール内の機能で簡単に編集出来るけれど、敢えてそのままにする事にした。

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それ以来、Nikonのコンデジを持って出かけた時は、正位置にならない向きで写真を撮ることを意識して行うようにした。
撮った瞬間に悪くない切り取り方が出来たと感じられたら消さずに残して、後になってiPadで確認して変な向きながらも面白く見えるものをさらに厳選する。

時には幾何学模様のように、或いはそのままの違和感が妙味となって写る光景。

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写真に限った話ではないのかもしれないけれど。
作品に正解なるものがあるとしたら、作者が提示した唯一無二の解がある場合はそれが尊重されるべきだろう。
だけどそうでない場合なら、今の私は撮る瞬間の正解と切り取られた後の正解が同じものでなくてもいいと思う。

写っているのは確かに「#ファインダー越しの私の世界」だけど、あなたとわたしは違う人間なので全く同じ見方や受け止め方をする事などそもそもあり得ない。
だから好きなように見てもらえれば、その中で心が動くきっかけがあれば撮った者としても面白いし嬉しい。

異機種のコラボレーションが好きなように見ていいのだと教えてくれた。そんな体験ができたのだと思っている。

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最後に。
このnoteを読んでくださってる方がスマホで閲覧中なら、写真のところでお手持ちのスマホを好きな向きに変えて眺めていただければ幸いです。

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