スタートアップと大企業における5つの違い
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スタートアップと大企業における5つの違い

これまで起業家としてしか生きてこなかった私が、6万人の従業員を抱える大企業幹部に就任してから早4年半。それこそ今までの私にとってみれば全く新しい様式といいましょうか、ある意味ニューノーマルなビジネスライフでしたが、日々勉強させていただき徐々に分かってきた事があります。そこで今までの起業家人生と大企業幹部の両方の立場から、スタートアップと大企業の大きな違いを考えてみました。ただ全てにおいて言えますが、どちらが良くてどちらがダメというわけではなく、それぞれの性質の違いから生まれるものなのでポジションに合わせて適応して行くことが大切だと思っています。

1.お金に対する考え方の違い

まずスタートアップとしての考え方です。スタートアップはなにより会社のお金の事を第一に考えなければいけません。バーンレートを計算してキャッシュがいつ尽きてしまうか、特に創業時はお金問題と常に背中合わせです。正直やりたくない仕事であってもお金に変えることができるならば率先してでも取り組まざるを得ない事は多々あります。一方、大企業ではお金に対する当事者意識が相対的に低いです。正直、会社のキャッシュを考えて仕事をしている人はなかなか居ないでしょう。ただし予算のことを気にしますスタートアップは無いお金をどう作るか?という発想に対して、あるお金をどう使うか?という発想なわけです。生み出す側と使う側の違いですから真逆のベクトルとも言えます。ただ最近のスタートアップ界隈ではお金余りの状況が続いているので、少し似たような構造になりかけているかもしれません。調達したお金の使い道を戦略的に考える起業家も増えているでしょう。また、スタートアップも成長していくにつれて徐々に大企業と同じようなベクトルになっていくはずです。つまりどのようにお金をレバレッジさせて事業をスケールさせていくか、最後は両者そこにたどり着くことにはなります。

2.事業の進め方に対する違い

スタートアップの事業の進め方はとにかくスピードです。誰よりも早く立ち上げ、失敗してもすぐに立ち上がり成功まで諦めない、そんなスタンスが必要です。ですからプロダクトやサービスに多かれ少なかれ品質問題が発生します。最初から完璧を求めるよりもまずリリースして改善していくアジャイルスタイルです。一方で大企業ではプライオリティとして最も大切なのは品質です。というのも、スタートアップは成長性が一番大切で、そもそも売上も大きくありません。つまり失敗しても数字のダメージも少ないのです。それよりも将来価値を買われています。ただ大企業は信頼が最も大切。多くの従業員を雇用し、多くの顧客やクライアントを抱える大組織において、規模のある売上を支える信頼を落としてしまうことは大きなリスクです。なぜなら利益は工夫からですが、売上は信頼から成り立っているからです。そのため事業に対する進め方においても、当然ベクトルが違っていて、確実なプロダクトやサービスを最初から求めがちです。

3.イノベーションの定義に関する違い

イノベーションと一言に言ってもスタートアップと大企業では捉え方が違うというのがあります。スタートアップにとってのイノベーションはビジョンであり、世の中に新たな「できる(Can)」を生み出すことです。例えばインドでは誰しもに住所がありません。つまりECというのは簡単に出来ないわけです。ですからそれをできる(Can)ようにする事は大きなイノベーションです。そのためにドローンを利用して住所そのものを必要としなくする事が必要かもしれません。世の中をより便利にする、というワードがよく使われますが、私個人的には今までは出来なかったことを出来るようにする、というのがスタートアップの本来の使命であると思っています。ですからスタートアップにとってイノベーションは一歩二歩進んだ考え方で飛び級した発想が求められるわけです。一方で大企業でそのスタンスは非常に危険です。そもそも大企業というのは工場のようにひとりひとりに役割が明確に与えられた集合体で事業が運営されています。それぞれ決まった時間、スペース、役割があるからこそ規模の大きな仕事をこなすことが出来ます。まさに工場をイメージしてもらうとわかりやすいですが、工場でプロダクトの組み立てに対して工数を役割でそれぞれ作業をしているところに、いきなりドローンで組み立てて作ってしまおう、と言われると困惑するわけです。そこには役割が明確に定まっていないからです。では大企業におけるイノベーションとは一体何なのか。それはより品質を高く、速度を早める「改善(Better)」というイノベーションです。小さな改善の積み重ねでも規模が大きいからこそ大きな変化を生み出す事ができます。スタートアップはスクラッチからなのでゼロサムですから大きな変化を作れる壮大なビジョン(Can)が必要ですが、大企業は一見小さく見えても規模の経済によって積み重ねた改善(Better)による大きな変化を作ることだと思っています。スタートアップと比べると大企業側はどうしても地味に見えるんですが実際にはとても大きなことだったりします。

4.事業に取り組む姿勢についての違い

スタートアップでは常に新しいことに取り組んでいます。大企業では常に存在していることに取り組んでいます。これによる大きな違いは納期があるかないか、ということです。スタートアップには事業に対して納期はありません。いつ事業が立ち上がるかどうかは、むしろ会社のキャッシュに委ねられています。ですからヘタにキャッシュがあると実はサービスの立ち上がりは遅れるというジレンマがあると思います。ただ多くのケースでは前のめりに急がないとマーケットの変化や資本政策に影響があるので、大抵は気合と根性で全ての時間を投下し納期のない仕事のやり方をしています。そしてそもそもスタートアップは誰からも明確に仕事のオファーを受けたわけではなく、あくまで創業者のビジョンや志によって生まれた会社ですから、当然自分たち自身でお尻を決めて能動的に動いていかねばなりません。一方、大企業での仕事には必ず納期があります。大抵のケースだと1年間を一つの区切りにして年次計画の予算の中でプロジェクトは進行されていきます。最初から納期と予算が設定されていますのでスタートアップのようにある意味で気合と根性ではなく計画的に取り組みやすいのは事実です。一方で1年という納期があるからこそ早く終える必要も無いのです。ですから起業家は事業が立ち上げなければ成果ゼロというような加点方式と違い、納期と予算通りに進行する減点方式になりがちです。

5.仲間意識の違い

まずスタートアップの仲間意識はとても強いです。そもそもチームが会社の価値として投資家からは判断されるくらいそもそも重要なポイントですし、一つの目標に向かって同じベクトルで挑む仲間はやっぱり美しい(ときに汚いケースになるときもありますが(笑))そもそもスタートアップはよそ見をする暇がないくらい本業に集中しなければなりません。そういう意味でも内側を見る暇も無いので統一された世界観が作りやすいのだと思います。一方、大企業における仲間意識はやはりスタートアップと比すると低いかもしれません。そもそもメンバーも多いですし、事業領域も広範に渡るとどうしても組織は縦割化しますので接点が少なく、仕組み的に考えても仕方ない部分もあります。ただ合理的かどうかは置いておいて、、、評価という点においてはもしかすると大企業の方がスタートアップよりもより大きな成果があるかもしれません。やはり大人数からのし上がるわけですから、なんだかんだ相対的に評価が分かりやすいんですよね。そういうことからも大企業では「出世」というのがどうしても仕事の中で切っても切れない目標になってしまうのかもしれません。それが故に外より内側を見て忖度してしまう。。ここは大企業の悪いところだと思います。

さて、大きく5つに分けて書いてみましたがいかがでしょうか。スタートアップのほうが全体的に良さそうに見えるかもしれません。ただこれってポジショントークでもないのですが、本人にとって向き不向きがとても大きいと思います。ぶっちゃけ私が大企業に向いているかどうかは別として(笑)多くのビジネスパーソンにとってスタートアップが良いのか大企業が良いのかでいうと、私の目から見渡して見てみると案外大企業に向いている人の方が全体的に多い気がします。また、最近は大企業は社畜だ、搾取だのと悪く言う記事が多いですが、どう考えても大企業の社会的意義は大きいです。スタートアップはメルカリクラスで成功しない限り、個としての夢はありますけど社会的意義はぶっちゃけほぼありませんからね。とはいえスタートアップでの経験はビジネスの全てのレイヤーで必ず活きてきます。今回の記事は私の主観もありますが、是非自己分析の上で参考にしてみてください。また、スタートアップと仕事をする大企業や、大企業と仕事をするスタートアップは是非参考にしていただければ幸いです。


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連続起業家兼アーティスト。現代社会の歪みや矛盾に訴え、新たな挑戦を応援する。ホリエモン&CEOセオ『NO TELEPHONE』、明日花キララ&CEOセオ『モザイク』などコラボ多数。起業歴18年、大企業経営歴5年、アーティスト歴2年。株式会社CEORY、代表取締役社長兼CEO。