aurora(3/3)
3
時は経つ。雪で見えなかった地面が少しずつその姿を現す。
もう会えない。あの日使ったギターはあの場に置いたまま。近づくことも出来ずにいた。もし彼が倒れていたらと思うと足が竦んだ。
きっと生きていても、もう嫌われてしまった。もうここにも現れることはないだろう。幻のようなものだったんだと言い聞かせる。あの時間は帰ってこない。
心に住み着いた彼を思う。何度も何度も繰り返す。考えることすら嫌になる。怯えるという事悲しいという事嬉しいという事。でもいなくなって初めて、今までにない