夕暮れ時

夕暮れ時。
線路沿いの道。
カタンコトンと電車は走る。
風に乗って遠くで聞こえた。

寒いねと何気ない会話にも
返せない程溢れそうな言葉
聞こえてしまいそうな心音

そんな時は
立ち止まって距離を置く

かじかむ指をポケットに入れると
かちゃりと小銭とジッポが当たる
また一呼吸。
紫煙が後ろへ後ろへとゆっくり流れる

抑えなきゃ
わかってるだろう
自分のキモチに蓋をする

決して向けてはいけない感情
なんで。どうして。いつから
自分はこんなにも醜く卑しい

前を歩く背中。
近くて遠い。
手を伸ばせば届くのに。
伸ばした手は空をかいた

どうしたの

不意に振り向いた視線
やりどころのない手を慌てて
ごめんと顔の前へもってきた。

いつか
この気持ち
昇華される日が来るのだろうか

ただ願う。
今はどうかこのままで。