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東京都のテレワーク助成金取得にチャレンジしてみた

2020年3月5日に新型コロナウイルス感染症などの拡大防止策として、東京都からテレワーク環境整備を支援する助成金の募集を始めることが公示された。
この助成金を活用したいと支援中のお客様から相談を頂き、4社様で助成金取得チャレンジを行いました。これらのチャレンジで感じたこと、学んだことを書きます。
わたしはお仕事については、こちらの記事で。


どんな企業でもチャレンジできるのか?

当然、答えはNO
対象事業の条件をクリアしている必要は当然。
条件をクリアしていればどんな企業でもチャレンジできるのか
これもNO

第1関門
「助成対象事業者」として公示されている内容としては、
1. 常時雇用する労働者が2名以上999名以下で、都内に本社または事業所を置く中堅・中小企業等
2. 都が実施する「2020TDM推進プロジェクト」に参加していること
ふむふむ。999人以下で東京都に事業所があればOKなのか。2つ目のプロジェクトは、今からでも申し込みができる。
楽勝だな。
難易度 = ★☆☆☆☆

第2関門
「募集要項」に記載されているもう少し細かい要件としては、
1. 基本的なことでダメだよと言っている条件
 1) 併給
 2) 東京都が設立した法人
 3) 都税の未納付
 4) 過去5年間に重大な法令違反がある
 5) 風俗営業等・暴力団員等
2. 個人事業主もOK
3.  法人の場合もう少し細かい条件あり
 1) 都内に勤務する常時雇用する労働者を2名以上、かつ申請日時点6か月以上継続して雇用していること
 2) 労働関係法令の9個の項目を満たしていること
 3) 就業規則を作成して労働基準監督署に届出を行っていること(常時雇用する労働者が 10 人以上の企業等)

ふむふむ。割と楽勝なのかなと軽視してましたが、
実はここで 4社中1社脱落。
「労働関係法令の9個の項目を満たしていること」のうち、
「適切な残業代の支給」「年次有給休暇の年5日を取得させる義務」辺りと「就業規則を作成して労働基準監督署に届出を行っていること」。
就業規則はすぐに出せばOKだけど、残業代とか有給取得は日々の営みであって、場当たり的に解消できるものではないので、今回は諦める決断をしてもらうことにしました。
ただ、このチャレンジにより、活用できる資源を手に入れられなかったとして経営陣に改めて進言し、課題化できたことには価値があったと思っています。
難易度 = ★★☆☆☆

第3関門
対象事業の明確化。
これは要件的な難易度と社内的な難易度があります。
まず、要件的な難易度。
1. 「機器等の購入費 = 税込単価1,000円以上10万円未満の下記に示す機器」と要項に記載されています。例えば、税込み10万以下のパソコンって... VPN接続したり、クラウドサービスのアクセスをして社外から業務を行える環境の準備をするためとしては非常に厳しい成約。
2. クラウドサービスの使用料は、初期導入費用と最大3ヶ月分の利用料(2020年6月分まで)とあり、
クラウドサービスって大きな初期投資が必要ないのがメリットやんか、「最大3ヶ月」って継続的にテレワークを推進していきましょう!というのとちょっと乖離してへん?有償でしかトライアルできないようなサービスとか、初期費用がかかるものの補填程度なんやね。とせやろがおじさん風にツッコミたくなる。
まぁ、でも要件なのでクリアできるようなもので特定するしかない。
難易度 = ★★★☆☆

もっと厄介なのは、社内の課題。
上から『こんなんあんねん。250万フルに使えるように考えて申請しといて
これは、本当に地獄。
今回はテレワークを推進するための事業経費であること、これが最重要ポイント。だけど、上からこの様に落ちてくる場合、「テレワークを推進するために工数割いてやって欲しい」なんて思いを含むことは皆無で、250万出してくれるらしいから、いい感じに利用してやれや、いいもんらしいいから。こんな感じ。
当然、テレワークを行う上での、経営課題や事業課題など捉えているわけもなく。テレワークやろIT関連の助成金やろ、情シスがやるべきやろ。という感じで、唐突にフッと湧いて落ちてくる重ためのタスク....
(※これはわたしが見てきた現場の感想で、そうではない現場も有ると信じたい)
ただでさえ、未知のウィルスで唐突に湧いたテレワーク対応。その上、助成金取得??(´Д`)ハァ…?
IT関連の経費の助成だからイコール情シスでしょ?って違うよね。そもそもテレワークを推進するための会社の体制とかルールとかどっちかゆーと推進していくと総務とか労務だよね?なんで情シス??(´Д`)ハァ…?

難易度 = ★★★★★
緊急対応時に助成金対応が追加される、その上管轄業務以外も含むのに丸投げ。なことが多い。

申請するのに必要な工数と体制

前記のように、チャレンジするのにもそれなりのハードルがあるが、
いざ、申請するにあたり必要なものは何か?の話です。
まず、唐突な緊急対応が2つ有るわけです。新型コロナによるテレワークをできる環境整備と助成金取得対応。どちらも定常的に対応している人は少ないし、それが一気に2つも。999人以下の中小規模なので、当然体制も潤沢なメンバーではなく、一人でIT関連と総務とやっています〜... ということが多い。(と思われる)
いくつか書かなければ行けない申請書の内容に、システム担当者では難しい項目がある。例えば、各事業所ごとの常用労働者数、感染予防の取り組み、発生した場合の対応、従業員への周知方法など。
また、付随書類も必要で

・雇用保険被保険者資格取得等確認通知書(事業主通知用)
・労働基準監督署への届出印のある就業規則一式
・印鑑登録証
・法人都民税・法人事業 税の納税証明書  などなど


体制や組織規模にも寄ると思いますが、システム担当者だけで全てを対応するのはかなりしんどい。
なので、助成金を取得して活用したいとなった場合必要なのは、
1. 経営陣が対象事業の課題を理解すること
2. 誰かに丸投げするのではなく、PJT化し複数名の体制を整えること
3. 担当者の工数を確保できるような支援体制をつくること

以上の3つは最低限必要なんだと思います。

ちなみに、わたしが支援した会社さんにおいてのどうだったのか?
PJT化して進めることができたのは1社だけでした。

A社 300人規模で情シス部門なし 経営企画部が主導(担当1名)
B社 40人規模で情シス部門なし 総務担当者が主導(担当1名)
C社 600人規模で情シス部門あり IT推進チームが主導(担当3名)
D社 30名規模で情シス部門なし 秘書室が主導(担当1名)

学んだことのまとめ

補助金とか助成金とか今回の以外にもいろいろあるんだなというのが学び①
時間外労働等改善助成金(テレワークコース)
はじめてテレワーク(テレワーク導入促進整備補助事業)
テレワーク活用・働く女性応援助成金(テレワーク活用推進コース)
IT導入補助金
税制面での支援(少額減価償却資産の特例)

チャレンジ前チャレンジ、つまり、やってみる?今の俺らにできる?までは対象事業条件に合えばやるべき(やったほうがいい)と思ったのが学び②
チャレンジ前チャレンジで失敗しても、今の自分達に足りないことが課題化できる。
助成金について調べているときに、「法令違反のない会社であるという信用に繋がる」と書いてあって???と思ったのですが、なるほどとその時に腑に落ちました。

助成金を取得したいがための余計な仕事にしないためにやるべきこと(= 学び③)
チャレンジはすべきと書きましたが、ただ闇雲に取得するということではい。
今回のケースだと社会情勢の大きな変動と相まってよりカオス化させていた面はあるかもしれないが、250万取得のために何か絞り出せみたいな地獄絵図に容易になりかねないと思った。
自分たちの進むべきロードマップの道筋にたまたま助成金が使える。これが理想だけどそんなことまずない。
ただ、上からお告げのように言われ、ぬぉぉぉぉぉ、はいはいやります!
冷静に考えましょう。税込み10万円以下のポンコツPCを助成金を利用して導入しました。それ面倒見るの情シスさんですよ。会社の成長につながるわけもなく、苦痛なオモリ業務が増えるだけですよ。

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冒頭に「支援中のお客様からの相談」と書きましたが、実は4社中1社は「助成金を取得したいお客様」がにっちもさっちもいかないので、助けてあげてもらえないか?という紹介でした。
あー。こんな風なきっかけでお仕事が頂けるんだ〜というのか学び④

個人事業主でも助成や補助を受けられるものがあるという学び(学び⑤)
支援とは違うものを学べる気がするので、自分でもやってみようと思っています。(時期的に来年になりますが...)
そしたら、またまとめ書こうと思います。


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