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人間失格


近ごろ母が、腕が上がらないと言い出しました。
つい先日めでたく還暦を迎えまして


「(老いが)急に来た…」と参っておりました。


Tシャツの着替えもままならず、サイズの大きいのを買わなきゃと言い


腕を上げるたびに「いたい、いたい」と言い、
脱衣のときは、手伝ったりしてました。


あまりに痛がるので「近所の整形で電気流してもらったら?」と言ってました。わりと本気で。


私「年貢の納めどきよ」
母「絶対骨ではないんやけどレントゲン撮られそうやん。いらんのに」
私「通過儀礼や」


事件は今日の朝方のことです。


わたしは母と布団を隣同士並べて寝ているのですが、横から聞こえてきたのです。


さすさすさすさすさすさすさすさすさすさす…


目は開けてないけど、頭がぼんやり覚めて
「お母さんが腕をさすりよるな」とわかりました。


腹時計的に5時くらいなんではないだろうかと、
でも目を開けて時間を確認すれば負けだ、完全完璧に目が覚めてしまうと思い意地でも目を開けずに過ごし


やはり想定の時間経過ぐらいでアラームが鳴りました。


目は開けませんでしたが、結局ずっと覚醒はしていて、1時間くらい睡眠時間を奪われた形で起床しました。


後ほど母が起床し
「朝方からずっと腕さすりよったやろ」と聞いたら、「さすりよった」と。


母「6時くらいからずっとさすりよった」
私「時間確認してないけどもっと前じゃない?ずっと起きてたよ。安眠妨害やった」
母「ごめん」


しばらくして母が「さやこ!わかった!」
と言い「どうした!?」と聞くと


「これ、ワクチン打ったけんやん!緊張して周りの筋肉が強張ったんやないやろか」


と言い出しました。


「なんかもんだら良くなってきた」


歳をとると筋肉痛は後から来るとは言いますが


ワクチンを打って影響があるのを筋肉Aとして
今回痛くなったところを筋肉Bとしたら


接種直後、痛くなった筋肉Aの緊張をカバーしようと、普段発生しないような影響が筋肉Bに起きて、時間差の筋肉痛が筋肉Bに発生したっていうことかな?


と頭でぼんやり考えて、このまま治ればいいけどなぁと思いました。


さて、今回ここでしたかったのはこの出来事の報告ではなく、反省です。


自己擁護ではないですが、朝はめちゃくちゃ苦手なわたしです。


ですが、出勤のために電車に乗ってるときにぼんやり、ですがだんだん冴えてきた頭で考えて、気づいて、だいぶ落ち込みました。


自分の睡眠優先して、全く母のことを心配しなかったなと。


腕いたいの?寝れないの?大丈夫?ってならなかった。


自分の安眠妨害されたって10:0で思っていた。


自分のこの思いやりのなさに、考えれば考えるほど愕然としました。


夜泣きしてる赤ちゃんをあやしてる人に向かって
「明日も早いんだから静かにさせろよ」って言うやつやん。


うわ、クズ。最低。


緊急事態のときに本性が出るってやつですね。
最低ですね。
最低だなぁ。


最近90近い?超えた?祖母が急に年をとり、少々認知の兆しもあり


母が週1くらいで様子を見に行っています。


母が祖母に「ご飯を作っとこうか?」と聞くと
ずっと「いや、しなくていいよ」と言っていたのに、ある日祖母はついに


「そうやね、おねがい」と言ったようです。


この一言で母は祖母が”おばあちゃん”になったんやなぁと実感したそうです。


子供がずっと子供なように、親もずっと親です。


そう言う意味で親を、親の老化を舐めてた。
たかを括っていた。


ずっと強くて、甘えも通用する存在だとなんとなく思っていました。


いかん。大人にならねば。
ごめんなさい、お母さん。


そんな感じで始まった今週であります。





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