リボフラビン・シンドローム
チョコレートみたいにドロドロの、深い沼にいるように、彼女の言葉はいつも甘くて辛辣だ。
えー本当ですか?うれしいー。って言ってなんでも叶えてきた子を僕は知ってる。
そういう子はこの世に一定数居て、上手に甘える事で周りを幸福にするのと同時に、支配している。
彼女たちの周りの人間は、いつだって彼女の掌の上にいて、意外と支配されることを喜んでいたりする。
「タクミさんて、」
目の前の女の子が唐突に口を開く。
彼女もまた、支配する側の人間だ。
右耳と左耳の下で若干長さの違うショート