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Beyond the moment of confinement(閉じ込めた一瞬の先には)


「匂いで思い出すことってあるじゃない」留衣が言う。

「香水とか柔軟剤じゃない、季節とか空気の匂い」と続ける。

自分だったら何だろうか。

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海まで出掛けた秋の始まり。

日中買ったアイスが鞄の中で溶けて、

声を潜めてゴミ捨て場まで走った。

帰り道に彼女をおんぶして、

ーー映画のワンシーンみたいだ。

そんなことを思ったのを覚えている。

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それからいくつか恋をしたけれど、結局誰とも結婚する事はなく僕はまた、恋をしている。


あの日と同じ、金木犀が香った。



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