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The ebb and flow of the tide(潮の満ち引き)

「大事にしてくれない人とは付き合えない」
別れを切り出したのは、彼女だった。

毎日の連絡も約束の花火大会も何一つ守れなかった。
当然の結果だった。
引き留めるのもなんだか違う気がして、何も言わなかった。

暫くして何度かやり取りをして、また会うようになった。
ゆらゆらと波のように、引き寄せたり突き放したりした。

肌寒くなった秋口、なんだか人恋しくて名前を探した。
「今出先だから」
いつもと違う、「素っ気ない」が気に掛かった。

折り返しも無くて、結局追いかけてしまった。
長いコール音の後
「何」彼女が出た。
「今から会いに来て」
「あー‥‥」
少しの沈黙の後彼女が言う
「彼氏出来たんだよね」

「幸せにしなよ」
「どの口が言う」
初めて彼女が笑った。
「うん。だから、ごめんね」
答える間もなく電話が切れた。

言いたかった言葉を並べて、するべきだった行動を考えてみたけれど
「同じ結果になるんだろうなあ」
そんなことを思い、ガクリ項垂れた。

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