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『書くと生きる』

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「書くと生きる」

Cut out the moment(瞬間を切り取って) 目次▼ リボフラビン・シンドローム The ebb and flo…

seLenA
3年前
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Cut out the moment(瞬間を切り取って)

リボフラビン・シンドローム The ebb and flow of the tide(潮の満ち引き) さよならの半分 …

seLenA
2年前
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土曜日午前四時交差点にて

「雨の匂いがする」と彼女は言った。 深夜四時フワフワした感覚で、お互いに好きな曲を流しな…

seLenA
3年前
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Beyond the moment of confinement(閉じ込めた一瞬の先には)

「匂いで思い出すことってあるじゃない」留衣が言う。 「香水とか柔軟剤じゃない、季節とか空…

seLenA
3年前
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ハッピーエンドを塞いで(Block the happy ending)

『肝試しをしよう』 どちらが先に言い出したかはもう忘れてしまった。 声を潜めて、『怖い』…

seLenA
3年前
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While blinking(瞬きをする間に)

一目惚れだった。 大人なのに子供みたいな笑い方をする人だった。 可愛くて、仲良くなりたく…

seLenA
3年前
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After breaking everything (全部壊したその後に)

好きになったきっかけは「ペンを持ち歩いていたから」そんな所だった。 背が高くなくて少しふくよかで、所謂「可愛い系」でタイプじゃ無かったのに、雰囲気が柔らかくて飲み会が終わる頃には肩を寄せて話していた。 何回かデートを重ねて、夜の湖で付き合うことになった。 週末に家を訪ねて、ポップコーンを作ったり秘密を分け合った。 何もしなくても、近くに居られればそれだけで良かった。 多分「忙しくなった」だけが理由じゃない、 二度目のバレンタイン。 夜明けから友人と出掛けて釣った

Being mixed with carbonic acid (炭酸に紛れて)

明るく染めた髪がふわふわ揺れる。 留学先の語学学校で出会った彼は、四つも下なのに私をちゃ…

seLenA
3年前
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Make my choice muddy(選択を濁して)

「浮気をしました」 正座をした男が口を開く。そういえば昨日の昼からおかしかった。いつもな…

seLenA
3年前
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ある日の話

3ヶ月も前に拗らせたまま、 「友達」でも「恋人」でもない僕らは 本音を話すこともないまま …

seLenA
3年前
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With the moon and the elf(月とエルフと)

どこにも出掛けなかった休日の終わり 彼はいつもスーパーに誘う。 何度ごねても諦めないのは…

seLenA
3年前
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Melted in carotenosis(オレンジに溶けて)

「居てもいなくても同じでしょう?」 僕なりの、反撃だった。 ----------------------------…

seLenA
3年前
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さよならの半分

毎週月曜日には、彼女をブロックする。 ブロックなんてする歳じゃない。SNSに振り回されるな…

seLenA
3年前
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The ebb and flow of the tide(潮の満ち引き)

「大事にしてくれない人とは付き合えない」 別れを切り出したのは、彼女だった。 毎日の連絡も約束の花火大会も何一つ守れなかった。 当然の結果だった。 引き留めるのもなんだか違う気がして、何も言わなかった。 暫くして何度かやり取りをして、また会うようになった。 ゆらゆらと波のように、引き寄せたり突き放したりした。 肌寒くなった秋口、なんだか人恋しくて名前を探した。 「今出先だから」 いつもと違う、「素っ気ない」が気に掛かった。 折り返しも無くて、結局追いかけてしまった。