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密室本 脳みそを覗かれていた

列に並ぶことが全く好きではない。

なのでもちろん並んでまで何かを食べようとか思ったことがない。
最近のサウナブームからサウナに入るために裸で並ぶことがよくあるが、あれも本当に嫌で最近は並ばなくて済むように開店と同時に行くようになった。

家の近所のラーメン二郎の行列、裸の男たちが並ぶサウナ室の前の行列、上野動物公園のパンダを見るための行列、スターバックスを飲むための行列、行列し行列行列行列。。。。東京のどこにでもあるどこまでも続く行列は全てがしっかりと整理されていて、行儀よく待っている様は日本人の真面目さと滑稽さを感じさせる。

海外でもにもこんなに行列って至る所にあるのだろうか。

並ぶといえば一番嫌なのは車の行列、そう、渋滞である。

あの密室の中で遅々として進まない車窓からの景色を見ていると、
一体この時間はなんなのかと思う。

特に土日の関越自動車道は最悪である。

先日、友人たち4人とキャンプをするために車で山中湖へ行った時のこと。

キャンプ自体は楽しく満喫したのだがその帰り道。

Googleマップの示す通り関越から帰ろうと高速に乗り込むと御殿場あたりから全く動かず超渋滞。

初めのうちは話も弾んでいたが、そもそも若干疲れもある帰り道。
車中の4人は段々会話も少なくなり、暇を持て余し始めていた。

その時、友人の一人から自分クイズやろうという提案が。

なにそれ?

どうやら、自分に関するクイズを出して当ててもらうというものらしい。

つまり、

「クイズ、○○○○(この○の中は自分の名前)!私の好きな映画のベストスリーはなんでしょうか」

みたいな感じで問題を出すクイズらしい。。。

普段ならこれに乗ることはないと思われるが、
渋滞に追い詰められた車内はみんな前向き。

よっし!やってみよう!

ということではじまった自分クイズ。

好きな音楽、好きな街、好きな寿司ネタ。。。

さまざまクイズが飛び交い、知らなかった一面が垣間見えて意外と盛り上がる。

何回目かの私が出題者になる番。

「本が好きな私ですが、私が好きな作家ベストスリーを3人当ててください。」

結構難易度は高めの問題。これを当てたら自分の脳みそ見られたのと一緒だわ、なんて軽口叩きながら回答を促す。

メンバーのうちの一人の女性がしばらく考えた後に、はいっ!と手を上げた。

「谷崎潤一郎、西加奈子、中島らも」

「。。。。。正解!」

なんでわかったのか聞くと、

普段見ていればわかる。

出題が終わって、他の人のターンになって、
それでもしばらく私の胸のドキドキは止まらなかった。

私が助手席。彼女は後部座席。

向かい合う事のない、表情をみられない車の中で良かった。

車窓はゆっくりと本当にゆっくりと夕暮れの関越道を写していた。

いつもこういう行列なら悪くないかも知れない。




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