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三井記念美術館 追記 三井家関係【東京都編】墨田区・小金井市

旧財閥系のミュージアム、三井記念美術館に触れた前回。商人としての歴史は他の追随を許さず、所蔵する美術品も充実。そして東京都内には、ほかにもチョット地味ながら三井家の歴史を実感できるトコロがあります。
美術館の前身、祖先の霊廟、そして豪商の邸宅。伊勢松坂から始まり現在も拡大を続けるグループの追記です。




まずは記念美術館の前身にあたる三井文庫について。展示スペースは以前の三井文庫別館でしたが、そちらは現在クローズド。研究機関である文庫は1965年の竣工で、現在は研究者に限って利用可能。隣接して三井一族や奉公人のお墓もあるようです(通常非公開)。


三井文庫

周辺は住宅

東京都中野区上高田5-16-1  

三井文庫
三井文庫別館

哲学堂公園の近くにあり、チョット分かりにくい場所。別館(展示室)は三井記念美術館の開館に伴い、現在は閉館しています。普通に行っても感じられるのは今や雰囲気だけ(泣)


続いて三井家の守り神へ


三囲神社

東京都墨田区向島2-5-17

三囲みめぐり神社は三井家の守護社。そこに三井家の先祖を祀った流転の霊社もあります。三囲神社は弘法大師が祀った田中稲荷がはじまり。室町期に近江は三井みい寺の僧が社を改築。その時に白狐にまたがる老翁の像を発見。すると白狐があらわれ像の周りを3度回り消えたそうで三囲という名前に。
そして江戸に出て来た三井家はその名前にあやかり守護神とします。エピソード出来過ぎ。

狛犬さんにお狐さん・・・

  

さらにライオン(獅子)まで控えています。

ライオン像はかつて三井池袋店にありましたが、2009年の閉店に伴いこちらにて隠居の身。

ライオン像の隣にあるのは

西麻布邸にあった三越の商標が彫られた水鉢。邸宅移築時にこちらへ寄贈。


境内にある最も古い年代(1707)を示す石塔は藤堂高睦とうどう たかちか(1667-1708)が奉納したもの。神社の解説には伊賀上野城主とありましたが、年代的にも津藩4代藩主ではないかと。ちなみに近世大名藤堂家の祖藤堂高虎たかとら(1556-1630)の父虎高とらたか(1516-1599)は、近江時代の三井家の生まれという説があります。三井家も藤堂家も通字の「高」は共通! 素人には諸説ありますレベル。


そして顕名霊社

首都高速向島線のわきにひっそりとあります。

顕名あきな霊社は三井家の祖先を祀る社。明治の廃仏毀釈の流れで京都の三井邸内に遷座された社。そこから事業拠点をシフトした東京の深川邸内にも分霊。京都の社は何度か遷座され御霊璽は東京へ。
東京の社も都内の三井邸をいくつか遷座して西麻布邸に。そして西麻布邸の江戸東京たてもの園移築に伴い、1994年に顕名神社は三囲神社内に。ご先祖様も落ち着かない。


周囲は柵で囲まれていて近づけません。放置されているワケではなさそうですが、日々手入れされているかというと微妙です。
三井グループの方々がお参りに来たりする場所なのでしょうか? 金融・保険系の会社は住友と合併していますし。

神社のすぐそばを流れる墨田川の堤は桜の名所(墨堤通りにある長命寺の桜もちも有名)。この場所に移ってきたのが1994年と三井の歴史の中ではまだ日が浅いとはいえ、再開発の進む日本橋の風景とは対照的な地味な場所。


最後に昭和時代の三井邸宅へ


三井八郎右衛門邸

門柱も移築?

三井家の総領家当主は代々八郎右衛門はちろうえもんを名乗っています。その邸宅が小平市に移築されています。

第10代当主三井高棟たかみね1857-1948)の手による今井町邸(現港区六本木)が太平洋戦争の空襲で焼失したため、第11代高公たかきみ(1895-1992)によって1952年に建てられたのが西麻布邸(現港区西麻布)。高公さん没後に江戸東京たてもの園に移築され、1996年から一般公開。


東京都小金井市桜町3-7-1


西麻布邸は大磯別邸、京都油小路邸、そして今井町邸からの部材も利用し建てられています。昭和中期にすでにSDGsな邸宅です。豪邸では移築のハナシをよく聞きますが、コストはいかほどなのでしょう(気になる庶民)。


いますね
 

記念美術館にも鎮座していた鹿(多分同じ)。屋外にあるのでいいヤレ具合で歴史を感じさせますが、アチラとの関係は不明。


  

廊下に折上格おりあげごう天井、さらに照明はシャンデリア! このセンスはどうなんでしょうか?
 

スッキリして品のいいデザイン。奥の部屋の収納?は引き戸ではなさそう。
 

食堂 京都油小路邸より移築

テーブルのサイズのせいか窮屈な印象。
 

装飾は非常に手が込んでいます。


客間 同じく京都油小路邸より移築

床の間と違い棚にイスの組み合わせはやや違和感。こちらもチョット窮屈。


望海床 大磯邸からの移築

シンプルで繊細なデザインに素材もいろいろと。和室には家具がない方がよさそうです。


入側は大名邸か古刹寺院の雰囲気。


土蔵 駿河町三井越後屋の絹蔵と伝わる

土蔵は3階建てになっています。


今井町邸
 
西麻布邸
 

邸内は自由に見学できて、ガイドの方も複数います。
江戸東京たてもの園内では三井邸と高橋是清邸の豪邸ツートップが見応えあります。


日本橋の三井記念美術館と比べると、地味だった三井家の足跡・東京編。三井邸は華やかな雰囲気はあるものの、落ち着いた空間と江戸東京たてもの園ののんびりムードのせいか高揚感は少ない(笑) でも心を平穏に保てる空間は大切です。特に住宅は。



越後屋のお話 はじまりはコチラから



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