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栄光なき良コミック選書 アノナツ-1959-編

竜神は昔からコミックが好きで結構読んでるんですが、自分が気に入った作品が悉く打ち切りを食らう、と言った特殊能力があります。好きになった作品に申し訳ないなという気持ちが大きいくらいです(汗)せめてもの罪滅ぼしに作品紹介できればと考えます。今はkindleとかで読めたりもしますしね。

アノナツ-1959-

あらすじ

現代の高校生投手VS.1959年の野球!!!
歴史漫画の実力派作家が描く、未だ嘗てない野球漫画がここに開幕!!!
甲子園を懸けた試合の最中、落雷に遭った主人公・拝郷ナツ。
目覚めると…なんと、1959年にタイムスリップしていた!!!
何もかもが現代と異なる60年前の日本で甲子園優勝を目指す戦いが始まる…!!(1巻)
甲子園を懸けた試合の最中に、1959年へタイムスリップした拝郷ナツ。
出会ったのは高校生の頃の祖父だった。
野球用具、練習、ルール、生活…何もかもが現代と異なる60年前の日本で、甲子園優勝を目指す戦いが始まる!! (2巻)
ナツが1959年にタイムスリップした影響で、未来が変化してしまった!!
それを元に戻すため、ナツは60年前の強豪校へ試合を挑む。
何もかもが現代と異なる過去の日本で試合に勝ち、正しい未来を掴めるか…!? (3巻)
(Amazonより)

竜神は好きでした

この漫画はとにかくベースとしたアイデアがとても良かったと思います。『現代の高校生が戦後、1959年当時の高校野球をするとどうなるのか』。一言で書いちゃうとふーん、ではあるんですが、実際比べてみると面白いです。野球・部活に対する考え方も今と当時で違いますし、道具も練習の仕方も全く違います。現代の高校生である主人公の拝郷ナツからすると、非効率で不合理なことばかりに映ります。

1巻の最初にチームに合流するため、当時のチームの選手と勝負をするエピソードがあります(ナツは現代の一流投手)。制球、球威、変化球と近代野球の真価を見せつけまったく相手を寄せ付けません。ところが、現代から持っていったボールが無くなり、使用するのが当時のボールに替わると状況が一変。質の悪いボールに慣れていないため手が滑り上手く制球できません。ならば、とロジンバッグを貸すよう求めても当時には無い用具でした。結果として、そこからは滅多打ちを食らう事になってしまいます。この件からも、現代野球が用具の進歩とともに技術革新も起こっていったのがよくわかります。そして面白い。

野球の他にも当時の生活も描かれ、対比しているのも興味深いです。ナツは兄と同居する事になるため、炊事、洗濯、アルバイトなどを兄と体験します。ここでも現代とのカルチャーショックを受ける事となります。

色々思惑が絡んだ中、定期的な強豪との練習試合が部の存続を賭ける戦いにさせられてしまうなど、なかなかストーリーも盛り上がって行くのですが…。

実際のところ

まず、一個目の山となる強豪との練習試合。ナツが強力な打線を現代の投球技術で抑えたりですとか、当時の投高打低の条件下でも存在したスラッガーとの対戦とか、なかなか白熱する展開となっていきます。正捕手のトモさんが助けに来るシーンなどは、かなりのカタルシスで感動的だったりします。
その試合も、現代のランニング技術が勝負を決めて、唸らせる決着。さて、ここから、甲子園に向かって一気に展開だ‥と思っていたら…。
ほぼその試合で完結。完璧に打ち切りを食らってしまった格好です。一個目の山が最後の山となってしまいました…。

話としては、現代に戻ってからしっかりまとめるのでうまく出来た短編、って形にはなるんですが…。めちゃくちゃもったいない
現代と当時の野球の比較って、もっと深掘りもできるし面白くなったと思うんですけどねぇ…。せめて甲子園の予選だけでも見たかった。

作者の福井あしび先生は、現在は小学館ではなく集英社での作品展開を模索されているようです。極論、ベースとなるネタは同じでもいいので、良い作品を書いてくださるといいですね・・。
ここまでお読み頂きありがとうございました。






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