選択的シングルマザーとは

最近、選択的シングルマザー(Single Mother by Choice;SMC)を考えてるという方から個人的に連絡を頂くことが本当に増えてきました。私がSMCを考え出した2019年頃には仲間もおらず、情報もなくて手探り状態でした。幸い看護師だった私は、病院の仕組みなども熟知してるので、情報がない中でも、どこにアクセスすれば良いのか、自分はどう行動すれば良いのかという事を効率的に考えることが出来ました。それでも自分の不妊症、最終的に巡り会えた精子提供者も男性赴任という事態に見舞われ本格的な不妊治療を開始して妊娠するまで1年かかっています。一見、早いように感じますが、その間正職員は辞め、文字通り本気で不妊治療しかしてない状況での1年です。とても孤独で、将来への不安、お金がどんどんなくなる恐怖と常に闘ってました。

私はよくTwitterを行いますが、正しい知識、情報へのアクセス方法がわからないで、どれだけの人が無駄な時間とお金を使っているかを見てきました。アドバイスしたいけど、余計なお世話だろうなという思いから、こちらからは関われないというのが正直な感想です。そこで、このnoteでは、今まで相談を受けてきた内容も踏まえ、「選択的シングルマザーになりたい!」と思いたち、右も左もよくわからない方に向けて、どういう手順で提供者を見つけ、病院に行き、どんな検査を受けて、どうすれば妊娠継続できるのか、をシリーズで書きたいと思います。

SMCを推奨するわけではありませんが、いま3ヶ月の娘を育てて思う事は、SMC最高!って事です。

※本当にSMCを推奨するわけではありません。あくまでもSMCになりたい方のサポートです。最終的な意思決定はご自分で行って下さいね。

まず、記念すべき1回目は、選択的シングルマザーとは何か?です。
近年、著名人が未婚のまま出産したというニュースが目に入るようになり、何かと「選択的シングルマザー」という言葉を聞く機会が増えてきました。パートナーを持たずに子供をもつ女性、選択的シングルマザー、計画的シングルマザーという生き方について考えてみました。

「選択的シングルマザー」という言葉は、アメリカの心理療法士ジェーン・マテスが1981年に提唱したものです。ジェーン・マテスは自著「Single Mothers by Choice: A Guidebook for Single Women Who Are Considering or Have Chosen Motherhood(邦題:シングルマザーを選ぶとき)」を出版しています。

この著書の中で、ジェーン・マテスは、選択的シングルマザーについて、
“独身の女性で母親になることを選択した人、心身の成熟した大人の女性で責任感にあふれ、シングルマザーになることで被害者意識をもつのではなく、むしろ力づけられたと思っている人たち” と述べています。

ジェーン・マテスは、自らの意志でシングルマザーになることを希望し、1人で子どもを生み育てることを決めた女性を選択的シングルマザー(Single Mother by Choice;SMC)と定義しており、共同で育児にあたっている未婚のカップルや事実婚のカップルは含めていません。また、結婚しているときに母親になり、のちに離婚や死別でシングルマザーになった人も含めていません。

つまり、自分の意志で、結婚せず母になることを“主体的に”選んだ方を選択的シングルマザーと言うという事ですね。

◎諸外国の婚外子の状況
OECDがファミリーデータベースの中で”出生した時の母親の婚姻状況が既婚以外であるすべての出生割合”を算出した2018年のデータでは、

OECD諸国全体で平均して、出生の41%は母が結婚していない。11のOECD諸国(チリ、デンマーク、エストニア、フランス、アイスランド、メキシコ、オランダ、ノルウェー、ポルトガル、スロベニア、スウェーデン)の子供たちの50%以上が父母の関係が”結婚以外”で産まれている。
対照的に4のOECD諸国(イスラエル、日本、韓国、トルコ)では、10%未満となっており、特に日本、韓国、トルコでは、約2~3%と低い。

*OECD(Organisation for Economic Co-operation and Development:経済協力開発機構)とは、ヨーロッパ諸国を中心に日・米を含め35ヶ国の先進国が加盟する国際機関です。OECDは国際マクロ経済動向、貿易、開発援助といった分野に加え、最近では持続可能な開発、ガバナンスといった新たな分野についても加盟国間の分析・検討を行っています。

という事が示されており、日本では、結婚していない母から生まれる子供がいかに諸外国と比べ少ないかがわかります。

◎日本で選択的シングルマザーが選ばれない理由
上記の結果からも、日本では「出産は婚姻制度内でするもの」という意識がまだ根強いという背景もあり、それが選択的シングルマザーが増えない要因の一つなのかもしれません。しかし、1980年に0.8%だった婚外子の割合と比較すると、2018年は2.2%と上昇してはいます。
また、日本ではパートナーがいない状態で妊娠するための法整備が整っていないという点も、日本人女性が選択的シングルマザーを選びづらい要因かもしれません。選択的シングルマザーが多いアメリカでは、パートナーのいない独身女性の出産希望者は、精子バンクに登録し、第三者から精子提供を受け人工授精や体外受精にて出産することが認められています。精子バンクでは、ドナーの顔写真、身長、体重、学歴等の情報開示がきちんとなされており、性感染症の検査にパスしている等、安心安全なシステムが整っています。
 しかし、日本で第三者から精子提供を受けたい場合は、パートナーと法律婚をしており、パートナーが無精子症等の問題がある場合に第三者から精子提供を受けることが可能になります。

つまり、日本で独身女性が結婚せずに子供を持ちたいと希望する場合は、アメリカのように精子バンクから精子提供を受けることはできないので、パートナーとの間に子供をもうけ、籍を入れずにシングルマザーになるという選択肢がほとんどです。

◎選択的シングルマザーのデメリット
* 日本の社会ではあまり受け入れられていない
* 出産前、出産直後の生活を自身で維持する必要がある
* 子育てや教育にかかる経済面を自身で補う必要がある
* 父親がいない(子どもが大きくなった時にどう説明すべきか)
* 自身の両親が受け入れてくれるか、また協力を得られるかの問題がある
* 税法上、寡婦控除の対象にならない
* 未婚女性は病院での精子提供は受けられない(自身で相手を探し、受け入れてくれる人を探す必要がある)

◎選択的シングルマザーのメリット
* 出産したい時期を自分のタイミングで考えられる
* 精子提供受けたい相手を自分で選択できる
* 夫の世話や心配事がない
* 婚姻相手の家族関係を考える必要がない
* 子どものことに時間をかけられる
* 児童扶養手当(母子手当)が受けられる(申請が必須で、所得制限もあります)

◎選択的シングルマザーはこれから増えていく!?
 日本には、“家族”というものに対しての固定概念があるものの、女性の社会進出や金銭的自立も進み、「一人でも育てていくことはできる」という自信を持った女性も多くいます。
 多様性を認めていこうという社会の流れがある今、結婚や出産に関しての価値観も多様化しています。また、事実婚をする人、結婚せず子どもも生まない人生を求める人が認められていく中、この選択的シングルマザーという生き方も、今よりきっと認められるようになるでしょう。
 男性や社会に頼らず、一人の力で子供を育てる選択的シングルマザーへのニーズは、これから増えていくかもしれません。実際にSNSでもSMC希望者を見かける事が本当に増えました。妊娠、出産、子を持つ事を望む全ての人にお子さんが授かれますように!

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