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作り手たちの夢と跡。仕様決め①

オヒサシブリデス。あと2年ほど大学に残ることになった小間使いAです。Twitterに浮上しないので(不得手)随分とお久しぶりかもしれません。生きてます。
襲い来る将来への不安のせいか、最近は毎日どこかに遅刻する夢を見ています。


さて、時遡ること1月13日。

私と代表は、『終の一語』を刷っていただいた同人印刷所、プリントウォークさんを再び訪れていました。今回の本についてより詳しい相談を行うためです。主な仕様は粗方決めていたので、主に料金について伺うために訪れていました。

「社長は少し手が外せないので…」

と言う社員さん。
実際、私と代表も「今日はすぐ退散して竹尾に行くか……」とマックで昼餉を食べながら相談していました。


しかし暫くのち。

「今回はどんな本にするの??」

社長ッッッ!!!

またもや社長を召喚してしまいました。

今回の障壁となったのは、本の開きの問題。今回はカバーを自分たちでかける計画を立てていたため、しっかりと開く本が必要なのです。
今回の本の着想源でもある『月光とピエロ』を出す代表。見開きのところがほぼ180度に開いています。一般的な同人誌の作り方をすると、このように綺麗には開かないのです。

代表が持っていた実物を手に取り、唸る社長。
大切に丁寧に、時に申し訳無さそうに本に触られたあと、なるほどと頷きます。

「なるべく開きが良くするように、こっちで工夫してみようか」

「そんな、無理しなくても…」

私が言うと、いや、これは技術者としてやってみたいからと強く返されます。そんな技術を、自分たちが作っている本に費やしてくれることがとても嬉しく、素直にお願いすることにします。

「ちょうど暇な時期だから」

と言う社長。頭が上がりませんよ…………

さあさあ発注だ、と見積もりを詰めてもらっていると、ここで第二の問題が浮上します。

表紙の紙って………?


すっかり失念していました。勘の良い方は冒頭に書いた会話で気づかれたかもしれませんが、竹尾見本帖は土曜日にはやっていません(愚か)。

すると、またもや社長の神のお言葉が。

「良ければここで紙決めてっちゃったら?」

社長が横に指し示すのは、大量に積まれた紙見本。
「それ好きに見ていいよ」
「昔は直接印刷所に来て、仕様をその場で決めていくものだったんだよ」

古くなって使わなくなった紙見本は持っていっても構わないとのこと。「お昼食べてるから、キリが良くなったら呼んで」とお昼を食べ始める社長。
心のなかで拝みつつ、代表とともにより良いかたちを求め始めます。

今回の本のテーマの一つは、海!!!しかしながら頭の中には漠然と青い紙、というイメージしかありません。

すると、いつも見積もりや発注を行なってくださる社員さんが、海をテーマにした過去の同人誌(二次創作)を持ってきてくれました。

特殊紙を使って泡を表現したもの、本文を青で単色刷りしたもの…海と一口に言っても様々な海の解釈があります。皆アイデアとデザインがすごい。現在の素敵な文化の一端に心を踊らせていると、とある本が目に入ります。

これだ!!

となった技術が何なのかは、重要なネタバレ故にここでは明かせないのですが。都度都度社員さんに参考になる本や紙見本を出して頂きつつ、満足行くまで仕様を決めていきました。

決めていく中で、私の頭の中には昔の二次創作同人誌の作り手たちの姿がなんとなく浮かびました。紙見本をめくると、一部分に切り取られた跡があります。好きな紙があれば端をそっと持ち帰って、次の本作りのために使う。皆の創作活動にとって、ここは大切な場所だったのでしょう。

出てくる本はどれも素敵で、アイデアに溢れていて、そしてそれを出して下さる社員さんの表情も嬉しそうで。
とても幸せな帰り道でした。本作りっていいね。

小間使いA




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