(北海道十勝の農家6代目による週次の読書メモ)
弁証法で導く、不確実性溢れる現代での生き残る方法とは。
「反脆弱性」。タイトルのこの言葉が、本書最大のキーワードです。
本書は『ブラック・スワン』の著者ナシーム・ニコラス・タレブさんによる続編。
ブラック・スワンという「絶対ないは、絶対ない(ありえないなんて、ありえない)」という現実を直視した上で、この不確実性溢れる世界での向き合い方が書かれています。
筆者は言います、世の中には「脆弱」なものと「頑強」なものがあると。
そして、人々は「脆弱性」を避けるために、「頑強性」を高めるいきます。
しかし、皮肉にも、頑強な存在はブラック・スワンをはじめとする予期せぬ変化へ対応できず、翻弄・崩壊することになると。
その現実を踏まえて、「脆弱性」と「頑強性」という相反する事象から、弁証法で導き出された解が「反脆弱性」という考え方になります。
脆さを手なずけ、不確実性を自分のものにせよ。
筆者は、「イノベーションを起こすには?まず、自分からトラブルに足を突っ込むことだ」と述べます。何かを変えていく、何かが変わっていくというのは、引かれたレールの中で行なっていくことではなく、不確実性すら呑み込みながら前進していくと。
脆さを手なずけるポイントは、以下のように筆者は述べます。
目から鱗が…!
筆者の軌跡を見ても、このポイントに辿り着くには、膨大な学習と実践の先に、メタ的に世界と自分を捉えていく必要性を感じます。
繰り返しになりますが、「脆弱性」が、「頑強性」(否定)を通じて、新たな・より高次な概念「反脆弱性」へと再生成いたるのは、まさに弁証法的な思考プロセスを経ているように思えます。
これは、『自由の命運』で述べられていた思考プロセスとも、かなり近しいものです。
『自由の命運』では、「専横のリヴァイアサン」と「不在のリヴァイアサン」というテーゼとアンチテーゼから導かれた「足枷のリヴァイアサン」というジンテーゼこそ、国家・組織が持続的に成長し続ける道だとありました。
本書しかり、『自由の命運』しかり、共通しているのは、時代は、世界は必ず変化するという普遍の真理(大前提)。その世界で人工物が生き残るということがそもそも難しいからこそ、(自然界の生物が行なっているように)不確実性やストレスすら活かすことが、生き残る道になると。
『ブラック・スワン』・『反脆弱性』ともに、メルカリ創業者であり、経営界屈指の読書家である山田進太郎がオススメされていたことから手に取った本でした。
山田進太朗さんと言えば、「行動デザイン」という特殊能力を持たれていると紹介されていた記事が印象深く、ずっと頭の中にありました(このブログを初めて目にした時、どうしたらそんな能力を得られるのだろうかと…)。
しかし、山田進太朗さんの何冊か推薦図書を読む中で、(膨大な読書経験をから得られた)歴史や世界の全体観や法則に対して、実体験を照らし合わせながら、システムと人間行動の間にある因果関係をご自身の中で磨き上げているのだろうなあ、と感じます。
「反脆弱性」という概念しかり、弁証法的な思考プロセスしかり、このVUCA時代に生き残るヒントに溢れる一冊でした。
P.S.
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