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週末読書メモ82. 『一倉定の環境整備 1万社を復活させた経営の神髄』

(北海道十勝の農家6代目による週次の読書メモ)

日本における昭和の伝説的な経営コンサルタント、一倉定さん。彼の核心がこの一冊の中に。


一倉定。かつて”日本のドラッカー”とも呼ばれ、多くの経営者が師事した人物。その支援した数は1万社以上にも。中小企業のみならず、ユニ・チャーム創業者の高原慶一朗さんや、ドトールコーヒー創業者の鳥羽博道さんなど、錚々たる経営者が門下生に連ねます。

その一倉定さんの経営哲学の重要な柱が「環境整備」。本書はその「環境整備」を、(日本初)詳しく解説した一冊となります。


環境整備とは、規律・清潔・整頓・安全・営々の五つを行うことである。
(中略)環境整備こそ、すべての人びとの活動の原点である。
むろん企業にとってもそうであることはいうまでもない。環境整備のないところ、会社の発展はない。環境整備のないところ、社会秩序も住みよい世の中も、いや、国家の繁栄さえ絶対にあり得ない、というのが私の信念ともいうべきものである。

「環境整備こそ、すべての活動の原点」。

「環境整備のないところ、会社の発展はない」。

環境整備とは、トヨタがいう5Sとほぼ近い概念になります。しかしながら、一倉定さんは、環境整備の価値は、生産性の向上に留まりません。環境整備をしていくことで、その後の発展に基盤が生まれると強調します。

環境整備がされている空間は「集中」の力が発揮されています。
なぜ集中か。それは、いらないものが捨てられ、必要なものの置き方と置き場所が決められてた空間は、達成すべき目的に対して迷わなくなるからです。やるべきことが明確になり、目標に対して集中して取り組むことができるのです。

実は信用な正直さから作られています。
つまり、嘘をつかない習慣から作られていくのです。
(中略)毎日コツコツと積み重ねられた正直さの行動の結果、空間には「信用」の力が発揮されるのです。

集中、そして、信用。どちらも企業発展には不可欠です。その2つが育つ土壌が、環境整備を倦まず弛まず続ける場から生まれると強調します。

思わず唸る内容…逆を返せば、環境整備がなされていない場では、人の集中力・気力は削がれ、信用さを損なう原因が生まれることを暗示しています。

ファーストリテイリングの柳井正さんの著書でオススメしていた一冊、『一倉定の経営哲学』の中に下の言葉がありました。

「環境整備こそ、すべての活動の原点である」

「環境整備には、いかなる社員教育も、どんな道徳教育も足下に及ばない」

振り返れば家業に戻り2年目の年、膨大な問題に呑まれ溺れていました。限られた資源の中、リソースの投下場所を悩んでいた時、5S・環境整備に賭けようと自分の道筋を決めたのはこの2節があったからでした。

正直言うと、当時はその価値の深さは分からず。それでもその言葉に賭け、地味で地道で、泥の中を掻き分けるようなカイゼンの日々。決して即効性も、周りの理解もなく。けれど、その後数百回を越えるカイゼンをした先、今に至る結果を鑑みても、その年の意思決定で最良ものでした。


さらに一倉定さんは、環境整備を続けることで、「読心力」「プレゼン力」「直感力」「先見性(未来予測能力)」「発想力」「心をコントロールする力」をさらに高めることができるとも言います(若干論理が飛躍しているようにも思える内容ですが、詳しくは本書の中に)。

上記の通り、その後の発展基盤になりうる行動「環境整備」。一倉定さんだけでなく、世界における経営の神様P・F・ドラッカーさんも下のように言ったそうです。

『労働者の勤労意欲を昂揚するもっとも重要な手段の一つは、ちり一つ見当たらないまで作業場を清潔に保つことだと言われている。これらの活動は、経営者がつねに労働者の仕事を真剣に考慮していることの一つの証拠となるばかりでない。経営者がみずからに課している〈基準〉、さらに経営者の善意や能力といったものを労働者に示すものとなるのである』

リーダーの基準、善意、能力すら示すと。

環境整備をしたからといって、必ずしも偉大な企業になるとは言えません。しかしながら、偉大な企業は、すべからず環境整備が徹底していることも、また事実です。

「環境整備こそ、すべての活動の原点」。この言葉を、これからも自分の胸、組織の核に刻んでいきたい。


【本の抜粋】
環境整備とは、規律・清潔・整頓・安全・衛生の五つを行うことである。
(中略)環境整備こそ、すべての人びとの活動の原点である。
むろん企業にとってもそうであることはいうまでもない。環境整備のないところ、会社の発展はない。環境整備のないところ、社会秩序も住みよい世の中も、いや、国家の繁栄さえ絶対にあり得ない、というのが私の信念ともいうべきものである。

環境を整えることで心が変わります。心の乱れや汚れも取れていくからです。
(中略)花の種は、肥沃な土壌と水と太陽の光によってすくすくと成長し、見事な花を咲かせます。
人もまさにそれと同じです。まずは自分のいる空間を清潔にし、整えることを基本とすることで、人は正しい心となって成長できるのです。

ドラッカー氏の言を次に引用しよう。
ー『現代の経営』続編よりー
『労働者の勤労意欲を昂揚するもっとも重要な手段の一つは、ちり一つ見当たらないまで作業場を清潔に保つことだと言われている。これらの活動は、経営者がつねに労働者の仕事を真剣に考慮していることの一つの証拠となるばかりでない、。経営者がみずからに課している〈基準〉、さらに経営者の善意や能力といったものを労働者に示すものとなるのである』

これほど、清潔・整とんは重要なものだということであるが、ここでひとつ、読者に考えていただきことがある。それは、清潔・整とんは勤務時間内にやらせるべきか、作業時間終了後にやらせるべきかということで、どちらが経営にとってプラスになるかということである。筆者の見解は、重要な事がらであるならば貴重な勤務時間を充当するべきであって、勤務時間外にやらせるということはとりもなおさず、”重要ではない”という意思表示である、ということだ。

環境整備がされている空間は「集中」の力が発揮されています。
なぜ集中か。それは、いらないものが捨てられ、必要なものの置き方と置き場所が決められてた空間は、達成すべき目的に対して迷わなくなるからです。やるべきことが明確になり、目標に対して集中して取り組むことができるのです。

実は信用な正直さから作られています。
つまり、嘘をつかない習慣から作られていくのです。
(中略)毎日コツコツと積み重ねられた正直さの行動の結果、空間には「信用」の力が発揮されるのです。

あのね。環境整備がよくできているか、できていないか、たった1箇所を見ればわかると言っていた。
それはね、掃除道具が置いてあるところ。

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