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週末読書メモ47. 『ハムレット』

(北海道十勝の農家6代目による週次の読書メモ)

人間存在への理解が変わるような1冊でした。


歴史上随一の劇作家、シェイクスピア。

卓越した人間への洞察から導きされる心理描写と、張り巡らせれた物語の伏線は、筆舌し難いものがあります。

シェイクスピアは、有名な『ロミオとジュリエット』をはじめ、喜劇・悲劇ともに、膨大な著作が残しました(なんと40作品近くも!)。


その中でも手に取ってみたのは、4大悲劇と呼ばれる『ハムレット』、『オセロー』、『マクベス』、『リア王』。

凄過ぎて言葉が笑。もっと早く、それこそ学生時に読めていたら良かった…

(本作『ハムレット』の分かりやすい解説は下の動画から↓)


読後感としては、シェイクスピアの人間理解の並外れ度合いに感嘆します。

嫉妬に囚われた者、憤怒に囚われた者、欲望に囚われた者、様々な人間たちの行動が悲劇に繋がっていきます。

(素人がコメントすることすら憚られますが)1人の読者として感じたのは、何かを強い想い・理想を持つことは、見方を歪めたり、行き過ぎると負の方向へ突き進んでいく側面があることです。

こうありたい・なりたいという想いが報われない時、それは嫉妬や憤怒へ。理想が足るを越えた時、抑えきれない欲望へ。シェイクスピアの4大悲劇は、国王や将軍を取り巻く物語だったのですが、その人間模様は、家族・組織でも他人事とは決して思えない内容ばかりでした。

心が想いや考えに囚われてしまった時、人は、どのような感情・思考・行動を生み出すのか。それをまざまざと見せつけられます。


また、心理描写だけでなく、1つの小説としても、その物語性は傑出していました(例えるなら、シェイクスピア1冊で、有名な1つ漫画の全巻を読んだ時と同じくらいの衝撃すらあるというか…)。

美しさも儚さも、尊さも愚かさも兼ね備えた人間らしさが滲み出る個性的なキャラクター達。

予想も仕切れない激しい展開の浮き沈みの先、爽快感すら感じるクライマックスに仕上げるそのストーリー。

1冊だけでも彼を有名にするには十分過ぎるにも関わらず、そんな著作を30~40冊も書き上げた生涯。

流石に異能すぎて、常人では真似しきれないけれど、その観察眼・洞察眼は、少しでもその勘所を知りたいなあ…


いつか読みたいという気持ちを持っていた海外の古典文学(数年越しに、やっと読み始めることが…!)。

心理学や行動経済学、社会学に触れたことで、人間や組織について見える世界が変わったこの1年。

海外古典文学を読み進めていった先、見える世界の深さや解像度はどのように変わっているのだろう。

2022年度、仕事とは別の最後の大きいテーマとして向き合っていきたいです。


【本の抜粋】
ぼくの心を本当に表してくれるものは。なるほど、そういうものなら、眼に見える、誰にでもできるお芝居なのだから。
でも、ぼくの胸の底には、そんな悲しみの単なる飾り、衣裳にすぎぬ、見かけを超えたものがあるのです。

ホレイショー、この天地のあいだには、人間の学問などの夢にも思いおよばぬことが、いくらでもあるのだ。
(中略)世の中の関節は外れてしまった。ああ、なんと呪われた因果か、それを直すために生まれついたとは!

生きるか、死ぬか、それが問題だ。
どちらが立派な生き方か、気まぐれな運命が放つ矢弾にじっと耐え忍ぶのと、怒濤のように打ち寄せる苦難に刃向かい、勇敢に戦って相共に果てるの。死ぬとはー眠ること、それだけだ。そう、眠れば終る、心の痛みも、この肉体が受けねばならぬ定めの数々の苦しみも。
死んで眠る、ただそれだけのことなら、これほど幸せな終りもありはしない!

さもなければ、一体、誰が世の侮りの鞭に、権力者の不正に、驕れる者の蔑みに、叶わぬ恋の苦しみに、法の裁きの埒のない遅延に、役人どもの横柄さに、立派な人間が取るに足りぬ連中から受ける忍びがたき侮辱に、耐える者がいようか?

君はあらる苦難に耐えながら、一つも苦にしていない、運命の女神に虐げられようが、可愛がれようが、いつも平然と感謝の気持で受け入れてきた、そういう男だからだ。
熱情と冷静な判断力がほどよく調合されていて、運命の女神の気まぐれな指先が好みの音色を出す笛にはならない、そんな人間は幸せだ。激情の奴隷にならぬ男が欲しい、この心の奥底に、心の心に大切にしまっておきたいのだ、君こそ、その人だ。

ああ、ホレイショー、真相がこのまま知られずに終わったら、死後にどんな汚名が残るか知れない!ぼくのことを少しでも大切に思ってくれるなら、いましばらくこの世から解き放たれる幸せを諦め、現世の苦しみに耐え生きながらえて、ぼくの物語を伝えてほしい・・・

私はまだ何も知らぬ世間に、事の顛末を語って聞かせましょう。
情欲に溺れ、血にまみれ、自然の道に背いた所業の数々、事故と見まがう死、思いもよらぬ不測の殺戮、陰謀によって狙われた死、やぬなき事態がもくろんだ死の数々を。
そして、この惨劇の大詰、企みの狙いがはずれて、企んだ当人自身の上に見舞って来た災厄の終始を。
何もかも、ありのままにお話いたします。

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