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逃げるが勝ちが金ヶ崎


信長の撤退戦で最も有名な金ヶ崎退き口

織田軍が越前(福井県)に拠点を持つ朝倉家を攻撃した時、同盟関係であった近江(滋賀県)の浅井家の裏切りに合い挟み打ちの状況にあいました。

兵力では織田徳川連合軍がまさっていましたが、挟撃されてしまっては分が悪すぎます。
というか全滅の可能性すらありました。

最初は裏切りの報告を信じなかった信長。
しかし、つぎつぎと浅井裏切りの報告が告げられるにつれて遂には信長も行動に移す決断をします。

信長がとった行動は
「脇目も振らずに一目散に逃げ帰る」
ことです。

「脇目も振らずに一目散に逃げ帰る」
これは誰もができそうで簡単にはできないことです。しかし、リーダーシップを発揮する立場の方に非常に求められる能力です。

基本的には圧倒的に優位に立てる立場で戦う。
競争して勝つのではなく、競争しないで勝てるように善処する。これが基本です。
しかし、どうしても競争は避けることができないものです。
勿論、競争しなければならない状況になってしまったら、できる範囲内で最善を尽くす。
絶対に勝てるようにしてから挑む。

しかし、万が一これは負けると判断した場合の最善の方法は「一目散に逃げる」ことなのです。

逃げることは簡単ではありません。
 第1にその戦いに投資した金額と時間はまず戻ってこないでしょう。
やはりどうしても人間は欲がでてしまいます。
もう少し粘れば勝てるのではないか。被害を抑えられるのではないか。
こういった欲にとらわれて負のループに陥ってしまうというケースがあります。
 2つ目の理由としては、なんとか逃げられたとしても批判の嵐が待ち受けています。
どうして逃げるという判断をしたのだ。そもそもどうして戦いを挑んだのか。戦い以前に対策しなかったのか。いくらお金を使ったのか。どれだけ時間を無駄にしたのか。卑怯者!恥をしれ!責任をとれ!
などいちいち答えていてはキリがないほど責任追及されます。

これらに対抗する方法は1つしかありません。

恥を忍んで耐える。

それだけ?そんなこと?と思ったかもしれません。方法ですらないです。耐えるのみしかありません。
なぜ欲をかいて深入りしてしまうのか。
恥をかきたくないからです。
責任追及をされたくないからです。
リーダーがたったそれだけの理由で、感情的な理由で組織を危険な目にあわせてしまう。
これは正常な判断といえるでしょうか?
恥を忍んで耐える。責任追及を受ける覚悟がある。それに負けずにチャレンジしていくことができる。これがリーダーにとって必須ともいえる能力でしょう。

ソフトバンクの孫正義さんはこういってます。
3割。それ以上組織を痛めてしまったら取り返しがつかなくなる。3割、それ以上いかれると思ったらスパーンとキル。そういった決断がリーダーには必要です。生きてさえいればなんぼでも盛り返せる。
宇宙事業に携わる植松努さんはこういっています。まじめで優しくて責任感が強い人ほど踏み止まってしまう、そして先に死んでいってしまう。まずいと思ったら逃げてほしいんです。死なないで欲しいんです。生き延びて欲しいんです。

さて信長に話を戻しますと、木下藤吉郎(豊臣秀吉)、明智光秀、徳川家康たちに殿(敵の攻撃を防ぎながら本隊を逃す役割)を任せると、一目散に京都に逃げ帰ります。信長が京都に帰った時には周りに10人ほどしかいなかったといいます。
しかし、信長は次の日には回収中の御所を視察するなど平然と振舞っていたそうです。

殿を務めた木下藤吉郎、明智光秀、徳川家康は後に天下を争う運命となっていきます。

まずいと思ったら一目散に逃げ帰りましょう。
生きてさえいればいくらでもやり直せます。
ちっとも恥ずかしくなんかないです、

誰もが知っている織田信長でさえそうだったのですから。

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