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「経済中心のドバイ」と「政治中心のアブダビ」の関係性について

こんにちは。
株式会社ニュークラウドの代表「木村」です。

「ドバイ」の話をする時に切っても切れないのが隣国の「アブダビ」です。本日は、ドバイとアブダビの基本情報を元に両国の特徴と関係性についてまとめさせていただきました。

ドバイとアブダビの基本情報と比較

現代でUAEと言えば観光やビジネスの中心地である「ドバイ」のイメージが大きいです。しかし、国土面積がドバイより圧倒的に大きい隣国の「アブダビ」の方が実はGDPが高く、政治の要もアブダビにあるためUAEの首長国の役割を果たしています。

UAE(United Arab Emirates, アラブ首長国連邦)とは、「アブダビ、ドバイ、シャルジャ、ラス・アル・ハイム、フジャイラ、アジュマン、ウンム・アル・カイワイン」の7つの首長国により構成される連邦国家のことです。

国土・地理の比較

UAEの国土面積(83,600㎢)の内、約80%を「アブダビ」が占めています。一方「ドバイ」は、約5%(埼玉県より少し大きい)程度です。両国の移動は、主に高速道路を使っての移動になり、主要都市間では、車で約2時間ほどかかります。最近では、近日Twitterを買収したイーロン・マスク氏が構想した次世代交通システム「Hyperloop」の導入プロジェクトが進められており、最終的にはドバイとアブダビ間を約12分程度で移動ができるようになると予想されています。

人口の比較

ドバイの人口は約269万人、アブダビの人口は約290万人とアブダビの方が少しだけ人口が多いです。(ちなみに埼玉県の人口は約733万人。)また両国とも出稼ぎ労働者が多いため、占めてる比率の外国人率は非常に高いです。外国人の数で見た場合、圧倒的にドバイ内での比率が多くを占めています。

男女比では、両国とも宗教的な背景や出稼ぎ労働者(タクシー運転手、建設現場作業員など)の影響があり男性の比率が圧倒的に多いです。ただし2010年〜2016年の女性人口増加率は、ドバイでは11.6%、アブダビでは8.8%、(両国とも男性人口増加率は4.1%程度)と女性人口が急増化しています。

政治の比較

UAEの政治については、首都である「アブダビ」が中心です。アブダビの首相(ナヒヤーン家)がUAEの大統領を務めており、ドバイの首相(マクトゥーム家)がUAEの副大統領を務めています。UAEの議会では総数40議席に対して、ドバイとアブダビ両国とも8議席を保有(UAEは7国で構成されており、他国は平均4.8議席)しており、UAE内での力が歴然であります。両国とも自国内に裁判所を設けているが、UAEとしての連邦最高裁判所は「アブダビ」に設置されています。

治安についても実は、中東内では両国はとても治安の良い国とされています。実は、2017年の一部調査ではアブダビが世界で最も安全な都市にランクインされており、ドバイも12位と両国とも高い位置についているとのことです。

文化の比較

文化面である宗教では、両国ともイスラム教が国教でありますが、意外と厳格ではなく許可を受けた場所では外国人向けに酒類の提供も許されています。ドバイは比較的緩く開放感があるのですが、アブダビはドバイに比べるとやや厳格であるイメージです。

言語についても両国とも「アラビア語」が公用語でありますが、ビジネスでは、英語がほとんど使われています。

経済の比較

アブダビのGDPは、ドバイの2倍近く大きいです。理由としては、石油がほとんどないドバイに比べて、石油や天然ガスなどの天然資源を豊富に保有・生産しているアブダビが優位に立っているからです。

しかし、UAEの経済中心はドバイと言われています。その理由は、中東の金融センター的地位を持っており、多くの外資系金融機関がドバイに拠点を置いているからです。(中国でいうと、香港的な立ち位置に近いです。)そのため、多くのお金がドバイに集まり、また産業セクターでも流通(運輸、倉庫)、販売分野(卸、小売、貿易、修理業)、飲食、宿泊業はアブダビを上回っており、商業活動の面から見るとドバイの方が活発的に動いているからです。

都市の比較

ドバイは、経済的発展が堅調に表れており、世界一高いビル「ブルジュ・ハリファ」、世界一大きいショッピングモール「ドバイモール」、3つの人工島「パーム・アイランド」など様々な大規模建築が進められており、勢いを感じる光景が広がっています。

アブダビも近代的かつ大規模な建築やモスクなどが立ち並んでおり、またアル・アインという地域では、砂漠やオアシスなどが広がっており、都市部にも関わらず比較的自然と緑豊かな一面が広がっています。

アブダビに頭が上がらないドバイ

ドバイとアブダビの基本情報と比較を見ると、どちらかというとアブダビが力をもっておりますが、今後ドバイが抜くのではないかと予想されます。しかし、実は、ドバイはアブダビに頭が上がらない理由があります。

元々ドバイは、アブダビから追いやられた人たちが作った国であり、ドバイはアブダビと距離を置いていました。またドバイは、常にアブダビに対して敵対心を剥き出しにしており、エミレーツ航空の設立やドバイ空港開港もすべてアブダビに対抗するために行ってきた事です。

しかし、その関係性が崩れたのが「ドバイショック」です。2000年代前半までとてつもないスピードで急成長してきたドバイは、2008年のリーマンショックで大きな債務不履行とデフォルトに陥り、不動産バブルの崩壊も招き、一気にお金が流出してしまい、残ったのは多額の借金のみでした。その借金を肩代わりしてくれたのが「アブダビ」だったのです。

そのため、ドバイもアブダビへの感謝を表すように世界一高いビル「ブルジュ・ハリファ」も実は最初「ブルジュ・ドバイ(ドバイタワーという意味)」だったのですが、2010年1月の完成時に「ブルジュ・ハリファ(ブルジュはタワー・ハリファはアブダビの王様の名前)」に変更したのです。

最後に

ドバイとアブダビは、切っても切れない縁にあります。また今のドバイがあるのは、まさにアブダビの助けがあったからに他なりません。UAE内の政治はアブダビ、経済はドバイと今ではとても良好な関係性を築き、お互いがお互いをサポートしあえる状態になったことで、今後さらに中東としての位置付けが上がってくると予想されます。

この記事がお役に立てると幸いです。

株式会社ニュークラウド 代表「木村」

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