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【comicreview#8】「あかね噺」原作:末永裕樹 / 作画:馬上鷹将

週刊少年ジャンプでめちゃくちゃ面白い連載が始まっている。ジャンプでは異例ともいえる「落語」を主題とした作品「あかね噺」。過去にも碁とか相撲とか、伝統文化を扱ってヒットした作品もあると言えばあるのだけれど、「落語」ってどちらかというと少年漫画誌にはそぐわないテーマのように思える。青年誌のモーニングやスピリッツなら違和感なさそうですが。しかも主人公は女子高生。大変に意欲的なのだが、この作品が実に面白い。

あらすじはこんな感じ。第1話~第3話までの試し読みもあります。

その身一つと噺だけで全てを表す、話芸の極致――「落語」。この究極にシンプルなエンタメに魅せられた噺家・阿良川志ん太と、その娘・朱音。
真打昇進試験に挑む志ん太、その一席を目の当たりにした朱音が歩む、噺家の道は―― 噺家たちが鎬を削る本格落語ものがたり、開幕!!  (参照:週刊少年ジャンプ)


物語は主人公・朱音の小学生時代から始まる。噺家である父・阿良川志ん太が挑む真打昇進試験。そこである事件が起こり、そして時は流れ・・・・という展開。察しがいい人は、この流れだけでだいたい何が起こったか理解したと思います。僕はさすがに「はあ???」と思いましたが。

高校生になった朱音は髪の毛の先っちょだけピンクに染めちゃったりして小生意気で不敵な感じで、とっても今風なキャラ造形なのだが、そんな娘が落語の世界で生き抜こうともがくギャップ。女の子が主人公のジャンプ漫画は多くはないが、朱音は快活で気も強く、竹を割ったように一本気。落語に一生懸命で、全力で取り組む。苦労もある。でも、それを乗り越えていく胆力がある。とてもジャンプ的な主人公だと思うし、受け入れられやすいのではなかろうか。朱音というキャラクターは、最初っから「現状の立ち位置のわりにはかなりの実力を持ち、周囲を驚かせている」描写が多く、いまのところ大きな挫折を味わっているようには見えないので、そろそろでっかい壁が現れるんじゃないかなと予想。

噺家の表情がくるっくると変わる、落語の描写もいいよね。トーンを多用しない、すっきりはっきりとした筆致も好きです。


今週 (4/25発売号)に至っては掲載順もジャンプの看板 (ワンピース、呪術、ヒロアカ)に次ぐくらいの位置だし (※ご存知の通りジャンプの掲載順はアンケートで決まる) 、センターカラーも決まっているということで人気は高まってきている模様。ただし、現状のジャンプ連載陣は他があまり面白くないのでなんとも言えん。

このままの調子でいけば、安定して人気を保ち「火ノ丸相撲」みたいな感じの「看板とまではいかないが4、5年連載してコミックも20巻以上出る準看板作」になっていくかも。

期待したいと思います。


「あかね噺」のコミック第1巻は6月3日に発売。

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