【法律分野とIT分野の情報の違いを改めて考えてみる~後編】

平成最後の日はあいにく曇り空、雨のようですね。令和最初の明日も雨のようですが30年前の平成最初の日も同様雨だったようです。

前回に引き続き、法律分野とIT分野における情報の違いについて考えてみたいと思います。自分の専攻ではないのはITですが仕事で取り組んでいたせいか、今でも本屋に行くと理工学書のコーナーに行ってITやテクノロジー関連の本をパラパラとめくったり、実際に買ってみたりします。全く知らない世界にちょっと心が小躍りしますが、残念ながら難しくて殆ど理解できないのが現状ではあります。

法律もITもどちらも社会を支えるインフラという共通性はあると思いますが、前回挙げたような相違点があったり、あるいは親和性がない面もあります。それは使う側の人にも起因するかも知れません。後半はそのあたり考えてみようと思います。

3.情報を整理する際に手抜き(≒効率化)を否定するか肯定するか?


特に法学部出身の方は、とかく真面目な方が多く物事を論理立ててかっちり考えるのが好きな人が多いように思います。そのための考える道具として法律の条文や判例、論点を理解し覚えます。そもそもそういうことに楽しさを覚える人が多いですね。

一方、少し言い方悪い表現ですが良い意味で手抜き(≒効率化)をするのを嫌うので、結構アナログな方が多いと思います。もちろんITや他の分野のスキルを持っている人も多いと思いますが、基本的には法律のみのスキルを持つ人が多いと思います(司法試験等の法律の資格試験の勉強経験含む)。根性で法律を覚えたり、分厚い法律書(基本書)を読み込んだり。膨大な時間がかかり効率が良いとは言えないことはよくあります。真面目で真摯に勉強に向き合っているが故の結果とも言えますが。

他方、IT分野はいかに手抜き(≒効率化)することを主眼にしますので、結構真逆の価値観にあろうかと思います。日々の仕事や生活に密接しているという意味では法律以上なので、運用面を含めていかに負荷を減らすか考えます。もちろん膨大な作業がありますし、肉体的な疲労はつきものですが、少し法律とは違う疲労感ですね。

ちなみに法学部はイメージとして法律という社会に密接に関連する学問を勉強するところですが、意外と講義や試験に関係ないことには関心がない人も多かったりします。
(一度も六法や法律の教科書を買わずに定期試験の直前のみ勉強して卒業したなんて人も実は多いのが法学部の特徴で、全員が必ずしも法律に関心が高いわけではない(早い段階で失望))


4.【結論】違いは安定の指向か自由の指向か


法律分野はどうしても権威主義な面があります。何か根拠となる拠り所にあるものをベースに、その規準から外れれば違和感を感じ、正しく修正しようとするのが法律分野の方の頭の使い方だと思います。法律に関わる人も自分を律する意識が高いため、安定させる方向に向かいます。

ITの方もプログラミング一つとってもいわゆるプロトコルが色々あり、そのルールは守らなくてはいけないですが、そのルールさえ守ればあとは自由で楽しんでいる人が多い印象でした。以前Python(人工知能等で利用される言語)のいわゆるライトニングトークの集まりにふと興味本位で参加したら、登壇される皆さんそれぞれ自分のPythonの使い方を楽しそうに紹介しており、かなり衝撃を受けました。

これはそもそもそれぞれの分野の性質が違うのでなかなか比較が難しいですが、法律をもっとビジネスのツールとして利用できたら、もっと楽しいだろうなとは思っております。

法律とITだとリーガルテック等、法律へのITのアプリケーションが新しいビジネスとしてとして挙げられますが、もっと根本的に両者の違いに触れた本やブログがなかったので考えてみました。まだまだ語るにはおこがましいですが、今後とも両者とは向き合っていきたいので平成の最後の日に考えた次第です。

令和ではもっと両方マスターできますように(願望)。

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