【ショートショート】酒
酒を入れて思考を制限しないと、どうにもいかないことがあります。何だか黒い靄が頭のなかを埋めつくし、世間だの将来だの外聞だのプライドだのといった雑念が、傷ついた形でそこにあるのです。こうなってしまうとおしまいで、もう何をしていいんだか、何がしたいんだかちっとも分からなくなります。
私は一人咲いているものですから、どうにも人を頼れない。頼ろうものなら己の中の恥がニュッと顔を出して、私を思いっきりぶちます。お前に誇りはないのか、この恥さらしめ。お前ごときが助けてもらえるはずがない