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「組織や人生の転換点となる体験を」〜琉球ウェルネス体験設計責任者が語る、感動体験を生み出す舞台裏(前編)〜

 こんにちは、琉球ウェルネス広報担当のサオリス・ユーフラテスです。
沖縄でウェルネスな体験を人や組織にお届けしている琉球ウェルネスですが、今回はその『ウェルネスな体験』を生み出す要となる体験設計全般を統括している川人ゆかりさんに、琉球ウェルネスのプログラムの特徴やウェルネスな体験を生み出す舞台裏について、前編・後編に分けて語ってもらいます。

前編では、ウェルネスな体験を生み出す「体験設計責任者の役割」や、お客様にウェルネスな体験を提供するために作られた「体験設計ガイドライン」についてお話しを伺いました。


ウェルネスな体験を生み出す“体験設計責任者”

――琉球ウェルネスの体験設計責任者の役割を教えてください。

 琉球ウェルネスでは、法人と個人のお客様それぞれにサービスを提供しています。

法人サービスでは、経営合宿やマネジメント合宿などを中心としたウェルネスオフサイトのプログラム全般を、個人サービスでは、完全紹介制のプライベートツアーに関する体験全般の企画を行なっています。
それぞれ、全体のコンセプトからプログラムの具体、宿泊先や飲食店、お土産に至るまで、空港に到着されてから再び空港にお送りするまでの全ての体験を設計しています。

ーーウェルネスな体験をどのように設計しているのですか。

 法人であれ個人であれ、「お客様にとってのウェルネスな状態とは何か?」というゴール状態の定義と、「お客様がこのサービスに期待する価値とは何なのか?」を理解するところからはじめます。
そこから、お越しになる季節や好みなどに合わせ、宿泊施設やコンテンツ、余白時間の設定など細部までご提案を行っています。

法人個人それぞれ企画の流れが少し異なるので簡単にご説明しますね。

<法人のお客様のケース>
オフサイトの実施背景を確認した上で、まず組織の現状とオフサイトゴールの把握〜設定を行います。次に、オフサイトの進行上ボトルネックになりそうな事象や構造を予測しつつ、スムーズにオフサイトゴールに到達できるようオリジナルプログラムを企画。さらに参加者の皆様の特性やコンディションも考慮しつつ、細部までこだわってシミュレーションを重ね準備を行います。
法人サービスの場合は特に、満足度だけでなく投資対効果も大切な観点となるので、「楽しかった、仲良くなった」で終わらないよう「明日から確実に変われることや事業にインパクトを生むこと」を意識してプログラムデザインを行い、サーベイを通して効果を可視化するようにしています。

<個人のお客様のケース>
法人と異なり、お問い合わせをいただいた時点で旅の明確な目的や理想状態を言語化されている方はほとんどいらっしゃいません。
そのため、個人のお客様に向けては現在の心身のコンディションや悩みごと、ご自身の在りたい状態などをまずはコーチングのようなスタイルで引き出し、「旅行後、こんな状態になっていられたら最高じゃないですか?」と理想状態をご提案するのが第一段階となります。
そこから全体のコンセプト・ストーリーをつくり、ご予算に合わせて宿泊施設やコンテンツを選び、旅程に落とし込んでいきます。

――体験設計を行う上で大切にしていることを教えてください。

  この体験は「組織または個人の転換点」になり得るか?それを常に問いかけながら設計を行なっています。

転換点になり得るかどうかは、一言でいうと心の底から感動出来るか?に尽きるのではないかと思っています。
もう少し具体的に説明しますと、お客様自身の想像や期待を超える大きな変化や深い気づきの有無が分岐になるのではということです。

それらの変化や気付きは「第三者の強制的介入によって機械的にもたらされたもの」ではあまり意味がなく、「体験や環境に没入する中で自然と自ら見出せたもの」であるべきではないかと思っているんです。

なので、企画設計の際にはなるべく没入できるよう様々な配慮をすることはもちろん、思考や体験の偶発性を呼び込める余白、参加者同士の化学反応が起きやすくなる場などを散りばめるようにしています。

上記の通り、我々はお客様に転換点となるような最高の体験をしていただくことを目指しているのですが、旅行事業者として安全で心地よい体験を提供することがそもそも大前提です。
そのための指針として「体験設計ガイドライン」をとりまとめ、運用をしています。

ウェルネスの基盤となる"体験設計ガイドライン”

――「体験設計ガイドライン」について教えてください。

 琉球ウェルネスは旅行事業者として、お客様に安全で心地よい体験を提供する義務があります。
メンバーが増えてきたこともあり、関わる全てのスタッフが同じ判断基準で危険を回避し、快適な体験を提供できるようまとめたものが「体験設計ガイドライン」です。

旅の企画設計および運営は、天候・自然・人などとにかく変数が多く、「ユニークさと安全性」「刺激と快適性」など常に複数の価値が綱引き状態となります。さらに現場では、目の前のお客様からの要望も加わるため、判断基準が揺らぎやすくなってしまうんです。
そのため、企画設計サイドと現場サイドが統一性のある合理的な判断を下せる拠り所のようなものをつくる必要があると感じ、ガイドラインを作るに至りました。

現在の体験設計ガイドラインでは「安全確保」「顧客起点」「不(ネガティブ)のコントロール」の3つを最重要項目として設定し、それぞれをどのように実現していくのかについて具体的なフローを示しています。

ーーどのようにしてガイドラインのラインを設定を行ったのですか。

 旅行事業者として果たすべき責務と琉球ウェルネスらしい没入体験の実現をどのようにバランスさせるかを考えて、ガイドラインを設定しました。

安全性だけを追求してもおもしろみがないですし、いくらおもしろくても安全対策が出来ないのであれば提供すべきではありません。

体験設計の仕事では、あらゆる場面で想像力を働かせることが必要になってくるのですが、どこに重点を置いて想像力を発揮すべきかについて、体験設計ガイドラインが示唆してくれるようになっています。


                            
 
                            後編につづく

次回、後編では、「琉球ウェルネスのプログラムの特徴について」「プログラムをデザインする上で大事にしていること」「体験設計のお仕事を川人さんはどのように感じているのか」について、語ってもらいます。
楽しみにしていてくださいね!