発達障害克服してみた あとがき

 あっという間というか、長かったというべきか、ようやく自分の10年間にわたる奮闘をまとめることが出来た。
 この文章をまとめようと思ったきっかけは、第4章で紹介したリスニングプログラムを受けた時だった。プログラムを受ける前に先生から問診として、現在の発達障害の症状・困り具合を0から3の4段階評価で評価する紙を渡された(0が症状がない状態で、3が最も症状が重いことを表す)。その時に驚いたのは大半の症状を克服し、ほとんどが0であったことだった。10年近くかけて年々生きやすくなっていったので、この結果は当たり前と言えば当たり前なのだが、なんだか感動してしまい、まとめることを決意したわけだ。

 さて、色々と取り組んできたことを紹介してきたが、今現在様々な症状を抱えている人にとっては何から始めていいか分からないと思う。そこで、根拠と共にお勧めの順番を紹介する。自分の場合取り組む順番を違えたために10年近い歳月がかかってしまったと考えているので、正しく取り組めばもっと早く改善できるだろうと考えている。

 1.瞑想
 まず初めに行った方がいいのは、このブログでも紹介した他力の瞑想だ。その理由として、仮説だが発達障害の原因は先天的なストレスやトラウマによるものと考えていて、瞑想がそれらの解消に大きく役立つからだ。そして、これらのストレスは脳神経の発達・可塑性を阻害することも分かっているので、原因の除去と今後の脳の成長のしやすさを狙ったものとなっている。
 加えてこの他力の瞑想を継続していくと、どんどんと心と体が楽になっていくので、周囲の人間に対して余裕を持って接することが出来る可能性が高い。正直なところ発達障害者の問題は慢性的な体調不良に悩まされていることも多いので、これが改善されるだけでもQOLは大きく改善されると思う。そして、第一章で示したかつての自分のように瞑想を行わずに、心理分析的な手法を取り入れるだけだと、他人への憎しみや怒りが全く解放されずに心がパンパンな状態なので、内心で他人に対して心理分析を行って裁いたりと、結構面倒な奴に成り下がることが多い。心理分析は非常に役に立つことも多かったが、自分一人が生きやすくなるだけで、周囲との関係の改善には自分の場合至らなかった。
 また、この瞑想を行うのなら体力も回復するはずなので出来れば運動する習慣も身に着けてほしい。瞑想中は体の代謝を大きく下げる働きがあるので、人によっては鬱っぽくなったり太ったりすることもあるかもしれない。私が習っている他力の瞑想の一つであるELM瞑想は、日常生活に代謝の低下の影響を持ち込まないように、瞑想終了時にしっかりと代謝を元に戻す方法をしっかりと教わるので大丈夫だと思うが、念のために書いておく。加えて、筋肉には抑圧された感情やストレスが溜まることが分かっているので、運動によってそれらを解放する一助にもなる。

 2. 原始反射の統合
 続いて行うのは原始反射の統合だ。そもそも、以前に書いたように原始反射は脳幹から起こっているものだが、成長につれて脳の前頭前野が発達することで統合される。ところが、先天的に強いストレスにさらされているであろう発達障害者は、脳神経の発達がされにくいので、前頭前野が発達しにくく、結果として原始反射が残存しやすいと考えられる。故に1の瞑想でストレスを除去してから、原始反射の統合を行うのが望ましいだろう。

 3.間違った思い込みや行動を正す
 発達障害者は極端な白黒思考などの自分を苦しめる思い込みや行動パターンを持っていることが多い。思考や言動などは新しい脳と呼ばれる大脳新皮質の働きであり、この大脳新皮質による表面的な振る舞いや行動を建物に例えると、発達障害者の場合、地面や基礎がぐちゃぐちゃ(この場合、原始反射の未統合や先天的なストレス)であるゆえに上物の建物もグラグラになってしまうのが、この間違った思い込みなどの原因だと思われる。だからこそ1項の瞑想や2項の原始反射の統合で地面や基礎をしっかりと固めた上で行うのが得策だろう。
 発達障害の諸症状は本人がいくら気を付けたり、周りから指導・教育されても中々改善することは無い。なぜなら、この気を付ける行為や指導・教育というのは結局のところ上物の建物に相当する大脳新皮質へのアプローチであって、基礎である部分のアプローチではない。故に建物はいつまでも安定することはなく症状は改善することが無いのだと思われる。
 ここまでご覧になってくださった方で気づいた人もいるだろうが、本ブログの第二章で仕事の出来なさなどの諸症状を瞑想・原始反射などのアプローチ抜きで改善している。読んでない方は読んでいただきたいのだが、この時は単にゴリ押しで症状を改善したのではなく、別の方法でストレスを開放する行為を行っており、これが脳の神経の成長を促し、様々な気づきが訪れ、結果として症状の克服に至ったものと考えている。

 やっかいなのは、発達障害はこの目に見えない基礎の部分に問題を抱えた人種だということだ。目に見えない領域である以上、目に見える客観的な指標に重きを置く科学では説明のつきにくい手法を使う必要も出てくる。事実、1項の他力の瞑想もゴリゴリのスピリチュアルなので、受け入れがたい人には受け入れがたいだろう。基礎からしっかりと固め直すのが理想だが、どうしてもスピリチュアルが受け付けないのなら1項は飛ばして2項から始めても問題は無いと思う。

 これにて「発達障害克服してみた」シリーズは一旦終了となる。今後は本シリーズの改訂や図の追加などのリライト作業を行う予定だ。加えて、瞑想と原始反射は良く分かったが、そのあとはどのように「間違った思い込みや行動」を正せばいいか分からない人もいると思う。そこで、今後は読み切りのコラムなどで自分がこれまで得た気づきなどを共有できればと思っている。他にもスピリチュアルの話なども少しは紹介出来たらなと考えている。 

   読者の皆様、ここまでご覧いただきありがとうございました。

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