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発達障害克服してみた 第5章 人間関係編 ④ 発達障害者の人間関係像

 第五章の冒頭で「この章では小手先のテクニックではなく本質を狙う」と書きました。そのために必要なのは発達障害の人がどのような人間関係像を持っているか考える必要があります。
 残念ながら私は医師ではありませんし、豊富な臨床経験があるわけではないので、自分自身の経験と周囲の当事者と思われる人間を観察した結果でしかありません。それを考慮のうえ、考察をご覧ください。

 結論から言ってしまうと、発達障害の人と定型発達の人の最大の違いは対人関係のイメージにおける「自分」というものの大きさなのではないかと考えています。
 図を見て貰えばわかりますが、発達障害者の場合「自分」(=青丸)というのが「他人」(=赤丸)と比べて圧倒的に大きいんですよね。本当に重度だと徹底的に「自分」しかいない状態ですし(図左)、私のようにグレーゾーンだと肥大した自分の周囲に薄っすらと他人が配置されるという状態です(図中央)。ちなみに定型発達者は自分と他人がほぼ対等な状態です(図右)。

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この肥大した「自分」の状態(=自分中心)ってどういうことかというと「幼児」そのものなのですよね。(幼いということを批判しているわけではありません。不快に思われた方はすみません。)自分が肥大した状態が決して悪いわけでは無く、現に定型発達者の人も赤ちゃん時代とそして幼児時代にはそんな時代があったわけで、成長するにつれて図の左から右に進んで成長していく訳です。発達障害というのは発達がゆっくりな存在であることを考えれば、大人になっても図の左や中央の状態に留まっていると考えれば、あながち間違いではないのではないでしょうか?

 さらにこの自己肥大モデルを使うことでいくつかの発達障害にありがちな症状の説明がつきます。

 ・一人の時間が必要、大勢が苦手、1対1での会話を好む
 大勢に疲れて一人の時間が必要というのも発達障害者に良くある症状です。当事者が持つ繊細さも疲れやすさの要因の一つではありますが、自己が肥大した対人関係イメージを潜在意識下に持っていることで、そのイメージと現実が一致せずストレスを感じるのが原因と考えられます。また、1対1という他者の人数が最小な状況下での会話を好むのも、潜在意識下の対人関係イメージ(自分しかいない)と限りなく一致しているからと考えられます。他にも相手の関心に関わらず自分の関心あることを一方的にしゃべるのも、そもそも他者というのが彼らの意識下に存在していないことが原因と思われます。

 ・自己嫌悪が強い
 これに関しては定型発達者が当たり前に出来ることが自分には出来ないという焦りがあるのも一因です。しかしそれだけでなく、自己が肥大化した対人イメージを持った当事者の状態では、自然と自分が神になったような全能感・万能感を持ちやすくなってしまうのです。そうすると全能感・万能感のイメージと現実がそぐわず、結果として強い自己嫌悪が生まれてしまうのだと思います。(正確には他にも原因があるのですが、それは今度)

 ・癇癪やパニックをおこしやすい
 当事者の人たちは、予定外のことや上手くいかないことに対して癇癪やパニックを起こしやすいです。定型発達者のワンオブゼム的な対人イメージ(図右)を持てるのであれば、自分以外にも対等な他者が沢山いるというイメージが持てるので、他者が引き起こしたイレギュラーな出来事が自分にも影響を与えうることが自ずと理解できます。しかし、自分が肥大化したイメージを持つ当事者の場合、文字通り自分しかいないわけですから、よそから何か急なイベントが飛び込んでくることを想定出来ないのです。そのため、実際にイレギュラーなイベントが飛び込んでくると、イライラしてしょうがない状態に陥るのだと考えられます。

 ・空気が読めない、集団行動が出来ない
 空気というのはそもそも、図右のワンオブゼム型の個々を取り巻く雰囲気のようなものです。みんなで和をもって織りなす一つのもの、それが「空気」なわけですが、自己が肥大した状態だとそんなものはお構いなしになるのは当たり前ですね。加えて、自己が肥大した状態では同様に周囲と足並みを揃えて集団行動するのも困難でしょう。

 そうやって考えていくと、発達障害者が人間関係を上手く行かせるためには、ライフハックではなく脳を適切に大人の脳に成長させることが大事と思います。
 成長させるためには私が第4章で挙げた、瞑想・原始反射の統合などを地道に行い、脳の成長させていくことで、勝手に自分の問題に気づいていきます。不思議なことに誰からも教わるわけでもないのに、脳が成長していくだけで昔自分がなぜ嫌われたのか、当時は分からなくとも勝手に分かるようになっていくのです。
 ライフハックでは所詮、あるシチュエーションにおける振舞い方を覚えこむだけなので、少しでもその状況から外れた状況では一切応用が利きませんが、基本を押さえたこの方法ならば自然と応用も利くようになっていきます。

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