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発達障害克服してみた 第4章② 瞑想について

 (この記事は2022/02/03にリライトしました)

 まず手始めに瞑想に着目しました。瞑想は徹底的に自己の内面へと潜り、海に例えた意識の最深部まで到達して、最終的には悟りや神との合一を目指すために古くから行われてきたものです。個人的には悟りや神にはほとんど興味はありませんが、意識の深いところまで行くことが出来るそのポテンシャルと、その領域まで到達できれば、先祖由来のストレス・トラウマなどの意識の深いところにあるものすらもアプローチできるだろうと期待したのです。

 瞑想は、有名なものではGoogle などが積極的に取り入れることで広く知られるマインドフルネス瞑想が挙げられます。Googleが取り入れているマインドフルネス瞑想は静かなところに座り、リラックスをして自らの呼吸に意識を向け、雑念が湧いたらそれにフォーカスせずに受け流すシンプルなものです。瞑想から宗教的な要素を取り除き、どんな信仰を持っていてもまたは、無神論者であっても取り組めるものですが、発達障害の当事者にはかなり厳しいものと予想されます。なぜならそもそも、

 ・リラックスが出来ない
 ・ある程度の集中力が求められるが、当事者のなかでもADHDなどの症状が強ければ集中など出来ない
 ・頭・思考がフル回転し、雑念まみれすぎて辛い

といった背景があるためです。このようにある種リラックスはしながらも瞑想状態の維持に自らの意志が求められるような瞑想を「自力の瞑想」と呼びます。

 そして、この「自力の瞑想」というのは当事者にとってもう一つの壁があると考えられます。それは自力で推し進めていくスタイルである以上、得られるリラックスといった効果は自分が知っている中での範囲の効果しか得られない可能性があるわけです。つまり、発達障害者というのは先天的に多くのストレス・トラウマを抱えているというのが私の仮説なので、生まれながらにリラックスなんて全く知らない状態であるということを考えられます。そういう人が自力の瞑想をやったところで、目的地であるリラックスというゴールの場所や形を明確に知らないため、そこにたどり着くことが非常に難しく、効果としてはたかが知れているはずです。故にこれらの自力の瞑想が役立つのは、ちゃんとリラックスとは何かということを体感で理解しながらも一時的に仕事などのストレスで疲れた定型発達者に向いたやり方と思われます。

 そこで今回紹介したいのは、そんな「自力」という単語の対義語である「他力」の瞑想についてです。他力というのは文字通り「他人の力」ということですが、その他人というのは誰かというと「意識の最奥部」に到達した俗にいう悟りを開いた人のことです。つまりそのような他人の力を借りるため、瞑想状態に入りそれを維持するのに自分で多大な努力は必要がないし、意識の最奥部に努力なしに勝手に連れて行ってくれます。
 例えて言うならば、「自力の瞑想」は瞑想という名のテレビゲームを一からプレイし、意識という名のダンジョンに出てくる雑念という名前のモンスターを一つ一つ倒していって、最奥部(=究極の領域)まで自力でレベルをコツコツ上げながら向かうようなものです。それに対して、他力の瞑想はとっくの昔にゲームをクリアし、ダンジョンの最深部まで到達した人のセーブデータを譲り受けて、瞑想というゲームをプレイするようなものです。特に大人になってしまった発達障害者は色んな意味で経験値が少なく、人生の残り時間も短く、悠長に自力の瞑想をやっている時間はありません。この「他力の瞑想」により、時間を大幅にショートカットして最速で究極のリラックスを知ることが出来るのでは?と考えたわけです。
 ただ残念なことにこういった「他力の瞑想」というのは、さっきの例えで言うならば人のゲームのセーブデータを購入するようなものなので、いくばくかの金銭が必要となってしまいます。加えて、「究極の領域」に到達した人というのは、上で述べたように生涯を瞑想に捧げたいわば悟りを開いた人のことです。そういった背景がある以上、どうしても宗教色というか相当のスピリチュアル感が出てしまうのはやむを得ません。そういったものが苦手な方にはしんどいものとなるでしょう。

 この「他力の瞑想」には私の知る限り世の中に何種類か存在していて、名前を列挙するとTM瞑想・ELM瞑想(旧フルフィルメント瞑想)、ヒマラヤシッダー瞑想などがあります。これらを習得することは必須ではありませんが、習得を考えている方のためにこれらの他力の瞑想を少し紹介したいと思います。

 ⑴ TM瞑想
 世に表れた他力の瞑想の中で最も古い瞑想。限られた師弟関係の中でしか伝えられなかった瞑想法を1950年代にマハリシが世界に広めました。マントラと呼ばれる短めのサンスクリット語をいくつかの候補からその人にあったものを教師より伝授されます。その後、1日朝と夕に20分ずつマントラを唱えながら瞑想する仕組みとなっています。
 歴史が古いということもあり、世界中に実践者が存在し、様々なセレブやエグゼクティブな人々も実践している瞑想です。欠点と言えば、瞑想の伝授に比較的金銭が必要(大人で123,400円)ですし、さらに上級コースを習おうとすれば更に金銭が必要なようです(上級コース習得は強制ではない)。しかし、その分集めた資金で大学の設立等を行い、論文発表などを通してTM瞑想で得られる効果を科学的に説明しようとする努力がなされています。具体的には発達障害の症状の改善に効果があるということや(リンク )、依存症の改善にもかなり高い効果を上げていることが分かっています(リンク)。

 ⑵ ELM瞑想(旧フルフィルメント瞑想)
 アメリカ人のボブ・フィックスにより創設された瞑想。ボブ・フィックスは元はTM瞑想の教師として活動をしていました。しかし方向性の違いからスピンアウトし、新たな他力の瞑想を創設しました。
 システムとしては、伝授の際にマントラのみならずヤントラと呼ばれる幾何学模様の絵柄も渡されます。この幾何学模様を最初に少し見てから、与えられたマントラを一回唱えるだけであとは瞑想状態に入っていきます。TM瞑想と異なりマントラを唱え続ける必要はありません。
 TM瞑想よりは伝授価格が安い(54,000円)です。しかし安いと言ってもマントラ一つ当たりの価格なので、複数あるマントラを全て学ぼうとすればそれなりの金銭がかかってしまいます。しかし、全てのマントラを受講することを強制されるわけではありませんし、スピリチュアルを深めるというよりも発達障害の症状を軽減させるためなので、一番最初に与えらえるラブマントラ一つで十分と言えるでしょう。得られる効果としても、TM瞑想のような検証が為されているわけではありませんが、同等のものがあると考えられます。

 一方で、気にならない人もいるとは思いますが、少しばかりスピリチュアル色が強い面は否めません。というのも、ボブ・フィックス氏自体がチャネリングなどの技術を提供しているからです。そして、瞑想時間も1回30分とTM瞑想と比べると長くなっています。

 ⑶ ヒマラヤシッダー瞑想
 ヒマラヤの奥地で究極の悟りに至ったとされる相川圭子さんが伝授する瞑想です。相川さんはヒマラヤに赴く前は国内でヨガの講師をされていたこともあり、これまで述べた2つの瞑想法と異なり、瞑想法の伝授のみならずヨガや修行の日々から得られた日常生活の心掛けなどの指導も行ってくださるようです。

 一見、瞑想の話なのにヨガとか関係ないのでは?と思う人もいるかもしれません。しかし、元々ヨガと瞑想は切っても切り離せない関係で、本来はまずヨガなどの体操を通して肉体を清めてから最終的に瞑想に至り、悟りに至るというのが道筋です。また、瞑想というのはじっと動かずに自分の内面と向き合う行為なので、瞑想だけではどうしても肉体の代謝がどんどんと低下して人によっては体の調子が悪くなってしまうことがあります。これを防ぐために体操法のような形でもヨガが存在するのです。またいくら瞑想をちゃんとやったとしても、結局の所は1日1時間程度です。残りの23時間を間違った思考で生きていては台無しです。相川さんはこれまでの人生で蓄積された誤った思考回路や観念などを正してくれる指導者のような役割も果たしているようです。
 先述のTM瞑想やELM瞑想では、このようなヨガの指導や瞑想時以外の日常生活の心の置き方のようなものの指導は基本的にはありません。それ以外の日常は実践者にお任せである故に、これらの瞑想の実践者にはいくら瞑想をしていても人生がほとんど好転しないという人も存在します。自分で今後どのように自分の考え方を変えればいいか分からないという人にはお勧めの瞑想かもしれません。

 一方で、このように指導者をトップとするシステムはどうしてもあやしげな宗教団体に見えてしまい、心理的な抵抗を感じてしまう人もいらっしゃるかもしれません。また、瞑想を習うのに必要な金銭も明示されていないので、ご自身で調べる必要があると思います。

 私はこの中からELM瞑想を選択しました。特に深い理由はなく、TM瞑想より安かったことと、ELM瞑想を始めるまではヒマラヤシッダー瞑想を知らなかったというだけのことです。ですので、瞑想を始めたい方はご自分の好みや予算と相談し、お好きなものを選んでいただければと思います。勿論、スピリチュアルなものが苦手で出来れば手を出したくないのならば、無理はしなくて大丈夫です。瞑想はスキップして頂いて今後紹介するリスニングプログラムや原始反射の統合を行うのがおすすめです。
 次回は、瞑想で得られた効果について述べていきましょう。

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