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発達障害克服してみた 第五章 人間関係編③ フラッシュバックについて

 発達障害者にありがちな「フラッシュバック」とても辛いですよね。その気持ち、とても良く分かります。私も毎日のように苦しめられてきました。今回は個人的に考察したフラッシュバックの原因について、色々と書き連ねあてみようなかと思います。

 昔の私が初めてフラッシュバックを克服しようとして取り組んだのは、湧いてきた感情を感じつくす「浄化」という技法でした。あの辛い感情は振り払おうとしても勝手に湧いてくるし、感じざるを得ないが故に選んだ方法でした。しかし、結果は惨敗。後々知ったのは、感じつくすのにはある種のコツがいるということでした。そのコツは辛かった記憶を第三者視点である程度距離を置いて感じることだったりするのですが、これが私には難しかった。やはり、客観視するメタ認知能力の低さだったり、あとは感情そのものを感じているようで、実は辛かった感情を感じさせてきた誰かへの怒りに転嫁しているだけで、何の改善にもならず、むしろ症状を悪化させていたのでしょう。

 結局この感じつくす「浄化」は諦めて、他にも色々と試行錯誤していたわけですけど、ある時ふと気づいたんですよね。それは僕の場合ですが、

フラッシュバックの内容って全部人間関係がらみじゃない?

ということです。人間関係が上手く行かないのだから当然じゃないかとも思うわけですが、ここからもうちょっと自分なりに掘り下げてみることにしたんですね。それまでの自分は、フラッシュバックというのは何らかのトラウマ(つまり苦しみ・痛み)があるからだと思っていました。そのためそれを取り除きさえすれば、問題を克服できるのでは無いかと思っていたのです。だけども、痛みや苦しみがフラッシュバックの原因なら、例えばタンスの角に足の小指をぶつけて痛かったみたいな経験もフラッシュバックの原因になりうると思うのですが、これに関しては全くと言っていいほどフラッシュバックを起こした経験が無いのです(笑)。
 もちろん、人間関係の苦しみは精神的なものであり、一方タンスの角に足の指をぶつけるのは肉体的な痛みですから、フラッシュバックしないのはそこが原因だとも言えるかもしれません。しかし、痛みや苦しみの経験そのものがフラッシュバックの原因では無いのではないかと考えるきっかけになりました。

 ではなぜフラッシュバックを起こして何度も苦しむのか、掘り下げていった結果一つの仮説に辿り着きました。その理解のために少し例え話を用意しましたので、楽しんでみてください。
 ここに二人の男性AさんとBさんがいます。二人とも同年齢で、最近定年退職をし、悠々自適な老後の生活に入っています。二人はそれぞれ現役時代の貯金と退職金合わせ2000万の資金を持っています。そんな折、二人の元に美味しい話が転がり込んできます。「お金を預けて頂ければ資産を5年で倍に増やしましょう」と。
 Aさんはその話を聞いて、面白そうじゃないかと興味を持ち、かつ自分でも責任を持ってその内容を調べ、話に乗ることにしました。一方、Bさんは最初は怪しいと思い、乗り気ではありませんでしたが、Bさんの奥さんが非常に乗り気で、強く説得され結果的にしぶしぶ話に乗ることにしました。しかし、その美味しい話はやっぱり詐欺であり、AさんもBさんも二人とも2000万円を失う結果となってしまったのです。

 さて、ここで考えてみましょう。AさんもBさんも全く同じ2000万円を失ったわけですが、一体どちらが精神的に応えるでしょうか?両者ともに勿論2000万円を失えば非常に辛いですが、やはり辛いのはBさんではないでしょうか?やっぱりお金を失っただけでなく、「やっぱりやめれば良かった」とか「話に乗った奥さんへの恨み」などお金を失った以外の黒いものが渦巻くと思うんですよね。そして、いつまで経ってもその恨み・苦しみは甦るのではないでしょうか?
 この感じ、もうわかりますよね?まさにフラッシュバックと同じ仕組みではないでしょうか?

 つまりBさんの辛さである、「やりたくもないのにやらないといけなかった」というのがフラッシュバックに繋がるのではないでしょうか?
 振り返ってみると、発達障害の多くの人は人づきあいが苦手であまり他人に興味が無い人が多いです。にもかかわらず、学校では人間関係を強制され、人間関係を構築しないと困るように設計されているのです。その中で人と関わりたくもないのに、自分に鞭打って人と関わりを持ち、結果として大失敗に終わるわけです。これがフラッシュバックの原因の一つではないでしょうか?とすれば、解決策は一つです。

 無理して頑張ってきた自分をまずは労ってみませんか?

意外とみんなこれを忘れがちな気がします。ほとんどの人は自分を労る前に人間関係を上手くこなせない自分をとにかく責めるわけですからね。傷ついた心が癒されるわけがないのです。それを十分にやってから次のステップに進むべきではないでしょうか?

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